長年の夢だったACOUSTIC REVIVEさんを訪問することができまして、オーディオシステムを拝見したり、オーディオ界隈のお話をしてまいりました。
今回はまず初日(一泊二日でお邪魔しました)に聴かせていただいたうちの2種類のシステムについてご紹介したいと思います。
機材マニアの方には垂涎の逸品がいっぱいでしょうが、そこはあまり細かく触れず写真を見て楽しんでくださいませ。
まずはAvalon Acoustics DiamondとVIOLA BRAVOを主体にしたシステム1(と勝手に命名します)から聴かせていただきました。
うちにグランドピアノがあることもあり、まずはピアノを主体にクラシックを。
ピアノというのは録音自体がとても難しく、大抵はステージから見て客席で聴いているイメージで横向きのグランドピアノを聴く感じで収録されていることが多いのですが、そうなると左手側が手前、右手の高音側が奥、というステレオでの再現がとても難しい配置となってしまいます。
またソナタなどではホームの残響やグランドピアノの響板などからの音を除くと、モノラルみたいなことになってしまいますから、そこを工夫しつつ収録されているものが多いような気がします。
ちょっと前置きが長くなりましたが、そんな横向きのピアノ像が未だかつて聴いたことがないほど明瞭に再現されています。
さらにピアノ協奏曲、ミサ曲と大編成になるほど、普段私が聴いているシステムとはそれぞれの楽器の配置や大きさ、音色が桁違いの再現度合いで迫ってきます。
そこにはGOLDMUNDが…とかAvalonの特色が…といったようなことは頭をかすめることすらなく、ともかく音楽の素晴らしさがフレッシュに心に届きます。
どうしてこうした違いが出てくるのかな?と一瞬考えたものの、答えはすぐに浮かびました。
それは「押し」ではなく「引き」の表現が素晴らしいからなんですね。
演奏の間のちょっとした「間」や呼吸、そしてピアニシモに入る時など、スッと空気や聴いている自分の心さえもが吸い込まれていく感覚、それこそがその違いの正体なのだと思います。
ホールで開演を待つ瞬間、演奏が始まる前の一瞬、ああした場で感じるものが再現されているのです。
音源はCDから始めましたが、ジャンルなどは一切選ばず、しっかりした音源であればあるだけ、その中に封じ込められたアーティストやレコーディングエンジニアの情熱が解き放たれ、部屋の空間にフレッシュな音楽の精気が蘇ってくるようです。
他のシステムの際にも同じことを繰り返すことになると思いますが、そこには〇〇というメーカーの音とか、ACOUSTIC REVIVEさんの製品の色といったものは思い浮かべることすらなく、とにかく機材自体が出しゃばることはありません。
もちろんそれぞれの良いところは活かしてありますが、決して主張してこないので音楽に専念することができます。
その上でシステム1は同社の製品を生み出すためのリファレンスとしての精度が追究されていると感じました。
いわゆる音像型ですが、そんなに単純ではなく、たとえば管楽器はきちんと前に出てくるわけですが、楽器ごとに音の広がり方、抜け方、素材の質感まで再現されているのに驚かされます。
それはマルチ録音や打ち込み音源でもしっかり活かされていて、エンジニアが意図した配置や空間イメージがしっかりと「再生」されます。
最近の機材や編集ソフトは高精度に演算されていますから、位置関係はむしろ高精度なくらいで、前後左右にきっちり定まってきます。
斜めの広がりなどはやはりホールなどで録音されたものよりやや簡素化されているわけですが、そうした不満は全く感じません。
ここもウチのシステムとの違いになりますが、特定の楽器などからの強い音、特に低域が出た際にも、決して他の楽器の音が濁らず微動だにしないのは流石です。
ここでレコードに移行しますが、気持ち的にも緊張がほぐれてきたものあると思いますが、純粋に楽しい音楽の時間が展開されます。
左右のスピーカーを超えて広大なサウンドが広がるのは、やはり当時のレコードならではの驚異的で奇跡的な記録です。
印象的だったのは「愛のコリーダ」で、当時はただの流行歌くらいにしか思っていませんでしたが、改めて聴かせてもらうと恐ろしいほど鮮烈で、作り込みのスゴさ、そしてそれを見事に引き出したサウンドには、ただただ驚くばかりでした。
こうやって聴かせていただきつつ、いや訪問させていただく前から「帰った後が心配だなぁ」と思っていたのですが、徐々に「今のウチのシステムならたぶん大丈夫!」という根拠のない(?)自信は出てきました。
もちろん敵わないところは山ほどあるけれど、重要なのは音楽の精気、楽しさで、RTP-4 absolute導入辺りから劇的に改善されたことにより、そこは引き出せている、あるいは同じベクトルを向いて改善してきている、と確認できたのが一番の収穫でした。
つづいてシステム2(これも勝手に命名)に移動です。
Westlake Audioありきのシステムだなと勝手に想像しましたが、池袋でオーディオフェアをやっていた頃からの憧れで導入されたとのことで、私もほぼ同じ時代をオーディオとともに歩んできたので、なんとなく伝わってきました。
こちらもCDから聴かせてもらいましたが、これぞWadiaとかMark Levinsonなんていう音は一切出していません。
システム1と同じベクトルを向いていて、ディスクに込めた想いを引き出すことに終始しています。
それでいて、その機材の良さを引き出してあり、システム2側はその上で、心地良さと趣味性を感じました。
楽曲の中には私がGauss CP-3820を使っていた当時のものなどもあり、あの頃に今のしっかりしたポリシーが持てていれば…とちょっと後悔がよぎりました。
エンクロージャの問題とかいろいろあったとは思いますが、こんな風に鳴らしてあげたかったなぁと。
レコードではARAI Labさんの特注フォノイコライザを使い、オリジナル盤のイコライジングカーブの聴き比べもさせてもらうことができました。
記事で検証されていたのは拝見していましたが、実際に聴いてみると「こんなに違うのか!」と驚かされます。
単にハイ上がりとかそういうものではなく、楽器の音色や声質自体が違っています。
想定されない(あえて間違えている、とは呼ばないことにします)イコライジングカーブでは腰高になったり、鼻詰まりになっているんですよね。
単純にトーンコントロールするのとはまた違って位相などすら違っているようにも思えてしまいます。
ちょっと閑話休題で、その検証記事の際の名残がこのレコード群でして元々はそれなりのルールで置いてあったようですが、現状はそれがバラバラになってるんだそうです。
もちろんこれは一部で、全体では2万枚近いレコードがいたるところに収納されているとのことでした。
ちなみに一度も同社製品の比較ですとか、紹介ひとつ無しで純粋に音楽を聴かせてくださいました。
それは私だけではなく、どのご訪問者様でも同様だそうです。
そして不思議だったのは、これだけ超弩級の機材に囲まれながら、「この機材をこっそり持って帰りたい!」とか「ケーブルはどうなってるのかな?」といった気持ちに一切ならなかったことです。
おかげで肝心のACOUSTIC REVIVEさんの製品の使われ具合を撮った写真がほとんどないという失態具合なのですけれど。
もちろん機器がそれぞれに魅力的なのは言うまでもないのですが、興味がとにかく音楽に向かうのですよね。
そこまで追い込むのはおそらく並々ならぬ愛情と情熱が、それぞれのシステムに注がれてきたのだとも感じました。
今回はここまでとして、次回はホームシアターが構築されたシステム3、そして今、社長が取り組まれている70〜80年代機器の実力を引き出したシステム4をご紹介したいと思います。
他にもPCオーディオ開発用ですとか、リビングのソナス・ファベールなど、語りだしたらキリがないのですけどね。
#リビングについては次回、番外編で触れたいと思います。
まだ途中ではありますが、貴重な機会を与えていただきましたACOUSTIC REVIVE様にはこの場を借りまして感謝申し上げます。
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