東和電子さんにおじゃまして、最近の新製品、テレビ用スピーカーの「TW-D6TV」、そしてNANOCOMPOシリーズのDSD対応USB-DAC付きデジタルアンプ「NANO-UA1a」を試聴させていただきました。
まずは「TW-D6TV」ですが、テスト用の22inch程度の液晶テレビとその両脇に以前のモデル「TW-D5TV」と「TW-D6TV」を並べての比較試聴をさせてもらいました。
その前にテレビ内蔵スピーカーを聴きますが、名誉のためにメーカー名は避けますが、ごく最近の一般的な液晶テレビの貧弱なサウンドです。
近くで聞けばそこそこそれなりに鳴っていますが、テレビの筐体全体の箱鳴りばかりで、音量を上げれば上げるほど濁って聞きづらくなっていきます。
次に「TW-D5TV」をつなげると、同社のたまご型スピーカーらしい音像のしっかりしたサウンドで、テレビのあらゆるジャンルに適合しつつ、聴きやすいサウンドになりました。
ただ一方で、単純なボリューム感でいいますと少々大型のテレビでは場合によっては、かえって小さく感じるようなケースもあるのかもしれず、そのための今回の改良版となったようです。
実際にはさきほども書いた通り、筐体も容積も限られた液晶テレビでは「ただ鳴ってる」以上のスピーカーを内蔵したものはほぼ皆無なのですけど、DSPやらなにやらで迫力だけは付けてあるものもありますからねぇ。
また、せっかくなら音抜けをもう少し良くしたいというのもあったそうで、ここで新しいTW-D6TVを聴かせていただくと、まさにその通りで高域を中心に音離れの良さを感じます。
ちなみにアンプ部分の基本的なところは両者でほぼ同じだそうですが、サウンドチューニングを図り、新しいディフューザーとパッシブラジエターに合わせたチューニングがなされているそうです。
ディフューザーとパッシブラジエターはBluetoothスピーカーのTW-BT55STでも同様のものが採用されていますが、音の傾向はまさにあの方向性です。
音の広がりが良くなった分、32〜40インチくらいのテレビとの相性が良くなってるだろうと思いますし、その際にテレビの中央付近に音が中央前方にグッと押し出してくるところがD6TVの大きな進化かと。
個人的にはD5TVも単体で聴けばテレビ内蔵スピーカーよりは格段の進化だと思うのですが、映画や音楽など、もう少し本格的にサウンドを楽しみたい、前面に感じたいというオーディオビジュアル的な要素を盛り込むという点で、D6TVは「やり過ぎない程度で」同社らしい進化を遂げていると感じました。
置き場所についてはテレビの両脇を想定されていましたが、これが実際にはスペース的に置きづらいケースがあることはお伝えしました。
かと言って最近のテレビの下側はスペースがあまりないんですよねぇ。
サウンドもテレビの大切な一要素ですし、TW-D6TVに限らずテレビ台も含めて最初からこのスペースを考慮したテレビ選び、置き場所選びはユーザー側にも必要なのかもしれません。
なお、D5TVは生産終了で、実売価格もほとんど変わらずD6TVを展開しているのはかなりの企業努力があってこそかと思います。
お話を伺ったところでは海外販売展開も進んでいるので、円安の影響もトータルでは低く抑えられている恩恵で、国内価格を抑えられている面もあるとのことでした。
さて次はNANO-UA1aですが、こちらもNANO-UA1と比較しながらお話を伺いました。
上の写真は左がNANO-UA1の基板、右がNANO-UA1aの基板です。
限られた基板面積を最大限に活かすため、SCDS用のコンデンサの下の欠けすらなくして有効活用しているのが印象的でした。
先日のDENONのDA-10でコンデンサの固定が気になりましたが、その点は基板上面から全体をマットで押さえて防振をしてあるそうで、ハンダ付け自体もしっかりしたものになっていました。
DSD対応した点についてセールス的に時流を意識したのかな?という私の勝手な想像もあったのですが、開発者の方に伺うとDSD対応はNANOCOMPO開発当初から念頭にあったそうで、もちろん販売戦略的なものも多少はあるでしょうが、これまでの開発で得たものを総合的に投入したリモデルという感覚のようです。
最終的にPCM1792が採用されていますが、ここもES9018K2Mなどが候補に挙がったとのことで、実際に聴き比べた結果、求めるサウンドをDSD,PCMで安定して出せるのはPCM1792ということになったんだとか。
DSDにはUSBからのジッターの影響を受けづらいという特徴もあるそうで、パソコン側でDSD変換して入れることもメリットの一つになるだろう、という技術者のご意見もなるほど、と感じた次第です。
さて実際の音質ですが、D6TVもそうでしたけれどこちらも前にしっかり抜けるサウンドです。
同時試聴したわけではありませんが、UA1よりも歪みが少なく、全体的な音数が増えているように感じました。
それが小音量でも変わらずバランスが崩れないあたり、デジタルボリュームからアナログボリュームのPGA2310を採用したことが大きいのかもしれません。
UA1よりもむしろA1に近いサウンドバランスですが、それでもあまりオーディオ色を強めすぎず素直で聴きやすいバランスを保っている部分はUA1の良さもしっかり引き継いでいるようです。
D6TVといっしょに聴かせてもらったから、というのもありますが、NANO-UA1aもテレビとの相性は良いのではないかと感じます。
テレビに限らず、NANOCOMPOシリーズは昔からのオーディオコンポの「さぁ聴くぞ!」という身構え無しに、生活の中にあって流れていても楽しめる良さがあると思っています。
その最新のカタチがまさにNANO-UA1aで、さきほどの40インチよりも大型のテレビ、そして質の良いスピーカーと組み合わせれば、これほどシンプルでスマートなAVシステムもないかと。
また、ちょうど茶楽音人のDonguri-鐘を持っていたので、ヘッドフォンアンプも試聴させてもらいましたが、こちらはスピーカーとはやや違った、温かみのあるサウンドでした。
A級動作という先入観もあるのかもしれませんが、ともあれオマケと考えるのはもったいないもので、深夜などスピーカーで聴けなくなった時間帯にはぜひ積極的に活用することをオススメしたいものでした。
私が個人的に興味のあるケーブル(来週以降くらいにダイレクトストアで販売開始予定とのこと)を拝見させていただいたり、最近のオーディオ事情など、長々とお仕事のお邪魔をしてお話しさせていただきました。
今後も「桜の咲く頃」に向けて新たな構想も練っていらっしゃるとのことで、今後の新製品にも期待したいところです。
ただ、まさに今もDigiFi付録、TW-D6TV、NANO-UA1aと花盛りですし、試聴の機会があればぜひ店頭で試してみる価値のある製品群だと思います。
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