Phile-webさん経由でお借りしたDENONのUSB-DACヘッドフォンアンプ「DA-10」ですが、前回の到着編に続いてヘッドフォンで音質面をレビューしてみます。
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(10/13 12:10追記)
振動で音が途切れるケースがある点が初期不良ではないか、とのことで交換貸出していただくことになりました。
なお、上記症状の原因についてはDENONにて調査・報告いただく予定です。
以下のレビューはその初期不良品でのレビュー(もちろん正常再生状態ではありますが)ということを注記しておきます。
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(10/31 19:00追記)
DENONからの報告がありましたので、記事にしました。
詳細は以下をご参照ください。
・DENON DA-10、不良箇所判明
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その前にまず機能面の補足ですが、電源スイッチはボリュームと兼用のポタアンで良くあるタイプです。
これ自体は持ち歩き時には便利で良いのですが、ギリギリ電源Onにした状態でもちょっとだけ音が漏れ聞こえるのがやや難点です。
この状態をMute代わりに使うこともあるので、できればここは-∞dBにしてほしいところです。
ギャングエラーについては気になるレベルのものはありません。
ただ少しボリュームは軽めの設定なので、左右の周囲にガードがあるとはいえ、鞄の中などで勝手に動いてしまいがちです。
そのためのケース付属なんでしょうけど、あれは正直カッコいいとは言いがたいような…。
また、横にCHARGEボタンがありますが、これは接続したiPhone,iPodを充電するものではありません。
DA-10本体を電源オン時にも充電するかどうかをチョイスするもので、音質面を考慮してのことだそうです。
余談ついでにオマケですが、本体背面にはシリアルナンバーや各種ロゴと並んで、漢字の文字列が並んでいます。
上がどうやらDENONのことのようで、「日本天龙???集団有限公司」とあります。
下は製造で「东莞英可电子有限公司」とあり、これは韓国のInkel(Sherwoodという自社ブランドを展開している)が中国に作ったODM/OEM拠点です。
調べてみるとDENONをはじめとして、Marantz、Kenwood、PIONEER、TEAC、ONKYOなどの製造実績があるとの記載がありました。
ただ、ODM/OEM先まで刻印されているというのはちょっと珍しい気がしますね。
さてようやく音質についてですが、まずはiPod nanoをデジタル接続して聴いてみます。
低域にやや膨らみを持たせつつ、柔らかい広がりのおなじみのDENONサウンドが流れてきます。
歪みやノイズは少ないですが、高域の伸びはそれほどでもない印象です。
あえてアナログ接続も試しましたが、こちらはより丸みのある音になり、解像度はあまり高くありません。
音場の広がりも狭く、nanoの音質の悪さがそのまま出ているようです。
次にiPod classicのアナログ入力を試しますと、nanoよりはだいぶ広帯域で低歪みになり、こちらのほうがだいぶ音の相性も良いようです。
それならばとデジタル入力に切り替えますが、鮮度こそ上がるものの音が固い印象で、どうも音場が平坦で音楽的魅力が薄いのが気になります。
低域の駆動力はかなりあるのですが、それに比べると高域の冴えはイマイチで線が細いため、ただ鳴ってる、というような印象を与えてしまう部分があります。
また、ピアノの音が電子的に聞こえるシーンが多く、余韻に付帯音が乗るようですが、classicに入っている大部分の音源はMP3やAACなので、非可逆圧縮ノイズという可能性も否定できません。
J-Popでは音圧のあるパワフルな鳴り方で、どうもこういった楽曲に合わせたチューニングという印象があり、私の聴くジャンルに合ってない面もあるのでしょう。
DA-10にはAdvanced AL32 Processingという一種のアップサンプリング技術が採用されていますが、さきほどの装飾音はこれも影響している可能性もありそうです。
当然ながら効果的に情報量が増えるケースもありますが、アコースティックな楽器では不自然に付帯音になる場合も多々あるように感じられます。
機能のオン・オフができれば比較評価もできるのですが、これがないのはちょっと残念です。
音源変更は一旦ここで休憩して、普段聴き慣れたiBasso D2+ Hj Boaと聴き比べてみます。
iPod nanoのアナログ入力から試しますと、高域はDA-10に比べてやや先鋭で耳障りな部分もありますが、適度にアナログ的な歪みも載って雰囲気で聴かせるタイプだなと感じます。
中低域にややピークがあるのも比較してみるとよく分かります。
ただ、iPhone 4でCCK経由でデジタル入力してみると、こちらはすっきり素直なサウンドで、私の中ではこれがいちばん好みです。
iBassoの場合はある種オーディオ的な音作りを過度にしておらず、素朴な素直さがあるかと思います。
さて、DA-10に戻ってiPhone 5Sでデジタル入力して、音楽ごとの違いを聴いていきます。
さきほども聴いたクラシックではやはり繊細さが足りず、Hi-Fiっぽい迫力を押し付ける印象が強く、聴いていると試聴会で聴いているようなデモ的な音に感じてしまいます。
私の場合は音楽は心和ませたい時に聴くことが多いので、その方向性とはちょっとズレがあるようです。
ボーカルものではマイクのダイレクト感が強く、高域は控えめだが、その割にはサ行はキツめです。
ここまで聴いてどうも何かを聴いた時の印象に似ているなぁと思ったら、Walkmanの音のまとめ方に似ているんですね。
そういう意味では現代的な音のまとめ方であって、私の好みとズレているだけかも。
それはそうとしても、音量を上げるとうるさい、小さいと何が鳴ってるのか分からない、みたいな「所詮、ポータブル」という気持ちが見え隠れするような音作りがDENONのフィロソフィーではないでしょうし、ポータブルヘッドフォンアンプの世界は競争も熾烈ですから、もっと本気を見たい、というのが正直な思いです。
逆に良い点としてはさきほども挙げたギャングエラーの少なさや残留ノイズの少なさが挙げられます。
イヤフォンで大音量は聞かない主義なのでボリュームが上がると分かりませんが、通常音量の範囲では歪みは少なめで、特性だけ見ると特に欠点らしき点は見当たりません。
また、中高域、中低域はキレが良く、その辺りの帯域が目立つ楽曲ではノリ良く楽しく聴けるのではないかと思います。
次回はパソコン(Mac)に接続して、DSDネイティブ再生を試してみます。
ヘッドフォンはもちろんですが、メインのオーディオ機材に接続して据え置きDACとしての実力もスピーカーで検証してみたいと考えています。