少し前に導入して絶大な効果を得た47研究所の豚革シートですが、鹿革のもあってこれがどうしても気になるということで入手してみました。
豚革とは結構違い、クレープ生地みたいにふわふわしています。
写真を撮った時点では、梱包の関係でだいぶシワが寄っていましたが、それはすぐに落ち着きました。
むしろ小さなゴミなのか毛羽立ちなのか、最初のうちはレコードに付着しがちだったのが気になりましたけど、こちらも同様に数枚再生していれば付かなくなります。
まずは静電気の具合ですが、豚革よりはややレコード面にくっつきやすいです。
静電気の量自体はそう多くなくて、再生時のスクラッチノイズは少ないんですが、なにぶん革が柔らかいので、シートがまっすぐに固定されづらい影響もあるのだと思われます。
ただそれも一部の静電気を帯びやすいディスクの場合で、下のマグネシウムシートと慣れて平面性が高くなってくるとさほどひどくくっついてくることはなくなりました。
さて気になる音ですが、想像よりもずいぶん豚革とは違いがあります。
鹿革はしっとりとした湿度感を持った艶のあるもので、高域の耳当たりは柔らかいですが繊細さを併せ持っていて、穏やかさの中にこんな音まで…という感動があります。
低域は適度に締まったものですが不足はなく、むしろ豚革の時はちょっと固かったんだなと気付かされます。
豚革もピアノや打楽器のダイレクトな感じはなかなか良かったですが、鹿革になってピアノとともに流れるフルートなどの管楽器の音が明瞭で美しいなと感じるようになりました。
ディスクによって感じる粗さが減って、緻密な音楽の世界が広がってくれます。
それと較べてしまうと、豚革のほうはデッサン画っぽさを感じてしまいます。
ちなみに2枚重ねについても試してみました。
まずは豚革を上に重ねてみましたが、これはほぼ豚革のみと同じ音傾向になります。
逆に鹿革を上にするとこちらも鹿革の音傾向になりますが、少し足元が柔らかくなり過ぎた気もして、緻密さが少し揺らいだ印象です。
どうやらうちの場合だとサンシャインのマグネシウムシートの良さが基本にあって、これを生かしつつレコード盤を支えるという意味合いで革が良いということでしょう。
もちろん両者には価格差がありますし、豚革のダイレクト感もそれなりの良さがあり、下にゴムシートを使うのであれば有効に働く可能性が高いです。
一方、マグネシウムシートと組み合わせた鹿革の奥行き感と穏やかさ、緻密さは一度体感してしまうと、もう戻れないというのもまた事実です。
音質だけを考えるのであれば最初から(STS-1と)鹿革を選ぶのが正解かもしれません。