ELACからピュアオーディオ向けとしてはかなり異色の機能を搭載したプリメインアンプ「EA101EQ-G」が登場しています。
その機能というのは自動音場補正でして、AVアンプでは良く見かけるものの、ピュアオーディオではほとんどなかったと思います。
しかも補正にはスマホアプリを使い、マイクもなんとスマホ内蔵のものを使うというのが斬新です。
たしかに最近のスマホのマイクは特性が結構優秀ですし、計測の仕方も工夫されていて、まずはスピーカーの至近位置で測定し、その後、試聴位置の耳の高さで測定することでおそらくマイク性能による誤差もある程度吸収する仕掛けだろうと推測されます。
なお、サブウーファーとのマッチングまで配慮されているのもELACらしいところです。
DSPを使ったこういう仕掛けは懐古趣味の私のようなオーディオマニアには嫌われがちだと思いますが、こうやって気軽にできる仕組みを用意されると「コレもアリだし、むしろこれからのオーディオの新しい形かも」とすら感じさせてくれます。
そもそもアンプにDACを内蔵する時点でそれをより有効活用しないのなら一緒にする意味がないとも言えますし、Bluetooth対応したらスマホの活用もただプレーヤーだけでは面白みに欠けますからね。
あえて言えば、USB入力が24bit/192kHzまでのPCMのみというのがスペック的に弱いですけど、音場補正のためにPCMに絞ったと考えたほうが良いのかもしれません。
アンプ部分もアナログアンプではないですが、単純にデジタルアンプというわけでもなく、「BASHテクノロジー」というものが使われてるそうです。
技術面の詳しい解説を見つけられなかったのですが、BASHは「Bridged Amplifier Switching Hybrid」の略だそうで、入力信号に応じて電圧調整されるスイッチング電源を使ってAB級アンプを駆動するような内容みたいです。
これにより、2.8kgというコンパクトな筺体で40W+40W(8Ω)の出力を実現しています。
反面、お値段の130,000円(税別)は思ったほどコンパクトではありませんけど、ルームアコースティックが…という心配がずいぶん軽減されることを考えれば、これ一台でスピーカーを使ったオーディオシステムをまずは気軽に構築できるメリットはわりと大きいように思えます。
これからはこの路線のアンプ、増えてくるような予感がしますが、安易に後追いして本来の性能を落としたカタログスペックだけのものが増殖しないことを祈りたいものです。
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