DENONのCDプレーヤー「DCD-1650AR」を追加してみました。
修理に出したREVOX B226Sが電源トランスの故障で修理不可(なんとかできないこともないでしょうけど)だったこともありますし、ちょっと前にゲットしたDCD-1550ARが思ったより良好だったのもあって上位モデルが気になったというのが理由です。
DCD-1550ARとは電源部と部品を多少補強した程度かと思っていましたが、実際にはDACチップ自体が異なり、PCM1702を4個搭載(DCD-1550ARはPCM61Pが2個)となっていて、むしろS10IIの廉価版という趣です。
ちなみにPCM1702は並列ではなく、差動で使ってあるとのことです。
ドライブ部分も銅板を被せたりしてありますが、ここは本質的には同じです。
状態は今回のはお世辞にも良いとはいえず、まずセンタースピンドル部分のターンテーブル(ただの輪っか)が脱落していました。
このドライブを使ったメカには良くあるトラブルでして、ネジが多くてアクセスには手間取ったものの、無事に元に戻せました。
さらにこちらもこの機種定番のトレイのベタつきが酷く、そちらも中性洗剤とアルコールでしつこく取り除きました。
届いた段階ではCDがトレイにペッタリくっついてしまうほどのベタつきでした。
コラーゲン配合の塗料を塗っていたらしいですが、取り除いたら効果はなくなってしまいますけどね。
ここまでやって動作はやっと正常になりました。
ピックアップは1550ARよりは多少ヘタっている様子ではあるものの、音飛びはなく、SACDハイブリッドやCD-Rも問題なく再生できます。
可変出力やヘッドホン出力も問題ないですが、可変出力がヘッドホンボリュームと兼用でリモコンにも対応してないので、そこは1550ARのほうが使いやすいです。(実際は固定出力を使いますけど。)
低域のパワフルさがかなりのもので、帯域もかなり下まで伸びている印象です。
意外と真面目な音色で誇張感は少なめで素直ですが、音が前に出てくる感じは1550ARに通じるものがあります。
中高域はやや強めだが、キツすぎることはないですし、そのあたりも含めた押し出しの強さが魅力でしょう。
1550ARよりも情報量が多くハイファイ寄りで、楽器の分離が良く、細部まで表現されている印象です。
ルボックスのようなザラつき感はないのは年代的なものもあるのでしょう。
音像はDP-77と比べればやや膨らむところもありますが、包まれるような感覚があり、リラックスして聴ける気がします。
ただケーブルの影響を受けやすい傾向もあり、そのあたりのチューニング次第で欠点は克服できそうです。
特に電源ケーブルの影響がかなり大きい気がします。
DP-77と比較してみますと、DP-77のほうが左右の広がりがありますが、その分、中抜けっぽさも少し出てくるケースがあります。
DP-77はACOUSTIC REVIVEのインシュレーター「RKI-5005」導入でホントにバランスが良くなったので、まだチューニングを追い込んでいない1650ARとそのまま比較できない部分もあるでしょうけれども、上品さではやはりDP-77のほうが上かな。
ただ、SACD主体のチューニングのせいか、CDでは少し脚色っぽさは感じられることもあります。
一方のDCD-1650AR、直接音は楽器の音色として素直で良いのですが、間接音がややドライになりがちな傾向です。
しかしヴァイオリンなどはほどよくウェットでギスギスは全くしないですし、かなり元気の良いサウンドが魅力でもあります。
ベースはソリッドで音像も膨らまないのですが、中高域は稀にキツさが垣間見えることがあり、ここは対処をしたいところです。
そこでまずはRCAケーブルを「RCA1.0 TripleC-FM」と「POWER STANDARD TripleC-FM」にしてみました。
これで音像は膨らまなくなり、シャープになりましたし、交響曲での楽器の分離が目に見えて良くなりました。
中高域のキツさもほぼ目立たなくなったようです。
さらにプラスチックな純正の脚をセイシンのインシュレーター「RASEN SA-5015」に交換してみました。
筐体の歪みも多少あって少しガタが出たので、鹿革とクロロプレンで調整してあります。
この効果もなかなか絶大でして、高域が澄んで感じます。
ザワザワしたところがスッキリして品の良い質感になり、金管楽器の抜けの良さが大きく向上しました。
金属製の脚なのでキンキンしないか多少心配しましたが、そんなところは微塵もなく、澄んだ音色になってくれたようです。
その後も、DP-77と何度となく比較していますが、思った以上に音の質感が異なるのはちょっと驚きます。
DENONは楽器の音色が自然で押しが強いですが、やや音数が少ないのはやはり若干の弱点でしょうか。
音楽自体にはこちらのほうが没入しやすいところもありますけど、オーディオ的に聴き込むと不満に感じる部分もないわけではありません。
ただ低域はとても伸びていて、帯域としてはオーディオ的にも十分です。
一方のDP-77はCDで不自然に余韻が左右にブレて入ることがあって、これはDSPによるアップサンプリングの影響なのでしょうか。
それが本来ディスクに入っているホールトーンなのかは確実なことは言いづらいのですけれども、おそらく双方のマッチングで相性が悪いケースがあるのでしょう。
上手くハマると情報量と臨場感の高さに繋がることもあるのですが、不自然さが気になることも多いんですよね。
SACDではそう感じるケースはほぼないので、やはりアップサンプリングの弊害かなと思っています。
REVOXの代替になるかと言われるとちょっと違う気もしますが、CD再生時の使い分けには十分なってくれそうですし、当面この2台体制で運用してみようと思っています。
|
(当サイトでは、Amazonアソシエイトをはじめとした第三者配信のアフィリエイトプログラムにより商品をご紹介致しております。)