FOSTEXの平面振動板ヘッドホン「T40RP」を入手しました。
現在はT40RPmk3nですが、今回のはそのシリーズの初代モデルで、1988年発売のようです。
今のRP振動板は四角いのですけど、こちらは第二世代RP振動板という位置づけで、丸型の平面振動板となっています。
磁石は円形の等方性フェライト、振動板はスパイラル形状のアルミ箔のプリンテッド・コイルをポリスチレン膜ダイアフラムに堆積させたものだとか。
現行モデル同様、能率は非常に悪い(スペック上は感度91dB/mW、50Ω)ですからポータブル向きでは全くありません。
同じフォステクスのHP-A8で使うとかなり音は良くて、このシリーズをベースにいろいろ改造例を見かける理由もよく分かります。
ただ左右のユニットをつなぐ渡り配線がやや接触不良でして、ここは修繕することにしました。
かなり細めの線がヘッドバンドの中を通っているので、先例のある「HPC-28-2U V2」を使うことに。
普通だとMogami 2901あたり(外径2.16mm)が定番かなと思いますが、それより細く(外径1.5mmほど)、中心にアラミド繊維が入っているので断線しにくいかなと。
ただリッツ線なのでエナメル剥がしは大変でしたし、ヘッドバンドの中を通すのも結構苦労しました。
このシリーズに良くある側面の3.5mmプラグの接触不良もありましたが、そちらは接点掃除とケーブル自体をL字アダプタと普通のミニケーブルで置き換えて無事動作しています。
音質面でもケーブルや配線が足を引っ張っていた感はあって、ややくすんだ感じは軽減しました。
音傾向としてはモニター的でありつつ素直で、言葉が適切かどうかは定かではありませんが「とても素直なCD900ST」という感じです。
ユニットもまだまだ健在のようで、低域もテストトーンで確認して18Hzまでビリつきなどなく出ています。
楽器の音がとても生々しく、左右の位相やリバーブなどが非常に細かく分かるのは「Regular Phase」という名称もなかなか的をいている印象です。
音源録音時の背景雑音までしっかり再現してきますし、音量を上げてもあまりうるさくないのもモニターには適していると思います。
空気録音の違いも聴き取りやすく、部屋やファンの雑音などもしっかり聞き取れるので重宝思想です。
方向性としてはやはり日本製らしい真面目さがあって、FOSTEXのスピーカー群にも似た傾向は感じます。
クラシックは全般的に良く合いますが、女性ボーカルは若干乾き気味なのでアコースティックな楽器のほうが得意な気がします。
FOSTEX TH900に以前から興味がありますけど、とりあえずいろいろ実験するにはこっちのほうが手軽で楽しめそうだなと思っています。
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