Unique Melodyと代理店のMix Waveが共同開発したハイブリッド型のユニバーサルイヤフォン「MAVERICK」をお借りしました。
私がALO AudioのThe NationalやThe Keyを買ったことから思い立ってコンタクトさせてもらい実現した貸与でして、10日間弱ほどお借りしてレビューさせていただくことになりました。
Unique MelodyはいわゆるカスタムIEM(インイヤーモニター)を主体として著名なブランドですが、各国向けに合った展開をはかっていこうということになったんだそうで、その流れから日本ではあえて誰でも試聴可能なユニバーサルモデルをとなって開発されたのがこの「MAVERICK」だそうです。
私自身はシングルBAやダイナミック型の廉価なモデルしか使ったことがありませんが、こちらのMAVERICKは低域にダイナミック型とBAが1つずつ、中域が1BA、高域が2BAの4wayクロスオーバーという構成です。
それだけにかなり大きめな筐体なんですが、これは最新の3Dプリンティングシステムで作られているんだそうで、見た目もとてもキレイですし、装着感もさすがIEMをやってるだけあって非常にしっくり来る印象です。
充実した低域ユニットからくる揺れるような重低域でもハウジングの箱鳴りは全く感じられませんし、それ以前に、耳に吸い付くような装着感がさすがという印象を受けました。
編み込まれたケーブル自体はやや長い印象ですが、ガサガサする感じもないですし、いわゆるSHURE掛けもやりやすかったです。
なお、コネクター部はカスタムモデル同様の2ピン仕様でリケーブル可能となっています。
実はポータブルヘッドホンアンプもいっしょにお借りしてるんですが、それはまた後日触れるとして、MAVERICKを聴いて最初になぜか浮かんだのはTHIELのスピーカーでした。
往年の名機という感じですが、マルチwayながらつながりが非常に良く、今のトールボーイスピーカー主流の走りにもなった、あのブランドをふと思い出したんですよね。
ダイナミックとBA双方を組み合わせたという低域は、想像から浮かぶほど量感重視ではなく、むしろ質を重視した良質なものです。
中域は純度が高く、透明感のあるサウンドですし、高域はややガラス質の繊細なマルチBAの方向性かと。
ただ、それぞれの帯域のつながりは非常に滑らかで、良質なマルチwayスピーカーを聴いている気分です。
そうした点もTHIELを思い浮かべた理由なのかもしれません。
私の愛用しているThe Nationalとの組み合わせでは、据え置き機で使っているLINNの黒箱のようなThe Nationalの味わりをしっかり活かした鳴りを聴かせてくれ、クラシックの厚みと空間的な広がりを感じることができます。
高域がガラス質なのはやはり多少はBAらしさを感じますが、低域は厚みと深みがあるものになります。
あえて言えば多少ケレン味のあるサウンドになりがちなThe Nationalですが、MAVERICKの中域に充実感があるので嫌味に感じず、むしろ情報量の多さで音楽を楽しませてくれます。
ピアノでは右手方面はやや硬質なものの、透明感のある方向の演色です。
また、私が愛聴している川江美奈子さんの楽曲「piece」では、普段メインで使っているATOLLの鳴り方に似ているなと感じました。
刺さりはしないが、やや輪郭がシャープに音が展開する方向性で、現代的な趣きです。
なお、多数のユニットを搭載しているものの、それぞれが個別に鳴っているような印象は全くなく、音楽が一体となって豊かな表現をしてくれるあたり、さすがだなと。
逆にMAVERICKから手持ちのイヤフォンに戻した時の「がっかり感」が恐怖なくらいです。
また、普段は評価の厳しい妻の紗羅も今回は非常に高評価でして、あえてiPhone単体でも聴いてみたようですが、これでも十分以上に聴かせてくれます。
もちろんそこにポタアンを足せば、さらに別世界が待っていて、ポータブルの奥深さもひしひしと体感させられたようです。
今回のところはMAVERICK単体でまとめますと、中域から中高域の透明感を求める向きには非常にオススメではないかと感じました。
低域もボンつく感じが皆無で、もっとしっかり深くゆったりした重低域が自然で爽やかな路線だと感じる、「さすが!」という逸品です。
今後はいっしょにお借りしたポータブルヘッドホンアンプや手持ちのいろんな音源と組み合わせながら、時間の許すかぎりレビューさせてもらおうと思います。
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