• 158月

    だいぶいろんなイヤホンが揃ってきたので、普通に聴きつつメモを取った内容をまとめて比較レビューみたいな記事にしてみます。

    まずは比較的上位モデルから挙げていくことにします。
    最初はqdc 8SEです。
    圧倒的に澄んだサウンドが特徴的で、音階まで明瞭に聴き取れます。
    現状はケーブルにqdc Anole付属のものを、イヤーピースにSpinFit W1を使用していますが、やや長めのノズルによって少し耳から遠い装着感以外は欠点がほとんどありません。
    音自体はIEM的で中音域に寄っていますが、非常に自然でジャンルを選ばず聴けます。
    古い録音でもそつなく再生できるのが魅力です。

    つづいてUnique Melody Maverick Tiは大きな筐体で最初は耳から外れやすかったですが慣れてくると意外と装着は安定しています。
    ケーブルにやや太めで硬いEffect Audio Ares II+を使っているのも逆に功を奏しているのでしょう。
    下もしっかり出てくるようになったのでベースの実在感もあってジャズがゆったりしっかり鳴るようになりました。
    やや薄いと言われる低域も補強された形で、SENNHEISER HD800で聴いた後に同じアルバムを聴いても鮮度はむしろあるくらいに感じるレベルになっています。
    下手に音の広さを作ろうとしない分、直接届く感じがあるのも良いのでしょう。
    金属筐体も薄いチタンで響きを適度に乗せてくるので金管楽器に強い傾向はありますが、そんなにキツくなり過ぎないお化粧程度で独特にリスニング時の爽快な満足感につながっているように思います。

    次はHIFIMAN RE2000 Silverです。
    現状、イヤーピースにSednaEarFit Originを使用し、ケーブルはEffect Audio Grandiosoを使用しています。
    音傾向は意外とFAudioに似ていますが、やや前寄りで広めの音場が特徴です。
    高域は少し硬めで、静音部の描写が美しいですが、低音はもう少し出ても良いかもしれません。
    トランペットなどの金管楽器の音が印象的でハードドームのような鳴り方をして、ある種アルミカンチレバーっぽい音が乗る感じがあります。
    意外にも古い音源との相性が良く鮮度感のあるサウンドを聴かせてくれますが、ちょっと角度の付いたケーブル出しと筐体形状のせいか、装着感がいまひとつで意外と出番が少ない傾向です。

    つづいてFAudio Chorus。
    Macbeth Tiと比べると明るく華やかな音色が特徴です。
    低域はこってりしていますが全体的には爽やかな印象で、ロッシーニの楽曲では各楽器の色合いがしっかりと表現されます。
    こうした音傾向は太めのEffect Audio Ares IIを使っている影響があるかもしれないですし、装着感もその太めのケーブルのせいもあってか、左が若干浮きやすいです。
    ただSpinFit OMNIをイヤーピースに使っているのである程度はカバーされて、頭部後方に広がるような音場が再現されます。
    楽器の分離が良く、音色が自然でクセが少ないため、聴き慣れていないアルバムでも飽きずに楽しめます。

    お次はUnique Melodyの初代MaverickとMacbeth Ti。
    初代Maverickはやっぱり安定感があってクセが少ないです。
    ハウジングも奇をてらったところがないぶん、装着も安定していますし、中域を中心にリアルな音色で鮮度が高く感じる場面が多々あります。
    今となってはだいぶ古いモデルですけど、他の同時期のイヤホンと比べたら現行のものとしっかり勝負できているモデルかなと感じます。

    Macbeth Tiは当初はMaverick Tiよりバランスが良いのでは?と感じる側面が多かったのですが、現状は全体的に重厚感が足りないような印象が出てきました。
    低域も量感はあるのですがなんとなく体感的には薄いというか深みがないような感じです。
    イヤーピースが純正のままなのもシリコンに慣れるとちょっと浮く感覚が出てくる部分がありますし、扱いやすいようにと細めのケーブルを組み合わせているせいもあるかも。

    最後にqdc対決(8SEはもう挙げましたが)で。

    qdc 3SH SEはしっとり系で尖ったところはあまりなく、感覚的にはソフトドームの2wayブックシェルフスピーカーのようなまとまり方です。
    古い音源だと音揺れが目立つ傾向がある気がして、そういう部分は若干モニター風味な部分もあります。
    音のバランスとしては中域を重視しつつ、中高域のわずかな華やかさと中低域のややゆったりした量感が特色でしょうか。

    qdc NEPTUNEは全体的に柔らかく、帯域は決して広くないですがどこも過不足ないバランス感覚の良さがあるのはやはりヒットモデルならではでしょう。
    単体で聴けば「これで十分なのでは?」とすら感じますし、なにより付け心地が良いので音楽に没頭できます。
    イヤーピースにACOUSTUNE AEX70を選んだことも装着感の良さを強化しているのでしょう。

    qdc Dmagic Soloは他のイヤホンから切り替えると若干曇った感じがあって、喩えが良いかわかりませんがLINNのかつての黒箱のような雰囲気があります。
    低域はぽってり厚めで全体に柔らかくてスローな感じです。
    装着感も悪くはないですが、逆に特筆するほどの良さも少なめかな。
    のんびり聴くには意外と悪くないのでそういう意味ではNEPTUNEに通じるものもあるのですが、音のバランスの取り具合としてはある意味真逆です。

    最近のヒット作、qdc Superiorはこれまた単体で聴くとこれだけでもう上位モデルは要らないのでは?という説得力や圧倒感があります。
    やや厚みのあるヘッドホン的な低域が特徴です。
    わずかにドンシャリ傾向がありますが、全体としては最近のイヤホンの進化を感じさせる音質です。
    高級なサウンドかといわれるとちょっと雑な部分は長く聴いていると随所に出てきたりはしますし、好みが出そうな箇所はいろいろありますがまあ優秀かと。
    これまた分かりづらい喩えで恐縮ですけど、Speakers Cornerのレコードの音傾向に似た印象があります。
    ちなみにケーブルはLuminox Audioのを付けていますが、できれば(4.4mmも含めて)純正じゃないもののほうが本領発揮させる上ではオススメです。

    イヤホンを入手して終わりではなく、イヤーピースやケーブル、さらにはDAPとの相性なども含めて印象が変化していくので、今回の簡易レビューもかなり環境や思い入れに依存しているところがあるでしょう。
    ただ、いろいろ聴いていくと個人的には「長時間聴いても飽きないイヤホン」が結局は強いのかなと感じました。
    そういう点ではqdc 8SEとUnique MelodyのMaverick Ti、Maverick、それにFAudio Chorus、廉価なほうだとqdc NEPTUNEがそれに該当している感じがします。
    もちろん各モデルにそれぞれ特徴や持ち味がありますので、好みや用途に応じて選ぶ参考になれば幸いです。(古いモデルばかりであまり参考にならないかもしれませんけど。)

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    Filed under: Audio
    2024/08/15 12:00 pm | No Comments

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