DigiFiの3号連続付録、Olasonic謹製のDDC,DAC,そしてパワーアンプを3つまとめて試させていただく機会をいただきました。
と書きつつ、今回はまず既に発売済みのNo.15のDDC、そしてNo.16のD/Aコンバーターを試してレビューしてみたいと思います。
この2つの基板は用意されたコネクタで相互接続することで余計なケーブルの取り回しをすることなく、USBケーブルでパソコンに繋ぐだけでヘッドフォンアンプ兼DACとして使うことができます。
このシンプルさとエコさがまずは魅力かと。
この状態でまず初めにヘッドフォンアンプを試してみました。
気になるギャングエラーですが、それなりにはありまして、ボリュームの最小位置を0時として捉えると1時くらいまでは左がやや小さめです。
なおボリュームノブは付属しないので、適当なものを用意したほうが良いでしょう。
手持ちのヘッドフォンやイヤフォンで聴いてみましたが、やや平面的で深みが不足しがちなものの、ノイズは非常に少ない聴きやすい音です。
ちょっと喩えは悪いですが、iPod nanoのイヤフォン出力みたいな傾向の音色でしょうか。
高域の情報量は比較的多いんですが、本格的なヘッドフォンアンプを使っている方からすると低域不足を感じてしまうかもしれません。
また音からは離れますが、合体させるコネクタ部は平面的な構造ですし、基板がむき出しで使うには多少強度やうっかり外れる不安があります。
専用ケースも出ていますが、かなりそこそこのお値段ですし、ここはあえてコネクタを使わずに同軸デジタルケーブルで繋ぐのを試してみることに。
この場合、DACには電源が供給されませんから、microUSB端子から給電してあげる必要があります。
ちなみにNo.16にはACアダプタは付属しませんが、パワーアンプの付属するNo.17には5V1AのACアダプタとmicro-USBのケーブルが付属していますので、今回はこれを流用させてもらいました。
QEDの同軸ケーブル経由にすることでいくぶん明瞭になったような印象はありますが、かえってヘッドフォン出力の粗が見えたような気もしますし、低域の薄さに大きな変化はなく、これはもうこのDDCやDACの音傾向と思ったほうが良いでしょう。
試しにLINE OUTからALO Audio The Nationalにステレオミニ-RCAケーブルで繋いで聴いてみましたが、こちらでもやはり低域は薄味だと感じます。
あえて付録に厳しい視点でレビューするなら、中低域以下の分解能がやや低いようです。
電源がUSBバスパワー経由やスイッチングアダプターで5Vだというのもやはり影響してくるのかもしれません。
ALO Audioはポータブルとはいえ、12V駆動ですし。
ただ、ここでDDCをNo.15付録から手持ちのX-DDCに変更し、DACのLINE OUTからALO Audioにつなぐと、低域もやや厚くなったし、解像度も高まりました。
それでもまだ低域に不満がないわけではありませんが、意外と比重としてはDDCで差が大きいことが分かった次第で、ここもUSBバスパワーからの影響を受けているのかも。
次はヘッドフォンを離れ、No.16のDACを普段使っているオーディオシステムに接続してスピーカーで視聴してみます。
なお、LINE OUTからの接続には低域不足傾向を補う方向でと思い、LINN Black Cableをチョイスしてみました。
こちらもヘッドフォンと同様、ノイズは少なくスマートにまとまった音が鳴っています。
普段メインで使っているATOLLと比べると薄い(ATOLLが濃いとも言う)印象はありますけど、ヘッドフォンよりだいぶ印象が良いです。
気を良くしてプレーヤーをiTunesからAudirvana Plusに切り替え、いつも試聴に使っている音源を聴いていくと、やや狭帯域ながら狭いなりのまとまりはあるなと感じます。
良く言えば静寂感がありますし、耳障りが良く、キツさがなくて聴きやすいサウンドです。
付録だという点を全く加味せず、全く同じステージで評価しているからどうしても厳しいレビューになりがちですが、エントリークラスのCDプレーヤーと同等以上くらいの性能はあるんじゃないかと。
その上であえて弱点を挙げるとすれば、ピアノがもう一つ再現しきれていなかったのが残念なところでした。
チェロなど中域から中低域にかけては聴きやすく歪の少ない素直なサウンドで好感が持てるものです。
ただし、重低音の振動みたいなものを期待すると、さすがにそれはちょっと無理があるようです。
ケースの問題などはありますが、付録2冊でハイレゾ対応USB-DAC+ヘッドフォンアンプまで揃って、おまけにUSBバスパワーでも駆動できる省電力のエコなシステムが構築できるというのは、時代を感じさせるものがあります。
ケースやノブ、コネクタの固定など、気にすべき点もありますが、創意工夫で工作自体も合わせて楽しむのが吉かなと思います。
次回はさらにエコでコンパクトさの極地とも言えるNo.17のパワーアンプについてレビューしたいと思います。
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