ACOUSTIC REVIVEさんにお借りしているUSBターミネーター「RUT-1」ですが、聴感上の評価だけでは(個人的に)面白みに欠けるということで、実際の効果をノイズという観点で調べてみることにしました。
ノイズといえばやっぱりAMラジオ、というのが私の定番観測グッズでして、AM放送の局間ノイズの増減をポータブルラジオで聴き比べてみようかと。
パソコン自体やUSBケーブルの近く、照明や電気暖房器具、果てはD級アンプなどに近づけると明らかにホワイトノイズとは異質のビートノイズやジュルジュルとした雑音が聴こえてくることは経験しています。
そこでRUT-1をUSB端子に挿した状態と抜いた場合で優位な差があるかどうかをまずは耳で聴き比べてみようというわけです。
結果から言うと聴いてすぐに分かるような違いは出てきませんでした。
逆に言えば抜き差ししている最中でもプチッというような雑音が入ることはありません。
USBハブに繋がっているUSBケーブルに近づけるとジュワジュワっとしたノイズが聴こえてきますが、この量や音の質にも変化はありませんでした。
うちではフェライトコアをそうしたポイントにすでに導入してあるので、そもそも未対処の状態よりもずいぶん減ってるというのもあるのかもしれません。
もう少し優位な差があれば録音して計測してみようかと思ったんですけどね…。
それなら別の部分で実際の音への影響を見てみよう、ということでRolandのUA-1EXでパソコンに取り込んだ無音状態の音をAudacityで録音してみることにします。
本来はフォノイコライザーからの出力をUA-1EXに入れているわけですが、ケーブルは接続したまま、イコライザーの電源を入れない状態での録音です。
この状態でUA-1EXのすぐ隣にRUT-1を挿した場合と抜いた状態で、それぞれ6秒ほど24bit/96kHzで録音しました。
結果、RUT-1有りの場合の低域での残留ノイズのピークは55Hzで-114.2dB、高域寄りでは14599Hzで-115.3dBでした。
対してRUT-1無しだと低域側は54Hzで-113.4dB、高域寄りは同じく14599Hzで同じ-115.3dBです。
複数回サンプリングしてみましたが、結果は似たような数値でしたので、やはり低域寄りで少し残留ノイズが減っているのだと思われます。
もう少し分かりやすく、それぞれの雑音を音量正規化してスペクトル解析した結果を重ねてみたのが上の図です。
緑色がRUT-1無し、ピンク色がRUT-1有りのスペクトルで、重なってる部分はほぼ灰色になってます。
こうして見るとピンクのほうがむしろノイズが目立っているように見えますが、それは個別に音量正規化している影響もありますので、正確には比較できません。
そちらよりも55Hz付近のピークが110Hz近辺にシフトしているのが注目点かと。
おそらくUSBの信号ラインにUSBハブのスイッチング電源から来るのであろうACノイズが乗ってきているのでしょうけれど、そこに何らかの変化が生じているようです。
また良く見るとサンプリング周波数の1/4近くの24kHz近辺の小さなピークも減衰していますね。
あとはこの差が実際の音の差になって現れるのか、優位な差と言えるのかでしょうが、ともかくノイズフィルター的な効果は認められると考えて良いのではないかと。
特に電源ラインだけでなくA/D変換という音の部分にもちゃんと影響が出ているというのが分かったのは収穫だったなと思います。