みんぽすさんからお借りしているシグマのレンズ「35mm F1.4 DG HSM」ですが、手持ちのMFレンズ「Nikkor 35mm F1.4」と撮り比べてみました。
まず断っておきますと、NikkorのほうはAi-Sですらない、かなり古いレンズです。
調べてみた感じだと1971年発売の初期タイプのものだと思います。
サイズは思ったよりは違わず、超音波モーターHSM(Hyper Sonic Motor)を内蔵していたりするわりにはシグマのサイズはコンパクトだなぁと。
後ろ玉の大きさはむしろNikkorのほうが大きいくらいですが、フィルタ径はさすがにNikkorが当時の定番の52mmに対して、シグマのほうは67mmです。
少し前あたりはシグマさんは超巨大なフィルタ径のがたくさん出てましたけど、67mmくらいだとフィルタも使いやすくて便利なサイズで良いかと。
最短撮影距離は双方とも30cm、重さはシグマが665g、Nikkorは400g、レンズ構成についてはシグマが11群13枚でNikkorは7群9枚となっています。
レンズを覗いてみると枚数が少ない分、ニッコールは抜けがよさそうに見え、シグマさんはコーティングや非球面レンズが使われた現代的な設計だなと感じます。
使い勝手ではどう見てもシグマの圧勝で、絞りもキレイな円形ですし、何より静粛なAFが使えるのはやっぱり便利でした。
とはいえ、オールドレンズを前にしては描写でも圧勝してもらわなければ、というわけで撮影比較もしてみました。
まずはシグマを開放で撮ってみます。
[ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4 ]
続いてNikkorも同様に絞り開放です。
[ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F1.4 ]
双方とも一応RAWで撮影していますが、色温度を合わせた以外はデフォルトのままで現像しています。
前回も書いたように、以前のようなAEの暴れがなく、露出が綺麗に揃ってるのが分かっていただけるかと思います。
描写に関してはNikkorのほうが少し二線ぼけっぽい感じでボケがうるさいのに対し、シグマのほうは開放の柔らかさを持ちつつ、ピントが来た部分はシャープになっていて非常に優等生です。
等倍で見てみるとNikkorは滲みが感じられますが、シグマだとまるでカメラの世代が違うくらいにシャープな描写になってくれているのが分かっていただけるかと。
次は少しだけ絞ってF2.8で撮ってみます。
[ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F2.8 ]
[ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F2.8 ]
このくらい絞るとNikkorもなんとか実用的にはなってきますが、やっぱりシャープさや収差などを比べればシグマのほうが圧倒的で、格の違いを感じます。
レンズそのものの世代的なものだけに留まらず、「カメラを買い換えるよりレンズをこっちにしたほうが良いのでは?」と思わせるところがスゴイなぁと。
それもただ無闇にシャープでハイコントラストではなく、トーンも豊かなのが良いですね。
巷の評判が非常に高いのも、なるほど、と思わせるものがあります。
最後にF2.8の時と同じ被写体で再びF1.4開放を貼ってみます。
こちらはあえてレンズ名を白文字にして隠しておきますので、先入観なしで眺めてみてくださいね。
[ SIGMA 35mm F1.4 DG HSM 絞り:F1.4 ]
[ Nikon Nikkor 35mm F1.4 絞り:F1.4 ]
あえて欠点を挙げるとするなら、絞ってしまうとレンズの味が減ってしまうところでしょうか。
それはどんなレンズでも同じことですし、絞った場合のボケ味がもう少し柔らかくても良いかな、という程度ですけどね。
できれば積極的に開放近くの描写を使いたいところで、そのためにはAF精度も重要になってくるかも。
シグマさんからは合焦位置の調整等ができる「SIGMA USB DOCK」も出ているので、カメラによってはこれも持っておくと良いかもしれません。
なお今回、私がNikon D300で使った限りでは合焦位置で気になるところは皆無でした。
あとはもう価格くらいしか難点が残されてなくて、そのお値段も現行のNikkorと比べれば圧倒的に安いわけですし、やっぱり評判通りの素晴らしいレンズという結論以外にはなさそうです。
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