このところのAccuphaseさんでの修理を通じて、私が感じたところをまとめてみることにしました。
「神話の終焉」としましたが、そもそもそんな神話があるのか?個人的な見解でしかないのでは?というご指摘もあろうかと思います。
あくまでも「個人の感想」としつつも、客観的な事実を主体に実際に起こっていることを書いてみます。
ことの発端はC-280Lのオーバーホール後、しばらくしてからロゴランプが暗くなったり明るくなったりするようになったことでした。
オーバーホールの際に一部のランプをLEDに交換してあったことから、おそらくそれに起因するのだろうと思い、問い合わせて修理に出したわけです。
しかしメーカーでは再現せず、念のためロゴランプを交換(ここ自体は電球のまま)、はんだ付け(本来はソケット)し、コンデンサを追加して戻ってきたものの、現在も症状自体は変わらず発生しています。
そこに先日も書いたDP-77の音飛び問題が起こったわけです。
2017年5月にテレオンからピックアップ交換済みの中古を購入(お店の6ヶ月保証付)し、同年10月に音飛びとトレイが引っ込んでしまうことがあるため、お店に連絡しました。
お店では2016年10月くらいにピックアップ交換に出していましたので、その無償修理(Accuphaseでは修理箇所の故障は1年保証)でピックアップとメインボードAssyを交換されて戻ってきました。
これで音飛びもトレイが引っ込んでしまう問題も解決していたのですが、2019年9月に再発します。
前述のように修理箇所の故障は1年保証なのですけども、セカンドユーザー登録をしているとこれが2年に延長保証されるというのがありまして、前述の修理はあくまでもテレオンさんが修理に出したのですけれども、それはお店が無償修理を使いたかったという都合でしたから、保証自体はオーナーの私のセカンドユーザー登録を有効として2年となっていました。
したがってこれも2年以内の故障=無償修理となり、10月にドライブ全交換とメインボードAssy交換で戻ってきました。
しかしその直後からトレイが引っ込んでしまう現象と音飛びが起きており、再び今週末に修理(厳密には検証)に出すことが決まっています。
文章にすると長くなってしまいますが、要するに3年で3回もピックアップ交換をしておきながら、それでも治っていないというわけです。
DP-77は2002年発売のモデルですから、他のメーカーなら補修用性能部品の保有期間は長くても8年でしょう。
そこをあえて「神話」と呼んだわけですけども、Accuphaseでは修理について以下の掲載をしており、また実践もされてきました。
当社は、発売第一号機のプリアンプC-200、パワーアンプP-300から始まって、現在に至る製品をお受けいたします。お客様がご愛用される限りは旧モデルでもアフター・サービスを行いますのでお申し付けください。
当社のアフター・サービスは「総合点検」を行うため、本社工場修理を基本としております。これによってご購入当初の性能を回復させると共に、さらに長期間安心してご使用頂けるよう心掛けております。
尚、旧モデルの中には、部品調達の関係で修理不可能な場合がありますので、予めご了承下さい。
C-200,P-300は1973年発売ですから、46年前の製品を修理をお受けします、というわけです。
もちろん実際には最後の行にもあるとおり、同社で保有している補修用性能部品が払拭したものについては修理不可能な場合があり、そちらも概算お見積りのページにグレーアウトされた製品群として予め示されてあり、DP-77も該当モデルに相当します。
基本的には1985年前後より古い機種が主体なのですが、CDプレーヤーですとピックアップ、プリアンプはメインボリュームなど主要な補修用性能部品が枯渇してしまったものについては、もっと新しいモデルでも一部修理不可能となっているのが現状です。
プリアンプだとC-290Vの1998年、SACDプレーヤーにいたっては2005年発売のDP-78までが該当しています。
SACDに絞りますとKHM-230AAAというピックアップが原因なわけですけども、これ自体はネットで検索するとパーツとして見つからないわけではありません。
しかし同社の場合、これに限らず部品の持ち込みでの修理は受け付けていませんし、実際問題としても互換パーツ(実際のところは不正コピーされた部品)の可能性が非常に高いものが数多く出回っていて使えないというのが実際のところでしょう。
なおKHM-230AAAの枯渇は2017年初頭にはすでに告知されていました。
そんな中で2回のピックアップ交換をし、修理で2ヶ月ほど留守にしても治っていないという状況はおそらく同社でも異例の事態なのだろうとは思います。
しかしプリアンプの件も含めて、さすがにもう先の掲載の文面に沿わない部分が表出してきているのではないか、というのが率直な感想です。
現実的に14年前のモデルで修理不可能なものがある中、発売第一号機から「お受けいたします」と言い切るには、仮に但し書きがあるとはいえ、無理があるでしょう。
CD/DACに限れば、現行モデルを除く全42機種のうち、10機種が一部修理不可能なわけです。
ちなみに、これまで私(父親が現有分も含む)が使ってきた同社製品は以下のような状態になっています。
製品 | 発売年 | 購入形態 | 購入年 | 修理回数 | 状態 |
AC-1 | 1979年 | 中古 | 2017年 | 0 | 保有 |
AC-2 | 1980年 | 中古 | 2017年 | 0 | 保有 |
C-222 | 1983年 | 中古 | 2014年 | 0 | 保有 |
P-266 | 1983年 | 中古 | 2015年 | 0 | 保有 |
P-600 | 1983年 | 中古 | 2017年 | – | 初期不良返品 |
C-200L | 1984年 | 中古 | 2016年 | 0 | 保有 |
C-200L | 1984年 | 中古 | 2016年 | 1 | 保有 |
DC-81 | 1986年 | 中古 | 2018年 | 0 | 保有 |
C-280L | 1987年 | 中古 | 2016年 | 2 | 保有 |
C-200V | 1987年 | 中古 | 2016年 | – | 初期不良返品 |
T-108 | 1990年 | 新品 | 1992年頃 | 0 | 保有 |
DP-70V | 1990年 | 中古 | 2016年 | 0 | 保有 |
C-270V | 1992年 | 新品 | 1995年頃 | 0 | 保有 |
E-405 | 1993年 | 新品 | 1994年頃 | 0 | 売却 |
DP-75 | 1994年 | 新品 | 1995年頃 | 0 | 保有 |
P-550 | 1994年 | 中古 | 2017年 | 0 | 保有 |
PS-500 | 1996年 | 中古 | 2016年 | – | 売却 |
P-450 | 1997年 | 新品 | 2000年頃 | 0 | 保有 |
DP-77 | 2002年 | 中古 | 2017年 | 3 | 保有 |
A-45 | 2006年 | 中古 | 2016年 | 0 | 保有 |
たかだか20台くらいでは統計にすらならないですけども、1980年代までの10台で3回の修理、2台の初期不良で、1990年代以降の10台ではDP-77だけが修理対象となっており、ここが異常なケースだとは思われます。
新品購入したものは一度も修理に出したことがなく、故障やオーバーホールに出したもののほうが故障頻度が上がっているようにも感じられます。
これらをもって「神話の終焉」と言い切るのは無理があるとは思いますけれども、やはり40年近く経過したものはメンテナンスをしていても厳しいというのは現実なのではないでしょうか。
さらにその後の機種もKHM-230AAAでないにしてもSONY製ピックアップを多用してありますし、パワートランジスタも最近の機種はフェアチャイルドに変更しています。
DACチップも将来的にずっと供給されるか不明ですし、オペアンプも同様でしょう。
そうしたことを考えますと、いつまでも今の修理体制が維持できるとは到底思えません。
こうした状況を生んだ遠因になっているのは個人的な見解ではありますが、セカンドユーザー登録ではないかとも感じています。
これは「有償修理実施後に正常な使用状態で修理した箇所が故障した場合、通常、修理日より1年間保証(無償修理)のところ2年間に保証期間を延長」という特典があるのですが、うちのDP-77のように「毎年壊れる」ようになってしまいますと実質永久保証となってしまいます。
中古ばかり買っている私がいうのも変ですが、新品購入したユーザーよりも中古で買ったユーザーのほうが優遇されるというのもおかしいと感じます。
最後になりましたが、同社の「経営方針・企業ポリシー」(リンク先はPDF)として挙げられている内容はおそらく創業者の春日二郎氏のお言葉を受けてのものだと思います。
その志は大変共感できるもので、だからこそ私も愛用してきた経緯があります。
しかし壊れにくく修理体制が整った同社だからこそ、過去の製品が増えるばかりという問題も同時に重くのしかかってきているようにも思えます。
残すべき神話は継承しつつ、新たな時代に向けても継続できる形で次の神話を築いていっていただければと心から深く願う次第です。
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