MacBSの日常生活的日記

Dynamic Motion DM008P レビュー 音質比較編

Dynamic Motionのイヤフォン「DM008P」ですが、エージングも進んできたので他の手持ちイヤフォンと比較しつつ音質について書いてみたいと思います。

「Power Dynamic Driver」という独自のドライバユニットを採用しているから、というわけでもないのでしょうが、当初はかなりのピラミッドバランスでちょっとビックリしましたが、エージングを10時間くらい進めていくと中低域のモリモリした感じはだいぶ収まって自然なバランスになっていきました。
それでもやはりシングルBAや普通のダイナミック型とはだいぶ音傾向に違いがあり、装着感こそカナルですが、思い込みも入っているのか、昔のドーム型ユニットを搭載した国産大型ブックシェルフを思わせるサウンドバランスです。

以前も書いたようにiPhone直挿しですら重厚なサウンドなのは相変わらずで、サエクコマースとの共同でのサウンドチューニングが思った以上に影響しているのだろうなと思われます。
なお、音場は頭の中心からやや前側に寄る感じですが、これは他のイヤフォンとそれほど極端に違うほど個性的なものではありません。

まずはSHURE SE215と比べますが、SE215の帯域の狭さをまず最初に感じます。
DM008Pは低域から高域まで「さぁ情報の海へ」といった具合にどっぷりと耳に音楽の情報が注ぎ込まれてきます。
遮音性は当然、SE215のほうが良いですけれども、DM008Pも遮音性はごく普通のレベルで、そういった意味での没頭感とはまた違った集中を生み出すものです。

純粋に音質ではないですが、ケーブルのタッチノイズに関してはそれなりに発生するのはSHURE掛けと比較してはかわいそうかもしれません。
ortofonのe-Q5と比べるとほぼ同じか、やや多い程度です。

そんなortofonのe-Q5とはもうまるで正反対の性格です。
e-Q5はシングルBAをあえて活かした透明感と繊細さを持ちつつ、できるだけ低域をカバーしたものですから、やはり帯域上のデメリットも抱えています。
その点、DM008PはPower Dynamic Driverが低域側を中心にパワフルに音楽を牽引していく鳴らし方だと感じます。
ただ、e-Q5が得意なピアノではDM008Pのほうで余韻部分で多少が音が揺らぐ傾向を感じます。
同じようにアルミのハウジングで似ているように感じる両者ですけれども、これだけ違ってくるものですね。

他者との比較ではなく、DM008P単独で楽曲による違いも聴き比べてみました。
ポップスやロック調の楽曲、ジャズなどは相性がかなり良く、パワフルにオーディオ的魅力にあふれた鳴り方をしつつ、音楽のノリも楽しませてくれます。
反面、クラシックでは押しとしての迫力は確かにあるのですが、たとえばオーケストラだと楽器そのものはたしかに聴き分けられるのですが、それぞれの音の抜けが悪くハウジングに残るような鳴り方になる傾向があります。
また、どうも普通のイヤフォンと違う「何か」が気になるなと思ったら、風切音みたいなものが混じっている気がするんです。
これはエージングとともにほぼ消失していきましたが、背圧の逃し方が他のイヤフォンと少し違うのかもしれません。

全体的な感想としては「本腰を入れてさあ聴くぞというスタイルの時に使いたいイヤフォン」といったところです。
特に低域がこのサイズでは相当強力で、他のイヤフォンでは存在すら気づかないような低域も同音量でしっかり聴きとれるケースを何度か体感しました。
その分、高域側の透明感や抜けの良さを主体的に求める方には合わない傾向があるでしょうから、お気に入りの音楽で試聴されるのをオススメします。
今回の試聴では主にiBasso D2+ Hj Boaを使いましたが、iPhone直挿しでも十分その音傾向は聴き取れるはずです。
エージングの進んでいない個体だと中低域が相当厚いですけれども、それも込みで直挿しでのチェックで好みがハッキリ分かるかと思います。

前回も書いたとおり、秋には同社の別タイプのドライバ搭載モデルの発表予定もあるそうですし、ブランドとしての音傾向はしっかり残しつつ、バリエーションが増えてくると良いなと思います。

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