MacBSの日常生活的日記

Acoustic Revive LINE-1.0R-tripleC-FM レビュー (3)

Acoustic Reviveさんにお借りしているRCAケーブル「LINE-1.0R-tripleC-FM」ですが、以下のケーブルなどをまだお借りした状態ですので、ほぼ全てのケーブルをアコリバさんのケーブルにしてテストしてみようかと思い立ちました。

・RCAケーブル: LINE-1.0R-tripleC-FM
・電源ケーブル: POWER STANDARD-tripleC-FM (2本)
・USBケーブル: USB-1.0PLS
・USBターミーネーター: RUT-1
・ヘッドフォンリケーブル: REC-130SH-R

あいにくスピーカーケーブルがありませんし、パワーアンプなどを経るとどうしても他のケーブルを経由してしまいます。
そこで、SE215のリケーブルを活用して以下のシステム構成でヘッドフォンで試聴すればほぼ全てがアコリバにできるはずだと。
#同軸デジタルケーブルだけ違いますが、まぁそこは大目に見てください。

[ ほぼアコリバ構成 ]
パソコン: Apple Mac mini
USB-DDC: JAVS X-DDC(電源:第一電波工業 GSV500)
DAC: ATOLL DAC-100
Pre Amp: LINN MAJIK-IL
Earphones: SHURE SE215

USBケーブル: ACOUSTIC REVIVE USB-1.0PLS
USBターミーネーター: ACOUSTIC REVIVE RUT-1
デジタルケーブル: CHORD Signature Digital
音声ケーブル: ACOUSTIC REVIVE LINE-1.0R-tripleC-FM
ヘッドフォンリケーブル: ACOUSTIC REVIVE REC-130SH-R
電源ケーブル: ACOUSTIC REVIVE POWER STANDARD-tripleC-FM(ATOLL,MAJIK-IL)

おまけにヘッドフォンならいつもより大きめの音量でチェックできますし、据え置き機をヘッドフォンでお使いの方にも参考になるかなと。
もちろん、スピーカー再生時でもACOUSTIC REVIVEのケーブル導入時のサウンドにおける破綻の無さ、フォルティシモでの分解能の高さ、その中で脇を添える小音量の楽器との分離の明瞭さは特筆すべきものがあり、よりダイレクトに耳に届くヘッドフォンオーディオとの相性も良好じゃないかと考えていたところです。

そこでまずは以下の従来構成で予行演習です。

[ 従来構成 ]
パソコン: Apple Mac mini
USB-DDC: JAVS X-DDC(電源:第一電波工業 GSV500)
DAC: ATOLL DAC-100
Pre Amp: LINN MAJIK-IL
Earphones: SHURE SE215

USBケーブル: QED Performance Graphite USB
デジタルケーブル: CHORD Signature Digital
音声ケーブル: LINN Silver Interconnect
ヘッドフォンリケーブル: ACOUSTIC REVIVE REC-130SH-R
電源ケーブル: ACOUSTIC REVIVE POWER MAX-5000(ATOLL), WireWorld AUP III(MAJIK-IL)

音源にはハイレゾのベートーヴェン交響曲第7番第1楽章、新世界より第3楽章、あとは自作の寄せ集めチェックディスクで諸々のジャンルをチェックしました。
音量は普段聴く際の音量よりだいぶ高め(普段が5,今回は12)にしてあります。
従来構成で聴いてみると低域の量感が減ってスッキリしていますが、ベト7でフォルティシモに来るとパーカッションを含む低域がただの音の固まりになってしまいます。
また、楽器の音が平面的でハイレゾの良さはあまり見受けられません。

ここでRCAケーブル以外を全てアコリバに交換し、第2弾の予行演習です。
先ほどのフォルティシモでも低域の音階がしっかりしてきましたが、まだ混沌とした部分は残りますし、高域のピアニシモはやや濁った印象があります。
ただ先ほどまでと大きく違うのが情報量の多さで、奏者の出すささいなノイズやクラリネットのキイの音ももれなく正確に聴き取れているのに驚きます。

どれが効いているのか試そうとUSBターミーネーターを外してみると、なんとなくざわざわした感じになり、再生中の暗雑音が増えたような印象です。
戻してみるとヴァイオリンの弦の響きが滑らかになり、バックを支えるそれぞれの楽器の音色など、情報量が増してきます。
これ一つが決め手とは言い切れませんが、従来構成との違いという点では意外にこれも効いていたようです。
USB-1.0PLSについては透明感が圧倒的に違ってきますし、フルートの音色がより本物に近いのが印象的でした。

さてここで本命のRCAケーブル「LINE-1.0R-tripleC-FM」を追加して「ほぼアコリバ構成」で聴いていきます。
低域は思ったよりスッキリした印象ですが階調は明瞭で、実はキレがあるだけで深さは以前よりもあります。
音場が横と奥行き方向に広がり、セパレーションが良くなったような印象も受けます。
従来構成でぐちゃぐちゃだったフォルティシモの音の固まりはすっかりほぐれて、それぞれの楽器として広がってきます。
楽器ごとでいうと、さきほどもUSBケーブルで書いたようにフルートの音色が美しく際立ちます。
SE215が一段格上になったような錯覚すら覚えますし、改めて考えてみるとREC-130SH-Rでリケーブルした時に感じたのと方向性が似ています。

テストディスクでは女性ボーカルやピアノなど、普段良く聴くアーティストの楽曲から音質が必ずしも良くないものも交えてチョイスしていますが、その中でボーカルのリバーブが激しく目立つものもありました。
これがLINN Silverに再び戻して確認してみると、異常なくらいに気になったリバーブがそこまで気にならないんです。
これまでアコリバのケーブルでは、楽曲によってやや人工的な高域の響きが気になるケースがあったんですが、もしかするとこれは音源側の問題なのかもしれないな、と今さら気づいた次第です。
また、以前から薄々分かっていたことですが、ATOLL DAC100がこうした付帯音を強める傾向があり、その難を隠すのにLINNシルバーがちょうど良かっただけなのかもしれません。

ほぼALLアコリバ構成での試聴を続けますと、ピアノは鍵盤の打音やスタジオノイズがしっかり聴き取れますし、良録音とそうでないものが一聴瞭然です。
その点、新世界より第3楽章は録音が良いこともあるのか、その音楽的な魅力が引き立ち、パーカッションの音も濁らず明瞭で躍動感があるもので、試聴を忘れて音楽に引き込まれます。

今回の試聴で良く分かったのは、他社の一部ケーブルは機材や音源の関係で濁ったり混じったりした部分を化粧で整える方向があるのだという点です。
アコリバの場合はそうした小細工は無しで、むしろそれを最小限にしようと純度を高めているのが感じられます。
もちろん、その上でやはり機材を変えられないなどの理由から、ちょっとした薄化粧を施すケーブルを入れたくなることもあるでしょう。
ただそれをやり過ぎて私のようにケーブル沼にハマってしまうよりは、まずしっかり純度の高いアコリバで基本を固めるのは正しい道のようにも感じました。

とりわけデジタル寄り、入り口寄りではまだお化粧は不要なはずで、その点で上流にアコリバを使うのは非常に有効ですし、そこまで固めて機材の本質を理解してから、スピーカーや一部のケーブルで好みの部分は受け持つべきなのだろうとも思った試聴で、自分自身としてもとても参考になる試聴でした。

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