ACOUSTIC REVIVEのケーブルインシュレーター「RCI-3H」があまりに良くて、4つほど追加させてもらうことにしました。
合計6個になりましたので、それの配置や手持ちの他のケーブルインシュレーターとの比較についてレビューさせてもらおうと思います。
ちなみに2個の段階では以下の場所に配置していました。
・クリーン電源の電源ケーブル
・AKURATE DSにつないだLANアイソレーターの端子部分
その段階で「ここにもホントは使いたいけどなぁ」と思ったスピーカーケーブル、そしてパワーアンプの電源ケーブルにそれぞれ2つずつ入れたいなという皮算用で4つ追加したわけです。
まずはその予定通りの配置で鳴らしてみます。
余韻や艶が増すのは前回スピーカーケーブルで試した時と同様ですが、パワーアンプの電源ケーブルを支えたことによって、芯がしっかりしてきました。
ボーカルが明瞭になっているのも印象的で、決して煩かったり主張の強いものではなく、歌詞が明瞭に聴き取れたり、心に入ってくる、そんな感覚です。
RCI-3Hはノイズ対策など特性的な改善だけでなく、ケーブルが本来持つ特色を活かしてくれる「土台」をしっかり整備してくれるというメリットもあります。
その点ではスピーカーケーブルをはじめとした信号ケーブルもその良さがより活きる形となりますが、力強さや静寂感、有機的なサウンドを生み出すという底上げの部分ではやはり電源ケーブルのほうに重点を置くべきでしょう。
また、振動が多いスピーカー周りで効果を体感しやすいのも前回と同様でしたが、できることならばケーブルの一部分ではなく、なるべく全体を支えるのがベストではあります。
さらにケーブルインシュレーターというと太くて硬いケーブルの取り回しのために使われがちかと思いますが、実際はシールドがしっかりしていなかったり、振動の影響を受けやすい構造のもののほうが効果が高く出てくる傾向も感じられました。
つい自慢の高級ケーブルを優先で使いたくなるかもしれませんが、実際には長尺のXLRケーブルや、古い機器で機器に直生えの細手の電源ケーブルで使うのも効果的と言えそうです。
とりわけケーブルの大きさに比して流れる電流の多いもののほうが効果が出やすいように思います。
うちでいちばん最初に導入したケーブルインシュレーターはCardasのマートルウッドで、これは元々、HD-7Aのボード代わりのような形で使うことを想定していたものです。
それをケーブルインシュレーターとして「気分的に嵩上げしてみよう」くらいの気分で使っていたのですが、正直言ってあまり良い効果は感じられず、単純に硬いケーブルの支えや引き回しのガイド、あるいはケーブルどうしを立体交差させる時の「かさ上げ」くらいに捉えていたところがありました。
ところがRCI-3Hを使って初めて、ケーブルインシュレーターはちゃんと「ケーブルの脚」としての役割や効果があるのだと身をもって体感した次第です。
機材用のボードやインシュレーターでも効果が薄かったり、逆に変化としては激変!なものの、妙なクセが付いてしまい扱いに困るものも多いのですが、実はケーブルインシュレーターも全く同じ問題を抱えているようです。
前回も書きましたが、RCI-3Hはまさに同社のヒッコリーボード、クォーツアンダーボードに通じる、音楽性の高さを引き出すもので、そうしたマイナス要素が皆無なのも個人的には大変気に入っています。
ケーブルインシュレーターが電気的に与える効果も少なからずあるのだろうと体験的には感じていますが、それ以上にアコースティックな意味合いでの「碍子」として重要な役割を果たすものだと再認識した次第です。
ともすると木製ということで、響きをプラスするようなイメージを受けがちですが、マートルウッドやお試しで使ってみたSPECとは違い、RCI-3Hは振動やノイズからの絶縁のほうに重きが置かれており、実際の出音でもボヤケたりすることなく、ストレートに多大な効果を発揮してくれています。
設置してレビュー用のメモを書き終えてからしばしのんびりと聴いていたのですが、ふとした瞬間に緊張感が取れ、リラックスして聴けるようになっていることにも気づきました。
考えてみればヒッコリーボードよりもクォーツアンダーボードに近い構造ですし、設置も安定して、振動に対しての乱れ要因が排除されたおかげでもあるのでしょう。
クォーツアンダーボードの効果と同様、最低域部の音階の精度が恐ろしく向上していて、それがリラックスできるサウンドを生んでいる一因のように捉えています。
さらに歪みまで減っていて、まるで電源コンディショナーのような働きをしているようにすら思えてくるのですが、これはパワーアンプに投入した効果だと推測しています。
実際にクリーン電源の歪み計を見ていても分かるのですが、エアコンやパソコンより何より、実はパワーアンプがいちばん電源歪みをばら撒く根源でもあるのは以前から気づいていました。
そのパワーアンプから排出されるノイズを低減する効果も果たしているのかもしれません。
さらにNCF Booster-Signalの製品版も届きましたから、こちらとの比較もやってみました。
具体的にはクリーン電源の電源ケーブルを支える部分をまるっとNCF Booster-Signalに置き換えて比較してみる形を取りました。
NCF Booster-Signalもノイズ対策としては優秀なはずなのですが、比較してしまうと音の勢いが削がれていて抑圧的な印象を受けてしまいます。
RCI-3Hに戻すと有機的なサウンドが蘇り、様々なソースが同様に朗々と唄うようになります。
NCFにも捨てがたい効果はあり現代的にはこうした音傾向が好まれているような気もしますが、どちらを選ぶか?と問われれば明らかにRCI-3Hを選ぶでしょう。
併用することで双方の良さを引き出すことは当然可能だと思いますが。
こうなってくると中途半端に残してあったCardasのマートルウッドも全部取り除いてみたほうが良いのでは?という気がしてきました。
その時点ではスピーカーケーブルのスピーカー寄りの部分やプリ-パワー間のXLRケーブルに残してありましたので、まずはXLRケーブル側を撤去してみると、ボヤけた感じが完全に消沈し、音像もややシャープになりました。
さらにスピーカーケーブルのも外して完全に撤去すると、低域がグッとキレと深みを増し、こちらの差は相当に大きく、正直、RCI-3H導入並みに分かりやすいかもしれません。(苦笑)
そこでスピーカーケーブルでの効果を優先するため、LANケーブルをスピーカーケーブルに回し、最終的には以下の位置となりました。
・スピーカーケーブル(左右各2つ)
・クリーン電源の電源ケーブル
・パワーアンプの電源ケーブル(アンプ近辺)
結局まだ何個あっても足りない感はありますけれど、後日書きますがパワーアンプの壁コンセント側にNCF Booster-Signalを併用する形としましたし、RCI-3H導入前(マートルウッド撤去前…)と比べればまるで別物のケーブルでも導入したかのように有機的な広がりが得られています。
音場の精度も高く、月並みな表現ですが、スピーカーの存在が消えたかのように音源に閉じ込められていた音楽の世界が自然と解き放たれるようになってくれました。
ケーブルインシュレーター自体に懐疑的な方も多くいらっしゃると認識していますが、前述のように他のインシュレータやアンダーボード同様、製品によって効果や方向性もずいぶん違いがあり、一概に良くなるとばかりは言えないですけれども、その変化はわりと聴いてすぐ分かるレベルではないかと思います。
ケーブルにこだわる方ならなおのこと、そのケーブルの美点をよりしっかり引き出すためにも重要な要素ですし、目指す方向のためにも正しい選択が大切ではないかと感じた次第です。
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