final audio designのイヤホン「Piano Forte IX」を誕生日プレゼント(の前倒し)で入手しました。
finalのイヤホンは紗羅も含めて好きですけども、ピアノ・フォルテシリーズはかなり独特ですから躊躇していましたが、やっぱり気になってしまいました。
パッケージは古いタイプで、この頃のは布ケースのタイプですが、今のは真鍮製みたいですね。
ちょっと汚れがあるということで格安でしたが、それは清掃すればすぐにキレイになりました。
本体の傷は多少ありますけど、ステンレスですから仕方ないですね。
腕時計用の研磨剤辺りで磨けばキレイになりますけど、その必要もないでしょう。
イヤーピースを使わない独特の形状で、音もやっぱり独特ですけれど、言われるほどではなかったように思います。
ちなみに試しにイヤーピースを適当に逆挿しして聴いてみると、わりと普通のイヤホンの音になるので、普段のイヤホンがいかにイヤーピースの音を聴いている形なのかを体感することになります。
音はその形状から推測する通り、ホーンの音そのものといった感じで、スピーカーで言えばZINGALIっぽいような感じかなぁ。
もっと古い喩えならゴトウユニットの朝顔ホーンに頭を突っ込んだような雰囲気すらありますが、帯域もフルレンジ的とも言えるもので、その辺りも独特な音色の要素のなっている気がします。
装着感は思ったよりもずっと良く、この季節は最初かなり冷たいですけども、慣れてくると疲れないですし、音自体もリラックスできるものなので聴き始めるとわりと長く聴いてしまうクセになるサウンドです。
装着の仕方でもずいぶん印象が変わるところはやはりあって、奥までかなりグッと押し込むのが本来のようですけども、そうすると低域がしっかり出てくる形です。
耳の形に依存する部分はありますが、無理に押し込まなくて、上手い具合に耳たぶで筐体の金属振動をデッドニングすると良いような気がしました。
ジャンルとしてはやっぱり名前のとおり、ピアノが良く似合います。
管楽器や女性ボーカルも抑圧感のない開放的な生々しさを感じさせてくれるものです。
合わないものは弦楽器ですけども、これも全てがダメというわけではなく、オフマイクのほうが合うのかもしれません。
意外なところではヒュー・マセケラが非常に合っていて、ACOUSTIC REVIVEさんに訪問した時にウエストレイクで聴かせていただいたサウンドに近かったりでビックリしました。
やはりそこはコンプレッションドライバー的な鳴り方をするからでしょうか。
また、英語がとても聞き取りやすいとか、打楽器が異様に生々しいのも不思議な感じがします。
クセよりも唯一無二の魅力に惹かれるイヤホンですね。
これ一本だけと言われたらちょっと厳しいでしょうけれども。
全般的にアンプの駆動力は必要そうですが、鳴らしにくいというわけではありません。
むしろ歪みの少ない現代的なものよりも、分解能が重要そうな印象でした。
帯域は前述のようにフルレンジ一発的な雰囲気はあるので、ややナローではありますが、サウンドに密度が高いので満足感は十分にあります。
ある意味、俗に言うレコードのような温かい音のような世界観ですが、独特の生々しさはちょっとそう簡単には説明しづらいものがあります。
イヤーピースがないことも大きく貢献しているのは間違いないですが、間接音が相対的に少ないからかなぁとも感じました。
見た目的には金属臭たっぷりのように見えますし、実際、ハウジングの響きは乗ってくるのですけれども、ゴムなどを介してダンピングされた間接音よりも素直なのかもしれません。
これを聴いた後にDORADOを試すと、もちろん帯域は広くバランスも良いのですが、どことなく抜けが悪く感じるところがあります。
空気の行き先がないと言いますか、バスレフ的なサウンドに感じてしまうんですよね。
Piano Forte IXは良い意味でも悪い意味でも楽器的な音の出方、それ自体が発音体としての形状を成している部分に特色があるように感じました。
それだけに固有の音色があるので、それが常に乗ってくるところはありますが、そのデメリットを差し引いても余りある魅力を感じるイヤホンです。
他のイヤホンと使い分けることにはなりますが、大切に愛用していきたいと思っています。
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