ACOUSTIC REVIVEさんからマグネットフローティングインシュレーター「RMF-1」をお借りしました。
ネオジウムマグネットの反発力で浮かすタイプのインシュレーターで、1個ずつ単売されていますが今回は4つお借りすることができました。
1個当たりの耐加重が最大7kgとなっていますので、4個なら28kgですから、うちの機材だとパワーアンプ以外は使用可能なはずです。
外観はアルミ合金を主体に、黄銅が組み合わせてあり、上部には水晶、底面には特殊制振材が配置されているようです。
外れることはなく、ガタツキも全くないピストンのような感じですので、実際の内部構造までは分かりませんが、おそろしく強力な磁石であることはすぐに分かります。
4つを箱から取り出して並べて撮ろうとすると上の写真のようにくっついてしまいます。
さすがに外れないというほどではありませんが、その前の写真くらいの距離(5cmくらい?)より近づけると反発したり引き寄せられたりしてしまいます。
磁気テープなどはもちろん、腕時計などは要注意ですし、あまりに小さい機材を4個で支えるのはやや厳しいかもしれません。
荷重としても7kgという耐荷重の範囲で、ある程度かかったほうが良いと思いますから、小型ブックシェルフで使うなら3点支持でしょう。
届いてまず感じたのは思ってたより高さがあるな、という点です。
伸びた状態で約4.5cm、最小に縮んで約4cmとWebサイトに記載されていますが、実測6cm弱あります。
直径はWebサイトの記載通り、直径3.5cmくらいです。
やや不安定そうに見えますが、実際に使ってみるとインシュレーター自体が重いですし、底面の特殊制振材がfo.QやJ1 Projectのダンピングパッドのようにラックなどの板にピッタリくっつくので、少なくとも4点支持なら倒れる不安はないと思います。
実際、設置後に震度3の地震がありましたが、全くびくともしませんでした。
いよいよ本題のレコードプレーヤーに敷いてみました。
うちのMICRO BL-99Vは元々、バネによるフローティングタイプの脚が付いていますが、それを避けつつ、あまりモーターやカートリッジに近くない場所を選んで配置しました。
重心や水平については付属の説明書を参考に、重量バランス良く配置を工夫すると良いでしょう。
また耐荷重の範囲であれば、それぞれのインシュレーターが適宜沈み込むことで、ある程度バランス良く水平に近い状態が確保できるように思います。
さて、早速聴き慣れたレコードを聴いてみますと、重心がグッと下がって骨のある音に変化しています。
フローティングかリジッドか、というのはプレーヤーでも良く議論が分かれるところですが、これはマグネットによるフローティングですが、横に遊びが全くなく磁力も強力なため、全体としてはソリッドな風合いの音傾向です。
それでいてフローティングのメリットでもあるハウリングマージンはこれまでの脚より高まっていて、重心の低くて厚いサウンドを実現できるというのは、双方のメリットを併せ持ったようです。
これまでの脚がプラスチックで安っぽかったというのもありますが、RMF-1導入でプレーヤー自体を変えたのか?と感じるくらいの効果がありました。
重心が下がったのは前述の通りですし、「こんな音が入っていたのか!」と気づかされる場面や、ドラム・ビートが正確に刻まれているのに驚かされたりと、レコードを改めて聴き直したくなってきます。
プレーヤーまるごと変わったというのが大げさだとしても、ターンテーブルの重量が増えたくらいの効果は確実に出ていると言って良いでしょう。
ハウリングマージンは元々の脚にJ1 Projectのダンピングパッドでもかなり確保できていましたが、RMF-1導入でボリュームをこれ以上、上げたくないというレベルまで確保できました。
以前は本格的なハウリングが出る前にもボワーンとした緩い前段階が早めにあったのですけど、それが消失していますし、逆にケーブルの取り回しや他の機材との干渉に絡むノイズが目立つほどになっていました。
ちなみにそのノイズはATOLLのDACがまたしても原因になっていて、主電源を切っていてもなぜかダメなようですので、諦めて撤去してしまいました。
こうしたノイズに気づけたことやハウリングマージン向上も、低域のキレにつながっていると思われます。
これまでもマグネットによるフローティングのインシュレーターやボードはたくさん出ていますが、どうしても横に遊びがあったり、浮かすことを意識しすぎてフワフワなものが多かった気がします。
その点、RMF-1はガシッと固定することをベースにして、余計な振動を吸収するというスタンスだと感じました。
また、マグネットによる弊害も心配していましたが、少なくともベルトドライブで元々の脚の位置をベースにして数cm程度の距離を確保すれば問題はないようです。
ボードとの併用で距離を確保するのも一手だと思いますが、RMF-1自体がそれなりの高さですし、複合素材で構成されていることから単体での使用で十分だと感じました。
ちょっと地震が続いた関係もあって、現状は3点支持を試していませんが、インシュレーターの沈み込み具合を見ながら位置調整していけば、さらに良いポイントが探せるかもしれません。
ただ、あまり細かいことを気にせずとも、実際の出音を聴けばまさに一聴瞭然で、これまで滲んだり埋もれていた音があふれ出すのを体感できるはずです。
プレーヤーそのものにフローティング機構が搭載されているものでは厳しいかもしれませんが、ゴム系やバネを利用したものや劣化が見受けられるインシュレーターからの交換は絶大な効果をもたらしてくれると思います。
もうココが天職なのでは?という気もしているのですが、次回は足回りの差が顕著に出やすいクリーン電源で試してみたいと思います。