ミックスウェーブ様からCampfire AudioのIEM4モデルをまとめてお借りしました。
その中からまずはエントリークラスとなる「ORION」をレビューさせていただこうと思います。
どのモデルもほとんど似たようなパッケージングですが、うちに届いた貸出機ではORIONとJUPITERが表面のカラフルなシールを切って開けるタイプになっています。
ケースも外観は価格によって布製だったり革製だったりと違いはありますが、ORIONのものも十分質感の良いものです。
最初はケーブルが小さなマジックテープ面ファスナー2つで束ねてあるので問題ありませんが、普段使いでケースを使おうとすると、ファスナーでケーブルを引っ掛けそうでちょっとコワイ感じもしました。
バランスド・アーマチュアドライバーを1基搭載というシンプルなORIONですが、いつも愛用しているALO Audio The National(ゲインはLowで使用)に繋いで真っ先に感じたのが、残留ノイズが目立つ点です。
再生していない時点で残留ノイズが聞こえるのは他のイヤフォンでも結構あることですが、ORIONだとなぜか音楽再生中でも結構目立つ気がします。
音源を変えてみると多少目立たなくなることもあり、音源自体のノイズにも敏感なようです。
また、ノイズが音楽から浮き立って聞こえるようなところもあり、シングルBAの純度の高さゆえ、音の分離が良すぎるためなのかもしれません。
また装着感ですが、どのモデルにも共通したアルミニウム製のハウジングは少し角張ったデザインということもあり、角が耳への装着時にちょっと当たる感触がありますが、実際に装着してしまえば特に気になることはありません。
重さも他のイヤフォンよりは重いほう(スペック表記で23g)だと思われますが、いわゆるSHURE掛けですので、装着感は安定しています。
ケーブルは最近の出荷分はLitz Wire Earphone Cable(3.5mm)となっており、取り回しはこうしたIEMに慣れている方にとっては良いほうだと思います。
ご存じの方も多いかと思いますが、ケーブルはCampfire Audioとは縁の深いALO audio製で、MMCX端子でリケーブルは可能なものの、アンバランスで使う上では特にケーブルを交換する必要のない、上質なものです。
ようやく実際に音楽を楽しんでみますと、シングルBAという部分をメリットとすべく、その純度を大切にしているような印象を受けました。
ハイレゾの帯域が…とか以前に、しっかり聴きたい帯域をシングルBAらしく聴かせてくれます。
帯域で言えば、やはり中域の情報量が多く、高域はややキツめでドライな雰囲気に感じます。
低域は量感よりも質感を大切にした印象で、試聴機のエージング具合は不明ですけれど、やや硬いかなという印象でした。
他の3つの同社製IEMと比べても、このORIONで特徴的だったのは定位が非常に明瞭という点です。
イヤフォンなので定位自体は頭上なのですが、奏者の動きまで伝わってくる部分では、このORIONが最も鮮明でした。
さきほどのノイズの分離感もそうですけれど、想像していたよりも非常に現代的で高性能さを感じます。
ボーカルや小編成のものではそうした点がズバッと決まることがある一方、オーケストラはややこじんまりとまとまってしまいますし、ヴァイオリンは主張はそれなりに強めに出てくるものの、やはり高域の伸びがやや不足がちです。
全般的にスピーカーでいえば、良質な2wayコンパクトブックシェルフのような感覚でしょうか。
どちらかと言えば意外とモニター調です。
価格帯や音傾向は必ずしも近いわけではありませんが、SHURE SEシリーズの中でのSE215のような位置づけで、「Campfire Audioの入門編」といった趣を持ちつつ、シングルBAの良さを活かしたストイックな仕上がりだと感じました。
帯域の広さよりも、音楽の質感や温度感を大切にする方にオススメしたいモデルです。
次回はフルレンジBAを2基構成にしたNOVA、それに続いてJUPITER、ANDROMEDAとレビューさせていただこうと思います。
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