ACOUSTIC REVIVEの新作電源ケーブル「POWER SENSUAL-MD」ですが、ようやく配置も定まってきましたので、何処にMDユニットを使おうか迷った様子と音の感想などを交えながら紹介したいと思います。
なお、ちょうど真ん中辺りにMDユニットがあるのですが、この位置やケーブル長などはカスタムオーダー可能とのことです。
またMDユニット自体の重量は200〜250gほどとのことで、ケーブルもカーボンCSFチューブもMDユニットの部分で途切れることはなく貫通していますから、ぶら下げてもケーブルが切れるようなことはないと思われます。
また今回は我が家のアース環境に配慮して2芯のみ配線したカスタムのMDユニット付きケーブルも貸し出していただいていますので、以下の電源ケーブルをどう配置するかが検討事項となったわけです。
・POWER SENSUAL-MD(通常製品版)
・POWER SENSUAL-MD(2芯カスタム版)
・POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯NCFプラグバージョン)
・POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯ノーマルプラグバージョン)
逆に電源ケーブルを使う機材は以下が候補となってきます。
・RTP-4 absolute(アンプ系)
・RTP-4 absolute(デジタル系)
・LINN AKURATE DS
・Accuphase DP-77
・Accuphase P-550
あいにくプリアンプやレコードプレーヤーなどは直生えの電源コードなので、1本だけ足りないという状態です。
実際には通常モデルのPOWER STANDARD TripleC-FMも所有していますし、AC-2.0 TripleCもあるのですが、これらはMac Proとネットワークハブに使用しています。
前回までのレビューでは通常版をパワーアンプで、2芯をRTP-4 absolute(デジタル系)で使うという配置でした。
具体的には以下の配置となります。
・RTP-4 absolute(アンプ系) : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯NCFプラグバージョン)
・RTP-4 absolute(デジタル系) : POWER SENSUAL-MD(2芯カスタム版)
・LINN AKURATE DS : Cardas Golden Power Cord
・Accuphase DP-77 : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯ノーマルプラグバージョン)
・Accuphase P-550 : POWER SENSUAL-MD(通常製品版)
アースループを極力作らないことを考慮した接続で、AKURATE DSとパワーアンプを3芯にした形です。
DP-77とレコードプレーヤーを重視したという言い方もできるでしょう。
その目論見通り、SACDの躍動感がフルに引き出されてきます。
ACOUSTIC REVIVEさん訪問時に聴かせていただいて気に入って入手したラフマニノフのSACDも、さすがに訪問時そのままとはいかないまでも音楽的な魅力に溢れた演奏の素晴らしさを存分に堪能できるものになってくれました。
唯一の弊害はついついボリュームが上がり過ぎてしまうことですが、全く煩く感じる部分がなく、ひたすら純粋に音楽をそこに再現してくれるのは驚くばかりです。
それだけに音源の差も如実に表れる形で、良好な録音では低域の腰の強さと音場の広がりの再現度が段違いとなってきます。
位相が整うことで、楽器それぞれの位置関係や楽器から放たれる音の指向性や質感が歪みなく伝わってくるからでしょう。
オーディオを趣味にしていると、ともするとやはり結局「ルームアコースティックが…、部屋が…」と言われがちですし、もちろんそれもとても大切なことなのですが、すでにパワーアンプの出音の時点で位相の乱れがあっては対処のしようがないわけで、その意味でもPOWER SENSUAL-MDの凄みは聴き進めていくほどに痛感してきます。
もちろん、RWL-3やWS-1との相乗効果も大きなもので、澄み渡る空気感とドッシリとした安定感がそれまでとは段違いとなってくれました。
ちょっと大げさかもしれませんが、まるで楽器それぞれにスピーカーが割り当てられているように感じることすらあるほどです。
それだけ没入感が恐ろしく高くて、以前なら部屋の灯りを暗くしないと気分が入らないこともありましたが、それはある意味、想像で再現性の不足を補っていたのではないかとも感じるようになったくらいです。
音色の変化や奏者の細かな指使いもここまで出てくるのかと言わんばかりに表出してきますし、何よりも「好きな音楽を良い音で聴きたい」というオーディオを始めた当初の本来の欲求を満たしてくれるようになりました。
「もうこのままで良いんじゃないか?」とも正直思いましたが、配置を色々試行錯誤もしてみました。
まずは電源タップ双方にMDユニットを割り当てるほうが良いのでは?ということから以下の配置が有望かなと推測して試してみます。
・RTP-4 absolute(アンプ系) : POWER SENSUAL-MD(通常製品版)
・RTP-4 absolute(デジタル系) : POWER SENSUAL-MD(2芯カスタム版)
・LINN AKURATE DS : Cardas Golden Power Cord
・Accuphase DP-77 : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯ノーマルプラグバージョン)
・Accuphase P-550 : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯NCFプラグバージョン)
このほうが透明度が高まってより見通しが良くなりますが、力感はやや下がった感があります。
それは鮮度が上がったからだという可能性もありますし、実際、より霧が晴れてスッキリ爽やかな感覚は受けました。
一旦元に戻してみても厚みは戻ってくるものの、楽器の音色は滲んで録音が古くなったような印象はあります。
またMDユニットを何で支えるか、についても再度試してみました。
NCF Booster-Signalを使うのも試しましたが、これは音が痩せて細くなってしまい、まるでダメでした。
サイズ的にもギリギリなので、横の金属の棒がマイナスに作用しているのでしょう。
正直これを使うなら床に直置きのほうが良かったです。
SPECのインシュレーターも途中で試しましたが、最終的にはやはりRCi-3Hで両側から挟むのがベストで、最初に戻した形です。
さらに音の入り口にMDユニットを…という考えで、DP-77にPOWER SENSUAL-MDも試しました。
・RTP-4 absolute(アンプ系) : POWER SENSUAL-MD(2芯カスタム版)
・RTP-4 absolute(デジタル系) : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯ノーマルプラグバージョン)
・LINN AKURATE DS : Cardas Golden Power Cord
・Accuphase DP-77 : POWER SENSUAL-MD(通常製品版)
・Accuphase P-550 : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯NCFプラグバージョン)
こちらはいつものノイズ計測も交えて試してみましたが、まずノイズ改善の面で思った成果が出てくれませんでした。
DP-77はもちろん悪くないのですが、AKURATE DSやレコードプレーヤーのノイズは増加傾向となってしまいます。
出音としては意外に悪くないのですが、やはり一度にたくさん導入は難しいことを考えますと、総合的に効いて欲しいという欲が出てしまいます。
その後もDP-77はそのままに他を色々試行錯誤してみましたが、根本的な状況の変化はなく、決定打に欠ける形となりました。
そんな試行錯誤の中でわかったのはNCFが低域の力強さに大きく貢献している点です。
また、MDユニットは使用する機材そのものがノイズを発生しやすいもの、つまりパワーアンプやデジタル機器、それを束ねる電源タップで良好な結果が得られるようです。
微妙な違いなはずなのですが、MDユニットを導入するととにかく音像が膨らまないので、そうした「乱れ」をすぐに感知してしまう形となってしまいます。
結果的には前述の通り、デジタル系とパワーアンプでMDユニットを使うのが最も効果的と判断しました。
機器へのノイズ混入を低減する効果ももちろんですが、むしろ他の機器へのノイズの回り込みを減少させることが期待できるのではないかと感じた次第です。
もちろん全てにMDユニットを使いたくなるというのが本音ですが、一箇所入れるとしたら、最もノイズを出しやすい部分が良いのではないかと思われます。
また電源規模が大きいことでやや鈍重さが感じられる部分に入れて、システム全体のスピードアップを図るのも良いと思います。
そうなると個人的にはパワーアンプがオススメですし、ノイズに敏感でノイズ源になりやすいDACも有力候補になるのではないでしょうか。
もう少し欲張って2本導入できるのであれば、デジタル系の電源タップで総合的な底上げも望めるかと。
そんなこんなで電源ケーブルは当初に戻って以下の配置となりました。
・RTP-4 absolute(アンプ系) : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯NCFプラグバージョン)
・RTP-4 absolute(デジタル系) : POWER SENSUAL-MD(2芯カスタム版)
・LINN AKURATE DS : Cardas Golden Power Cord
・Accuphase DP-77 : POWER STANDARD TripleC(FMなし、2芯ノーマルプラグバージョン)
・Accuphase P-550 : POWER SENSUAL-MD(通常製品版)
その他、メインシステムのケーブル配置は現在、以下の通りとなっています。
LANケーブル: ACOUSTIC REVIVE LAN-1.0 TripleC(NWP), ACOUSTIC REVIVE R-AL1(NAS)
音声ケーブル: ACOUSTIC REVIVE RCA-absolute-FM(CDP), ACOUSTIC REVIVE RCA-1.0tripleC-FM(NWP), Accuphase ASLC-30(pre-power)
スピーカーケーブル: ACOUSTIC REVIVE SPC-REFERENCE-TripleC(Bi-Wire)
トーンアーム ケーブル: ACOUSTIC REVIVE PHONO-1.2TripleC-FM
なんだかACOUSTIC REVIVEさん一色になってるような印象はありますが、実際にはまだヘッドホンアンプ系などに若干違うものも残っていますし、カセットデッキなど、普段あまり使わないところや上記の中にもところどころ残っています。
ただ、それは別に偏狭的な思想では(少なくとも私の中では)決してなく、出音やノイズ計測なども実施して比較した結果、必然的にそうなったと言えるものです。
毎度のことですが、これも貸し出しサービスの恩恵でもあるわけで、高級なケーブルであればなおのこと、ぜひご自宅でご自身の機材を使っての試聴をオススメいたします。
ご友人のシステムや店頭でもある程度は分かりますが、どうしてもその場の雰囲気や金銭感情に流されてしまう部分が(少なくとも私の中では)あるのではないかな?とも感じます。
ちょっと最後は余計なお世話になってしまいましたが、このPOWER SENSUAL-MDの良さはぜひ多くの方に体感していただきたいなと、心から思う次第です。
いつも貴重な機会をいただき、ACOUSTIC REVIVE様にはこの場を借りまして感謝申し上げます。
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