ACOUSTIC REVIVEの新作電源ケーブル「POWER SENSUAL-MD」をいち早くお借りしました。
まだ公式サイトにも詳細は出ていませんが、一部雑誌ではすでに掲載されているようですし、間もなく発売のはずです。
明日6/23にはオーディオユニオン・お茶の水アクセサリー館さんで「第13回オーディオ・アクセサリーリレー試聴会」が開催され、18時からACOUSTIC REVIVEさんの試聴会ですので、そちらで試聴できるかと。
お近くの方はぜひ実際に体感していただくのがいちばんかと思いますが、行くべきかどうか迷っていらっしゃる方の背中を押してみたいと思って速攻レビューしてみます。
特徴はなんと言っても「MDユニット」と呼ばれるケーブル中央付近の大きなコブでしょう。
このユニット、出川三郎氏発案となるもので、ケーブル内にゼロ磁界を生み出すものだとか。
ユニット自体を動かすことはできないようですが、ノイズフィルタの類いのようにケーブルの間に挿入されているのではないのが特徴です。
かなりの重量がありますので、私は同社のケーブルインシュレーター「RCI-3H」を2つ工面して両脇を挟む形としました。
MDユニットの直径は実測で59mmほどあり、RCI-3Hのくぼみの部分には入らないですし、試作品よりはだいぶ軽量化されたらしいですが、そこそこ重さもありますので、縦型ラックをお使いの場合は注意が必要かもしれません。
まだ公式情報がありませんが、装着位置はカスタム可能かもしれませんので、そこは要問い合わせかと思います。
MDユニットに負けず劣らずスゴいのがこのNCFプラグで、NCFによる静電気対策はもちろんですが純銅電極を使ってある点が非常にメリットが大きいのではないかと思います。
以前あった「POWER SENSUAL」の銘を背負って登場しただけあって、同社の技術と情熱の粋を集めて生み出された電源ケーブルと言えそうです。
なお電源ケーブル自体はPSEを通してありますから、PC-TripleCの撚り線の3芯構成となっています。
POWER STANDARD-tripleC-FMとの比較はまた後日やってみたいと思いますが、太さも若干太いものとなっていますし、MDユニット搭載によってか、ファインメットは搭載されていないようです。
早速、パワーアンプ(Accuphase P-550)で使ってみますが、エージングもまだまだの中、透明感の高さが当初から印象的です。
雑味がなく、いわゆる分離の良さが際立っています。
これまでも同社の電源ケーブルが使用されていたところを置き換えたのですが、さらに混沌さが解消されて、まさに楽器が楽器としてそこに存在しているかのようです。
先日、ACOUSTIC REVIVEさんをご訪問させていただいた際に、立ち下がりの良さが非常に印象的だったのですが、その時と同じ感触がうちのシステムにもようやく感じられるようになった気がするのは気のせいでしょうか。
引き際がハイスピードで、部屋自体のS/Nが上がったかのようにすら感じられます。
ご訪問させていただいた時、すでにこの電源ケーブルが導入されていたか否かはあいにく確認しなかったのですが、私の中では確信を持ってこの電源ケーブルが入っていたのではないかと思う出音の方向性です。
もちろん、XLRケーブル等の見直しもあって徐々に近づいてきているところもあるとは思いますが、今回のステップアップはそれらの変化とはまた違った次元の部分があるように思います。
正直、今までが濁り水を飲んでいたかのよう…と言うと多少大げさかもしれませんが、初めて熊本の湧水をその場で飲んだ時のような新鮮で鮮烈、そして聴いているだけで吸い込まれるような深い透明度はACOUSTIC REVIVEさんの新境地を拓いたようにすら思えます。
最初は分析的に聴いていたのですが、メモを書きつつ、少し時間が経ってきて客観的に聴いていると、まるで自分のシステムでないような不思議な感覚をおぼえます。
すでに機材が違うとか、ケーブルによる変化といった次元ではなく、オーディオという媒体そのものが介在していないかのように感じられるのです。
俗的な言い方をするならば、これを「スピーカーが消えたようなサウンドになっている」と言うのかもしれません。
定位の良さ、音像のシャープさなどはもちろん高い次元で文句なしですが、楽器から放たれる空気の振動そのものが再現されているような実体感はもはやリアルという言葉では表現しきれないと思えるほどです。
短時間での試聴にあたっては散々聴き飽きた音源を使い、便利なネットワークオーディオからの再生だったわけですが、それでもついつい無心で聴き入ってしまいます。
ある意味、オーディオ的なグレードや質どうこう以前に、「音楽を楽しむ」という基本に立ち返ることができるケーブルではないかというのがいちばん的確な感想ではないかと感じています。
もう少し客観的に評価しますと、クセも非常に少ないですし、現代的なS/Nの高いサウンドで、万能に導入しやすい製品に仕上がっています。
お値段は2mで268,000円(税別)らしいですから、おいそれと手を出しづらい製品かもしれませんが、ぜひ一度この新次元の電源ケーブルを体感していただきたいなと感じる次第です。
前述のイベントはもとより、同社では無料貸し出しも実施されていますので、そういった制度もぜひ活用していただきたいと思います。
これからも数回に渡り、配置や比較、ノイズ対策への影響などをレビューできればと思っていますので、そちらも参考になれば幸いです。
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