茶楽音人のイヤホン「Co-Donguri 雫」ですが、エージングも進みましたし、手持ちのイヤフォンたちと比較してみることにしました。
その前に普段、「Donguri-楽 濃茶」を愛用している紗羅の感想を挙げておきましょう。
Co-Donguri 雫のほうが「音が柔らかく聴こえて、長く聴くにはこの位も良いのかもしれないな」とのことでした。
「Donguri-楽 濃茶」はDonguriらしさがより強いモデルですが、すでにDonguriを愛用している方にとっては、外出用など、サブとして導入すると良いのかもしれません。
さて、私の比較試聴はまずSHURE SE215から始めてみました。
SE215は欲張っていない音のまとめ方で、刺激が少ない感じです。
高域の冴えはやはり多少物足りない印象で、やや内向的で、コントロールされたサウンドかなとも感じました。
反面、密閉度が高いため、没入できるというメリットもあり、私自身もそうですが、飛行機や電車など騒音の多い場所では使いやすいイヤフォンです。
対して、Co-Donguri 雫を対決させてみますと、パッと華やかさを感じます。
ヴァイオリンの弦の擦れ音までしっかり聴き取れるあたり、ハイレゾ対応の是非はあるかもしれませんが、やはり高域再生能力をしっかり担保してあるという保証としての安心感は与えてくれるものです。
音場の傾向としては適度に開放感があり、装着感も良いですし、サウンドにダイレクトさを感じる部分もあります。
トルネード・イコライザーのメリットでもあると思いますし、通常のDonguriシリーズほど「どんぐり」を効かせ過ぎていないので、扱いやすいようにも感じます。
続いてシングルBAのortofon e-Q5との比較です。
ちょっと意外でしたが、Co-Donguri 雫とわりと近い方向性で、低域がやや薄く、中高域に艶が乗る傾向です。
ひとつにはSpin Fitを装着してあるおかげもあると思われます。
シングルBAらしい透明感があり、やや繊細な方向はハマると魅力的ですが、こじんまりまとまるところがあるのがウィークポイントでしょうか。
こちらもCo-Donguri 雫と対決させてみますと、Co-Donguri 雫のほうが音に広がりがあり、演奏ステージのスケール感も出ています。
やはり開放感を感じるのが大きな違いで、低域の量感もこちらが相当豊かです。
ただ、ダイナミック型らしさは出ていて、やや大枠を捉えた鳴り方ではあるのかなとも感じます。
汎用性の高さでCo-Donguri 雫、シングルBAのメリット・デメリットも含めて楽しむならe-Q5というところでしょう。
続いて同社どうしの対決ということで、私が愛用している「Donguri-鐘 HAGANE ver.」を使ってみます。
音場の広さはやはりこちらが圧倒的で、ダイナミック型でありながら透明感もあります。
低域の量感はやや少なめですが、自然に伸びているので、慣れてくればそれほど不足していると感じることもないかと。
演奏者の細やかな表現もしっかり聴き取れるところは、やはり上位モデルなのかなという印象でした。
こちらもCo-Donguri 雫に取り替えて比較してみましたが、大らかな雰囲気で全体的な場の雰囲気を再現してくれる印象があります。
逆に言えば、あまり神経質になり過ぎないバランスに仕上がっていて、真剣にモニタリングするというより、楽しくリスニングするのに向いていると思います。
もちろん、基本的な性能はしっかり満たした上での話ですけどね。
なお、これもオマケで、iPhone付属イヤホン(旧タイプ)とも無謀にも比べてみました。
とにかくiPhone付属イヤホンは篭っていて、大げさに言えば100均イヤホンかと思ってしまうほどです。
音漏れも酷いですし、これを使ってるという方は「Co-Donguri 雫」に限らず、ぜひ何かに変えるべきでしょう。
そういう点で考えると、「Co-Donguri」の派生モデルとしてマイク内蔵モデルなどもあったら面白いかもしれませんね。
もちろん、リケーブル可能なモデルでも良いかと思います。
こんな具合でここまでCo-Donguri 雫を使い倒させていただきましたが、評判通り、この価格帯では非常に優秀なイヤフォンの一つと言えるでしょう。
Donguriシリーズならではのクセというのはやはり残っていて、そこは好みがどうしても出てしまうでしょうから、できれば試聴されるのをオススメしますが、下手なイヤフォンをたくさん揃えるくらいなら、一本持っておいて損はない仕上がりだと思います。
最後になりましたが、品不足が続く中、貴重な試聴の機会を与えていただいたTTR株式会社様にお礼を申し上げます。
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