ACOUSTIC REVIVEさんのフォノケーブル「PHONO-1.2TripleC-FM」をお借りしました。
うちのオルトフォンのフォノケーブルだと、SAECのトーンアームに取り付ける際にDINコネクタがユルユルで、そういうことは良くあることなのか?とご相談させてもらったところ、試用をと貸していただけることになった次第です。
ちなみにDINコネクタは寸法の規格がいい加減らしく、トーンアームに寄って緩かったりきつかったりすることが多いそうです。
ただSAECのWE-407/23はどちらかと言うとキツいという情報が多いので、うちのケーブルの個体差かもしれません。
そういう場合は、今使っているビニールテープだと音にもあまり良くないので、テフロンテープを使うことを薦めていただきました。
そちらも調達してありますが、それはまた元に戻す時に試してみることにします。
さて、「PHONO-1.2TripleC-FM」はRCAケーブルのハイエンドモデル「RCA-1.0TripleC-FM」をベースにしてDINコネクタとアース線を装備したものですので、やはりそれなりのお値段になっています。
ただフォノケーブル自体、単体トーンアーム所有でケーブル交換する方がターゲットとなりますから、他社も結構な価格帯のものが多いです。
後述しますが、ケーブルの中でも微小信号をデリケートに扱う必要のある箇所ですし、費用対効果はむしろ意外と高いと感じました。
ケーブルの外観は同社のケーブル群を踏襲していますが、構造上特筆すべき点としては、他のフォノケーブルに比べ、DINコネクタから左右、そしてアース線の分離のタイミングが早いところでしょう。
他社の場合はアンプのすぐ側まで5芯のままで、RCA端子やアースの接続の都合上だけ、短く分離しているものも多く見られます。
オルトフォンのものもそういった構造ですね。
コストが掛かるから…というのもあるのでしょうが、早めに分離したほうが理論的にも良さそうですし、実際に聴いてみてもセパレーションの向上に貢献していると思います。
またアース線もただ繋げれば良いという頼りないものではなく、信号線とほぼ類似した構造で作られているところに、こだわりが感じられます。
実際、うちのプレーヤーの場合、プレーヤー側のアースとトーンアームのアースがあるのですが、その両方をしっかり接続することでハムノイズの低減はもちろんですが、低域の厚みやシャープさにかなりの違いが出ます。
そして懸念のDINコネクタですが、これはもうまさにジャストフィットでした。
コネクタの外径がピッタリというのもあるのでしょうが、それ以前にDINプラグのピンへの食いつき具合が全く違うようです。
ちなみにBL-99Vの場合はストレートプラグでないと厳しいのですけど、L型のものも用意されていますし、XLRによるバランス接続にも別注にて対応してもらえます。
ケーブルもオルトフォンより柔らかいくらいで、取り回しも非常に良いものです。
さて実際の出音ですが、キレが全く別次元になりました。
DINコネクタの問題こそあれ、オルトフォンも音の上ではSAEC純正の付属品と比べ、かなりの向上が感じられたのですが、それも遥かに超えてきます。
すでに音がどうこう語る以前に、レコードに刻まれた演奏のダイナミックな情感が見事に再現されていきます。
カートリッジが拾った音をフレッシュなまま、フォノイコライザーに届けてくれる、そんな印象を受けました。
ファインメットビーズも使用されていますが、これも周囲のケーブル取り回しなどの影響を受けやすいフォノケーブルで大きく貢献してくれていると思われます。
低域から高域まで非常にバランスが良く、カートリッジ交換による帯域の違いもより顕著に判別できるようになりましたし、全般的に解像度も高まっています。
なにより、つい音量を上げたくなる、というのが端的に分かりやすい感想かもしれません。
単体トーンアームをお使いの方にはぜひオススメしたいフォノケーブルだと、自信を持って推せる製品だと感じました。
おそらくネックになるのはやっぱりお値段だと思いますが、このケーブルを選ぶかどうかは別にしても、フォノケーブルはカートリッジほどでは流石にないにしろ、トーンアームを替えるのにそこそこ近いくらいの変化はある印象です。
また、前述の通り、意外にアース線が重要なのも忘れられがちですし、単線がアースに良いという説も各所で目にしましたし、実際にも体感しています。
毎度、同じ締めになってしまいますが、同社では無料貸し出しキャンペーンをやっていますし、やや古めの付属ケーブルをそのままお使いの方はぜひご検討されてみてはいかがでしょうか。
(当サイトでは、Amazonアソシエイトをはじめとした第三者配信のアフィリエイトプログラムにより商品をご紹介致しております。)