B&WのMatrix 805Vを使ってきましたが、その流れ(?)でMatrix 802 Series 2を導入してみました。
805からするとかなり巨大化した形で、ミッドレンジのケブラーコーンはちょっと805より小さいですけど、ほぼ20cmウーファー2本が追加になったような感じですね。
D3が現行モデルで、それからすると相当古いモデルですが、その昔、801Fでスゴさを体感して以来の憧れがあり、D3はだいぶニュートラルな雰囲気になったものの、その間のモデルは音色傾向が少し違うと感じてるので(お値段も当然ありますが)、Matrixが最初から狙いでした。
あとは801にすべきか、それとも鳴らしやすいと言われる802か、ですが、そこは重さが最終的なポイントになりました。
802は32kgとまだ一人でなんとかなる重さですが、801になると61kgですからねぇ。
それでも804D3の箱に入って届いたものを2階に上げるのはそれなりに本腰を入れないと大変ではありました。
さらに箱から出すのが大変でして、梱包が非常に厳重だったのもありますし、なかなか苦労しました。
出してしまうと「団子3兄弟」状態になりますから、なおさら持ちづらくなりますけどね。
大きさは一時的に復活させていたJAMO Concert VIIとさほど変わりませんが、サウンドはやはり全く違います。
音傾向がB&Wの方向性というのは当然ありますが、第一印象として帯域バランスがとても良く、どこにもムリな力が入っていない自然体で強調感がないのが印象的でした。
心配していた気難しさは想像以上になく、Accuphase A-45一台でも大らかに鳴ってくれています。
低域のエネルギーは805とは全く比較にならないほど爆発的なものがありますが、あくまでも自然なので聴いている本人はひたすら音楽に没頭してしまいます。
ただ気づくと音量がとんでもないことになってるので要注意なんですけれども…。
音傾向としてはMatrix 805よりも神経質さがなく、音場も音像もあまりセッティングに苦労をせずにスッと定まりました。
どうやらミッドレンジユニットの「ダンゴ」が不要な反射音を出さないところが効いているような気がします。
ウーファーのエンクロージャもマトリックス構造が効いていて、横に耳を近づけてみてもほとんど箱鳴りが聞こえません。
現行モデルはさらに進化してるのでしょうけれど、ミッドレンジまで分離したモデルとなるとお値段が段違いになってしまいますからねぇ。
スパイクも付属していましたが最初は取り付けずに鳴らしてみましたが、やはり床からの影響は多少なりとも出てきていましたから、後日スパイクを履かせてみました。
これにより低域のカブリが減り、明瞭度が増して効果は高いですが、低域のエネルギー自体は膨大なので階下への響きを抑えるような効果はあまり期待できないようです。
それにしても802を聴いてしまうと、「最初からコッチにしとけば良かった」とすら思ってしまいます。
シンフォニーの迫力は段違いですし、タイムアライメントが良いのか、それとも位相や歪みといった特性が優れているのかは定かではありませんが、ともかくホンモノ感が決定的に違います。
802でもウーファーは小さめにしてありますが、ある程度より下の帯域を出したいとなってくると、やはり振幅による低域と面積による低音には表現の緻密さで大きな隔たりが出てくるようです。
音の広がりも素晴らしいですが、その中でそれぞれの楽器の配置や音色が見事に分離され、楽曲の中でのそれらのパートに耳を傾けているだけで、より音楽に深く没入できて楽しくなってきます。
オーディオ的な聞き方よりもむしろ、音楽が楽しく聴けるというのは最大の収穫でした。
その上でオーディオ的な観点でワンポイント取り上げるとすると、なぜかファゴットの音色再現がこれまで経験がないほど秀逸だなと感じます。
大して楽器に詳しくないのですが、ファゴットは歯切れのよい低域もありつつ、温もりも感じられるものだと思いますから、このスピーカーの特色がうまく引き出せる楽器の一つなのかなと思います。
まだまだ調整すべき点やセッティングなどは残されていますが、昨年から続いた機材チェンジの流れはこれでひとまず休止です。
これからは今の機材の魅力を最大限に引き出すようにしてあげたいですし、なにより音楽を楽しみたい、と感じる環境を整えることができました。
そう言いつつもアクセサリやら色々やっていくうちに導入する小物も出てくると思いますが、有終の美を飾るにふさわしい機材が入ったなと喜んでいます。
父親には「次はBTLだな」と、なかなか鋭いところを突かれていますけどね。
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