Olasonicさんのご好意で、2/26発売のDigiFi No.13に特別付録として付いてくるUSB-DAC付きスピーカー向けアンプを先行で試用させていただきました。
Olasonic謹製アンプというとDigiFi No.7に付いてきたんですが、これが非常に品薄で入手できなかった方も多いのではないかと。
その後、No.10はヘッドフォンアンプが付いてこれも大人気で、今回は再度スピーカー向けにNo.7をリファインしたモデルとなったようです。
No.7との違いとしてはやはりデジタルパワーICが新たにTPA3130になったのが大きいでしょう。
No.7はTPA3110でしたが、これよりも動作周波数が大幅に高くなっているとのこと。
TPA3110は250~350kHzくらいだったと思いますが、TPA3130は400~1200kHzに対応しているようで、これを1.2MHzで駆動しているそうですので、D級アンプの弱点をずいぶん緩和しているものと思われます。
OlasonicさんはOEM,ODMで各社のアンプ設計なども手がけていて、新しい素子もチップメーカーと協力して積極的に活用しているとのことです。
なお、NANOCOMPOシリーズのNANO-UA1などは同じTIのTPA3118を採用していて、1.2MHzでドライブされています。
もう一つの大きな改良点が大きなコンデンサーでしょう。
同社お得意のSCDS回路を担うもので、10,000μFという大容量のものです。(No.7は6,800μF)
他のコンデンサーも表面実装から通常タイプに変わっていて、クロック用クリスタルやコイルなど、ずいぶん強化されていますね。
基板の色といい、LXA-OT1からLXA-OT3への変更に似ている部分もありますが、コストアップがやや大きいぶん、No.13のほうが作りが良いな、とも感じます。
なお、No.7が手元にないので比較はできていませんが、基板裏を見るとコンデンサーや端子などの類は普通にハンダ付けがなされているので、だいぶ交換しやすいように思われます。
それでもハンダ付けに慣れていて、道具類(と技術)がちゃんと揃っていないとダメでしょうけれど。
さてハードウェアの説明はこのくらいにして、早速、いつも使っているDALI Royal Menuet IIとNo.13を繋いで鳴らしてみます。
なおいち早くインプレッションをということもあり、エージング不足の感があることを予めお断りしておきます。
スピーカーケーブルは普段使ってるものだとさすがに太すぎて無理でしたので、通常タイプのものを使用しました。
バナナプラグやYラグは無理ですが、スピーカーターミナルはかなり大型で頑丈なものですので、普通のケーブルなら全く問題なく装着できるはずです。
USBケーブルはLXU-OT2に付属していたものを使用しましたが、やや端子が固めでしたけどしっかり装着できました。
No.7を試した時にも書きましたが、このアンプはUSBバスパワーで動作しますから、USBケーブルをパソコンにつないだ時点で電源オンになります。
ですので、必ずスピーカーを先に接続し、基板などをショートさせないよう注意してください。
今回からはLEDが付き、パソコン側のボリュームをリモート操作できるボタンも付きましたので、だいぶ使い勝手は向上していますけどね。
パソコン側にはMac miniを用い、プレーヤーにはAudirvana Plusを使いました。
普段と同じようにDirect Modeを使いましたが、しっかり動作してくれます。
ただ、本体のボリュームを操作してもHog Mode(Audirvanaが使ってる間はOS側は別の音源になる)だとOS側が使用している別音源のボリュームが操作されてしまいます。
普通にiTunes等を使う場合なら全く問題ないですし、Audirvana Plus側のボリュームを使えば問題無いですけどね。
ちなみにAudirvana Plusのボリュームが-13dBくらいで私が普段聴いているくらいの音量でした。
音質的にはさきほども書いたようにエージングもままならない状態ですが、No.7よりはややケレン味が強まったかな、という印象でしょうか。
低域から高域まで非常にパワフルにスピーカーをしっかり駆動してくれますが、音色や音像がややタイトで、最低域や倍音などをほどほどに間引きつつ、主像の純度を保つ感じでしょうか。
傾向としてはわずかに寒色系で解析的な雰囲気で、私の知る限りではソニーの音色に近いのかな、と感じました。
ただこうした音傾向はまさにエージング不足の場合に受ける印象に近いので、参考程度に考えておいたほうが良いと思いますが。
ボーカル、クラシック、ジャズなどひと通り流してみると、意外に良い感じだったのがオーケストラものでした。
音のキレや抜けが良いから濁らないのと余計な響きが足されないので、オーケストラの配置がしっかり見えてくるようです。
小編成のクラシックも相性は悪くなく、やや解析的な傾向はやはり感じるものの、濁りが少なく、喩えれば国産のモルトウィスキーのような味わいといったところです。
もしかすると全般的にデッドなソースよりもライブ音源のほうが合うのかもしれません。
それぞれの楽器に耳をやるとしっかり滲まずに鳴っているのですが、時として音の広がりに乏しく、こじんまりとまとまるような印象を受けることがあります。
余韻の逃げ足が早くオンマイクな印象を受けがちなので、音源そのものにライブ感がしっかり収録されたもののほうが相性が良い気がします。
ある意味、CDよりもむしろライブや映画などに合っていそうですから、パソコンで色んな音源を扱うにはかえって良い結果が得られそうですね。
手持ちの機材でいうと、Topping TP21よりは明らかに音のまとめ方が優秀です。
LXA-OT1とは音の傾向がだいぶ違いますが、特性上はこちらのほうが優秀だと思います。
ただDACが一体化されているため、LXA-OT1のように上流で改善策が取れないという部分はありますね。
それこそUSBケーブルやBusPower-Proのような機材、スピーカーケーブルなどでチューニングは十分可能でしょうけれど。
また、さきほどまでのインプレッションも、どちらかと言うとDAC部分の色合いが出ている可能性もありそうです。
PC以外も含めて幅広く使うことを考えると、できればアナログ入力が欲しくなるんですが、そこはやはりNANOCOMPOのお試し版的な要素もあるでしょうし…。
なおOlasonic製品についてはNANOCOMPOも含めてひと通り聴かせてもらったことがあるわけですが、音傾向にはやや違いもあって、今回のNo.7はTWシリーズとの中間(ややTW寄り?)だと私は感じました。
なにしろエージングもチューニングも普段の機材で合わせた中に放り込んでの試聴だったので、かなりシビアな感想になっていますけど、雑誌付録としては考えられないくらい非常に高い完成度です。
正直、下手なミニコンポなどは全く敵じゃないくらいの能力を秘めたアンプと言えるでしょう。
常用するにはケースの問題などもありますけど、PCオーディオから入った方にスピーカーで音楽を楽しんでもらいたいというOlasonicさんの思いも伝わってくる良作をぜひ試してもらいたいところです。
No.7ほどではないかもしれませんが、ネットショップでの予約もかなり厳しそうですし、確実に欲しい方はStereo Sound STOREで予約されたほうが良いかもしれません。
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