ACOUSTIC REVIVEさんからお借りしたMMCXケーブル「REC-130SH-R」ですが、エージングもそろそろ大丈夫かなと、音質について書いていこうと思います。
まず大まかな音質傾向ですが、アコースティックリヴァイブらしい純度の高い透明感があるもので、高域の見通しが良いのが特徴的です。
エージング前はやや電子音っぽい響きが付く印象がありましたが、聴きこんでいくにつれてだいぶ収まってきて、純正ケーブルでは聴こえてこなかった部分まで多くのサウンドが引き出されてきました。
音傾向としてはやや現代的な方向で、SHUREのややかまぼこ型っぽい抑制された傾向を開放する方向に音が変化しています。
また、SEシリーズの遮音性の高さによる音楽への没頭感に加えて、ドライバー自体の持つ能力を最大限に引き出して、さらに音楽に楽しく集中できるものです。
一方、優れたケーブルであるがゆえにSE215の限界も見えてくるのもまた現実です。
中高域がやや前に出てくる傾向もあり、エージングが進んでもこの辺りの帯域に不自然さが若干残っています。
SE215自体、1ドライバーで帯域をカバーする関係上、やや低域寄りに振ったセッティングだと感じているので、高域にやや無理をしている部分の粗が見えてくるのかもしれません。
また、音茶楽さんがカナルタイプで外耳道での共振を指摘する6kHz周辺の帯域と重なる領域でもあり、そこをSHUREはフィルタやハウジングに加えて純正ケーブルでも総合的に抑えこんであったところが表出している面もあるでしょう。
ただ全般には、元々の中域に厚みが付く純正ケーブルの傾向から、フラット志向になり、良い意味でSHURE臭さが薄まる方向です。
なお、欠点が見えてくるのはSE215だけではなく、プレーヤーや音源の違いも相当ハッキリしてきます。
完全にピュアオーディオ的な傾向で余すところなく再現することから、ボーカルの微妙なリバーブやエコーのさじ加減などもしっかり聴き取れてしまいます。
ここまで聴き進めたところで、あえて元の純正ケーブルに戻してみました。
高域が目立たないので低域の量感が豊富に感じますが、全般的にはナチュラルなバランスではあります。
ただし、情報量は激減して、ある意味、BGM的な鳴り方です。
iPodやiPhone直挿しであれば、むしろ色んな部分(音源も含めて)の粗の見えない、このままのほうが聴きやすいかもしれません。
ちょっと聴いたところで結局やっぱりすぐにREC-130SH-Rに戻すと、これは全く別のイヤホンなのか、というくらいに変化します。
正直、リケーブルは「底上げ」程度にしか考えていなかったので、変化の度合いの大きさにはかなり驚いています。
とにかく音数が増えるというのが最大の印象で、そこに魅力を感じればリケーブルの価値は大いにあると思います。
逆にすでに今のケーブルでバランスに不満がないなら、他の部分の粗が見えてしまって本体やポタアンなどをグレードアップしたくなる、という罠もありそうなくらいです。
もちろん今回の感想はSE215での印象ですので、価格バランスとしてはやや悪いのかな、とも正直感じています。
価格的にはREC-130SH-Sくらいが良いでしょうし、逆に上位モデルではダイナミック型ドライバではなく、BAユニットのマルチも多くなってきますし、可能ならば試聴してみてチョイスされるのがオススメかもしれません。