ACOUSTIC REVIVEさんからお借りしている電源BOX「RTP-4 absolute」、2回目のレビューはアナログレコードをソースにしての感想を書いてみたいと思います。
前回のレビューで書いた通り、電源BOXにはアンプ2台とフォノイコライザー、それにCDプレーヤーが接続されています。
レコードプレーヤー自体は別の電源BOXに繋がれていますが、今回もそのままの接続で試聴を実施しました。
前回のCDでも低域の充実感が素晴らしいものでしたが、それはアナログレコードでもやはり同じです。
さらに、フォノイコライザーへの効果からか、空間の広がりがこれまでの電源BOXとは全く違っています。
不思議なことに残留ノイズや歪みも減ったように感じるのは気のせいでしょうか。
少なくとも残留ノイズに関しては物理データこそ取っていないものの、体感的にはかなり減っているように思えます。
とりわけ大編成の交響曲で効果が絶大で、楽団の音数が格段に増えて聴こえてきますし、それぞれの楽器の細やかな音使いもしっかり感じ取れます。
おそらく普段、アナログレコードを耳にしない方なら、俗に言われるアナログレコードの音とは一線を画す情報量に驚かされることでしょう。
それ以前に、たぶん初めて聴いた人は音源がアナログレコードだということにすら気づかないかもしれません。
よく調整されたトーンアームで使うortofon 2M Redとの相性も良く、現代的な方向性にマッチしているのだと思います。
ワルターのモーツァルト交響曲第40番では、これまでよりも格段にフルートの音が澄んでいますし、編成が混然とせず、しっかり分離しています。
古い時代の演奏が現代に蘇ってくるようですし、再生される音楽に魂がこもっている印象を受けます。
以前はやや音が揺らぐ印象がありましたが、これが薄らいだのは安定感が増したからかと。
ピリスのほうは元々、PCM録音のディスクですが、穏やかさの中に実体感のあるピアノが浮き立ってきます。
特に左手の音階がこれまでよりも非常に明確となっていて、低域が充実しているからだと思われます。
また、やはりノイズが少なくなっているのを体感するのですが、電源BOXで各アンプの安定性が向上するからでしょうか。
やや盤面の状態が悪いポップスを再生してみると、定位こそ、これまでよりもしっかりしたものになっていますが、音はややかまぼこ状の帯域だと感じられました。
試しにカートリッジをGraceに替えてみましたが、盤面自体の状態はいかんともしがたく、逆にそうした細やかな変化をはっきりと捉えることができます。
もちろん、カートリッジ交換による音の変化もこれまでより明瞭で、Graceのほうはやや柔らかいオールドスタイルなサウンドですが、すっきり整理された印象でした。
そうした針や盤面の状態などもこれまで以上に分かりやすく体感できるという点ではシビアな面もありますが、音質そのものは着実にステップアップしたものになっています。
電源BOXの恩恵が大きいとは思いますが、併用している壁コンセントや電源ケーブルにもACOUSTIC REVIVEを併用していることによる相乗効果もあるのだと思います。
話を元に戻して、今度はアシュケナージのライブ盤を聴いてみます。
ピアノの音離れが良くなり、人に置き換えるなら滑舌が良くなったような印象すら受けます。
ライブの熱気と距離感が高まったからでしょうか。
そのせいか、聴いていくうちについ、いつもより音量を上げてしまっていました。
最初にも書いたようにアナログプレーヤーにはこの電源BOXを使っていないのに、それでもこれだけの変化があるというのは驚きでした。
前回もそうでしたが、低域の充実感がこの電源BOX導入でのいちばんの変化だろうと思います。
電源BOX自体で機器の性能や音傾向そのものを変えてしまうことはできないはずですが、本来持っている能力を下支えしてくれるという点で、ポテンシャルを引き出してくれる箱だと実感し、素直にレコード音楽を楽しめた時間でした。