いよいよ今月末に迫ったDigiFi No.22の発売ですが、特別付録の「バランス駆動対応ヘッドホンアンプ」をその名の通り、バランス駆動してみることにしました。
何度も注意書きしていますが、付録としてはアンバランス用のオペアンプのみが付属しますので、バランス駆動したい場合には追加で2つのオペアンプを基板に装着する必要があります。
また拡張基板を用意すれば各種バランス接続端子に対応しますが、付録基板だけの場合、XLRオスプラグのバランス接続ケーブルが必要となります。
HD598にはそうした市販ケーブルはありませんので、前回の記事のとおり、ノイトリックのXLRプラグとゼンハイザー純正のケーブルを切断したものを使い、自作しました。
また、DAPとしてFiiO X1を導入しましたので、今回からはこちらを音源としました。
せっかくヘッドフォンがバランス接続なのに入力がアンバランスで良いのか?という疑問はあるかと思いますが、これはまた後日、入力音源編として書いてみたいと思っていますが、RCA入力からの場合、基板上のボリュームがスルーされる点などもあり、メリットとデメリット双方があると感じてのチョイスです。
さて、バランス接続にしていちばんに感じるのは音の広がりです。
むやみにセパレーションが上がるというよりも、楽器の分離や微細な定位の変化をより細やかに表現してくれる印象で、ボーカルものでしたらボーカルの定位が向上しますし、楽器だと細かな音の変化などが非常に良く聴き取れます。
またHD598でここまで深い低域が出たのかと思うほど、どっしりとして深い低域が再現されます。
それもドンドンとむやみに押してくる感じではなく、あくまでも自然で穏やかなのだけれど、その中に秘めたるエネルギーを持った低域です。
これはHD598の実力を最大限に引き出せているともいえるでしょう。
もちろん低域がしっかり出ても、中高域にカブるようなことはなく、それぞれの楽器の細部まで再現されています。
FiiO X1に変更したことでダンピングファクターも上がり、低域はさらに厚みを増しましたし、空間的な広がりもより広くなりました。
とりわけハイレゾ音源に対応したことも大きく、ハイレゾ音源の持つポテンシャルもしっかりと引き出してくれているようです。
一言で言えば、十分すぎるほどの駆動力があるということでしょう。
なお、基板上にはインピーダンス切り替えジャンパーピンも用意されていて、これが現状ではL(LOW:82.5Ω)になっていて、さらにH(HIGH:165Ω)に切り替えることも可能です。
ここまで聴いた後、あえてアンバランスに戻してみました。
素直でおとなしい穏やかなサウンドで、FiiO X1で目立ちやすい中高域のキツさがあまり目立たず、これはこれでやはりポタアンの製品群と対等に渡り合う実力です。
低域は直接音としてはしっかり出てきますが、空気感のようなものはやや不足しがちで、やはりドライブ力の余裕度と音の広がりの2点でバランス接続に軍配が上がるといったところでしょうか。
アンバランス接続でもそのポテンシャルの高さに驚かされたわけですが、バランス接続ではさらに高いポテンシャルを目の当たりにした気分です。
正直、色々と敷居は高いですけれど、もしバランス接続が可能な環境をお持ちでしたら、ぜひチャレンジしてみる価値はあると思います。
とりわけ、オープン型のヘッドフォンとは相性が非常に良いのではないかと感じています。
バランス接続までたどり着くと、どちらかと言えばスピーカーからの再生にこだわっている私でも、これならヘッドフォンだけで音楽を楽しむのもアリかな、と感じたほどです。
次回はさきほど少し触れた入力音源について書いてみたいと思っています。
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