MacBSの日常生活的日記

AUDEZE LCD-X レビュー 標準ケーブル編

AUDEZEの平面磁界・全面駆動型ユニット採用のヘッドフォン「LCD-X」などをお借りしました。
まずは標準添付のケーブルでレビューさせてもらいたいと思います。

実売価格でも軽く20万円以上という超高級ヘッドフォンということもあり、ケースも精密機器でも運んでいるかのような豪華で頑丈なものに入っています。

ただ、このケース、実用性はちょっと難点がある感じで、ケーブルを装着した状態での収納がややしづらい気がします。
また、ヘッドバンドの長さ調整をした状態のままだと収納できなかったりで、完全に格納する時に使うという感じでしょうか。

標準添付のケーブルは標準ジャックがデフォルトで、ステレオミニへの変換プラグが付属する形です。

まずは手持ちのALO audioのアンプ「The National」で聴いてみますと、ヘッドフォンのハウジング内部の空間は感じますが、積極的に音が前に出てくる印象ではありません。
高域の冴えはさすがというところですが、中域がだいぶ薄味で艶に欠けるところもあり、良い意味でも悪い意味でも全体が整っているように感じます。
先日のUnique MelodyのMAVERICKのような圧倒的な情報量というような世界観でもなく、主張がやや薄いと感じるのは素直な音色だからでしょう。

ここでいちばん気になったのが、音漏れが相当スゴいということです。
開放型だからある程度は仕方ないところですが、2mくらい離れた妻のところでも音楽全体が聴き取れる程度の漏れ具合です。
そういう意味でもイヤースピーカー的なんですね。
私のケースだと、ヘッドフォンは深夜にスピーカーで鳴らせない場面で使うことを想定していますので、そうなると同室にいる妻にもハッキリ聴こえるというのは少々困りものです。
当然ながら屋外では無理なレベルですし、一人部屋でスピーカー代わりといった場面に絞られるのではないかと。
ちなみに先程も書きましたが、全帯域がキレイに漏れ聞こえてくるので、周りの人にもシャカシャカとうるさい感じには聞こえません。

肝心のサウンドですが、標準ケーブルで聴く限りでは先日のMAVERICKのほうが魅力が濃いかな、というのが素直な感想です。
別にLCD-Xが悪いわけではなく、全体的に薄味で上品な仕上がりなのだと思います。
また、極度にモニター的な音傾向でもなく、スピーカー代わりに家で楽しむ用途にしてはやや低域が薄味だったり、スピーカーのような音場ではなく横から鳴ってくる感じがしたりと、私の好みからはやや外れているようです。
特に音場に関しては、両耳の真横に置いたスピーカーに挟まれて聴いているような違和感を覚える部分がありました。
音漏れも含め、そういう意味では密閉型のLCD-XCのほうが私には向いているかもしれませんね。

ただ、これだけの高級ヘッドフォン、これが実力を出しきった状態ではないだろうと、色々試してみます。
まずはThe NationalのゲインをHiにしてみると、力強さがだいぶ出てきます。
特に低域のパワーが上がりましたし、深みも出てきて、音も前に出てくるようになりました。
ただ、中域のさっぱりした感じは印象としては変わらないようで、ここはこのヘッドフォンの音色なのでしょう。

あえて、iBasso D2+ Hj Boaや無謀にもiPod nano直挿しなども試しましたが、音源のナローレンジさや歪みが手に取るように分かってしまう点では逆に実力を感じます。
ただ、音色はむしろ現代的な方向性で、The Nationalとの相性があまり良くない可能性も出てきました。

同様に音源についても音質の悪いものがハッキリ分かる傾向で、そこはモニター的な要素を感じます。
ただ、ピアノや女性ボーカルなど、一部の楽器やボーカルにやや実体感が薄く感じられるケースがあり、そうなると振動板の音を聴いているような気がして、そこが私の好みに感じない理由なのだと実感しました。
反面、波の音や鳥の声など、自然音に関しては非常に再現性が高いのが不思議なところで、電子音もキレが良く、楽しく聴けます。
この辺りは独自のユニットの特色が出ているのでしょうか。

全般には先日のUnique Melodyの圧倒的な感じが記憶に濃い状態で聴いてしまったために、「意外に普通だな」と感じてしまった面が無きにしもあらずでしょう。
ヘッドフォンのほうが対価格比は差が出やすいと思っていたので、特にそう感じたのかもしれません。

この後はいっしょにお借りした別のアンプでバランス接続してみたり、リケーブルすることで、さらにこのヘッドフォンの実力を試していきながら、他の機器といっしょにご紹介していきたいと思います。

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