ACOUSTIC REVIVEさんのゼンハイザー用リケーブル「RHC-2.5HS-S-TripleC-FM」を導入してみました。
PC-TripleCとファインメットビーズを採用した同社ならではのヘッドフォン用リケーブルで、いわゆるバランス接続対応のものも揃っていますが、うちのヘッドフォンアンプ「P-1」はアンバランス接続のみに対応なので、通常フォーンジャック仕様にしました。
長さは2.5mで、適合機種はSENNHEISERのHD650を筆頭に今回のHD600、HD580など2pinタイプが対象です。
PC-TripleCも大きいと思いますが、個人的にはテフロン絶縁、そしてプラスとマイナスを同条件に伝送する2芯シールド、そしてアンバランスでも標準フォーンジャックギリギリまで別々の配線で伝送する構造も大きく性能に寄与しているように思います。
2pinプラグも非磁性体ジャック。銀+ロジウムメッキ、-196℃超低温処理、制振処理を施してあり、これだけも単売されています。
さらに大胆に単線を使用していますので、取り回しは若干注意が必要ではありますが、そんなことはこのサウンドを体感してしまうと些細なことに感じてしまいます。
ちょっとレビューが先走ってしまいましたが、HD600をリケーブルして聴いてみるともはや別世界のサウンドで余計な表現は不要なほどです。
それではさすがにレビューになりませんから一応しっかり書きますけども、喩えて言えばこれまでのりケーブルでは水道水の味比べをしていたようなものだなと感じました。
ヘッドフォンのりケーブルは他のケーブルに比べても音の変化が非常に分かりやすい傾向があると思いますが、どうしても味付けでまとめるような傾向が強くなりがちです。
それに比して、RHC-2.5HS-S-TripleC-FMは天然水の世界です。
きちんとオーディオ的アプローチでケーブルの理想を追求してあり、それが出音にもしっかり反映されています。
そう書くとこれまでのHD600の味わいが薄らいでモニター的になってしまったようにも受け取られるかもしれませんが、音質としてはたしかにその方向ではありますが、逆にこれまでがHD600やLUXMNAN P-1の本来のポテンシャルを包み隠していたようなものだと今は感じます。
RHC-2.5HS-S-TripleC-FMへのリケーブルでそれらの持つ良さを最大限に引き出しつつ、より高みに到達できたように感じます。
メイン機材からは分離してPCオーディオにちょっと注力していたわけですが、今回のリケーブルでようやくハイレゾの本質が見えてきた気もします。
もちろんヘッドフォンアンプの強化などもやってきましたが、周波数特性としてではなくもっと本質的な部分でケーブルがボトルネックの部分があったように感じます。
ある意味、ヘッドフォンはスピーカーと同じような非線形な挙動があると思うのですが、そうした部分でスピーカーケーブルの技術も活かされているのだと思いますし、そもそも純度あるいは鮮度を追求する設計の違いとも言えるでしょう。
実際に聴き比べてみると、音の広がり、深さ、雄大さ、もう全てが違い過ぎて別のヘッドフォンと言っても過言ではないほどです。
もちろんHD600より高価なくらいではありますが、単純に上のグレード(HD700,HD800)とは音傾向も異なりますし、HD600やHD650の音色が好きなのだけど、この進化系が欲しい!と感じる方には願ってもないグレードアッププランかと。
特筆すべき点としては発音の精度が非常に高まっているように感じる点で、ピアノの音階や打鍵の音も正確そのものですし、パルシヴな打楽器からボーカルまでそれぞれの機微が豊かに浮き上がってきます。
それでいて音楽全体のバランスはHD600らしく安定していて、8K映像のような世界が展開します。
バランス接続が注目されがちでアンプやDACなどに目が行きがちかと思いますし、外出先で気軽に使うケーブルとはちょっと違うでしょうけれど、リケーブルによる音質向上はお気に入りのヘッドフォンの底上げとしてある意味いちばんの近道ではないかなと感じた次第です。
同社では貸し出しサービスも実際されていますし、ぜひ体感してもらいたいなと思える完成度に感動しました。
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