• 274月

    先日、HIFIMAN HE400Sを買ったばかりですが、紗羅も気に入ったようですし、勢いでHE400iも導入してみることにしました。

    400Sよりは一応上位モデルということになるはずで、公式サイト上の分類上も400Sはpremium、400iはReferenceとなっています。
    インピーダンスがやや高め(35Ω、400Sは22Ω)で、重さがちょっと重い(370gと350g)、感度も少し低い(93dBと98dB)ですが、見た目はかなり似ています。

    ハウジングが黒くなってるのでちょっと高級な感じではありますが、全体にプラスチッキーなところは同じですから、同社の圧倒的な上位モデルとは違って兄弟的な存在と考えるほうが良いでしょう。
    なお、HE400Sもそうですが、ヘッドホン側のソケットは3.5mmになっていて、以前のように豪華なレザーケースではなく紙の箱になっていますけれど、それでもお値段を考えたらなかなか立派なものです。

    意外といちばん異なるのはケーブルでして、これが巷に出回っているHE400SとHE400iの相違を述べてあるレビューの1/3くらいの傾向を左右しているといっても良さそうです。
    さきほどの分類ではないですけれども、400iのほうがややモニター寄りで硬質な傾向をより高めているとも言えます。

    どちらもケーブル次第でまだ伸びしろがありそう、というのもファーストインプレッションのひとつではあるのですが、ここではあくまで純正ケーブルをベースに感想を書いてみたいと思います。
    まず最初に感じたのが、「英語の歌詞が非常に聞き取りやすい」という点です。
    ボーカルが瑞々しいのは400Sでも強く感じたところですが、400iではそこに明瞭さも加わってくるのは付帯音が少ないからでしょうか。

    周波数特性はスペック上では全く同じとなっていますが、実際には400iのほうが確実に低域が出ています。
    ビリつきがないかのチェックも兼ねてスイープ音でテストしてみたところ、HE400iは22Hzくらいからは確実に出ていますし、30Hzくらいまでの音圧はHE400Sよりだいぶ高いように感じます。
    もちろんビビリや歪みは皆無です。

    高域もやはり同様に伸びているように感じられますし、400Sより音漏れが少し多いようです。
    この辺りはおそらくパッドが異なることにも起因しているのではないでしょうか。
    400Sはウレタンっぽい感じの素材ですが、400iのほうはFocusPad-Aという前後に傾斜がありつつ、耳にあたる部分はフェルトのような素材が貼り付けてあるタイプになっていて、これがよりフラットな感じの癖の少ない音色に貢献しているように感じられました。

    体感的にいうと、HD598と600の関係に少し似ているのかもしれません。
    そこまでの差はないですけれど、リスニングに向かうスタンスの違いのようなものを反映してあるという意味でも、この手持ちの2機種が頭に浮かびました。
    400Sのほうがボーカルが明るく、楽器もそれぞれにいきいきと弾む感じがあり、長時間のリスニングでもウキウキするような感覚で楽しめます。
    400iはそれに比べればフラットでやや暗めの表現ではありますが、それは両者を比べた場合の話でして、他のヘッドホンと比べるとやっぱりリスニングが楽しいヘッドホンであるのは間違いありません。

    インピーダンスや能率はやはりかなりの影響がありまして、ポータブル機器だと正直、HiFi-M8ですらパワー不足な感が出てきます。
    音量を確保するという意味では大して変わらないのですが、やはり低域をしっかり駆動するという点ではもう少しアンプを奢ってあげたいなと感じる場面が増えるようです。
    また、400iの場合は駆動力はあるものの、多少荒めの表現をしがちなHiFi-M8よりもAK380AMPのほうが忠実度の高さを活かせるような部分も感じられました。

    分析的な聴き方はそのくらいにして、両者は多少の違いはあるにせよ、どちらも音楽を聴くことがひたすら楽しいヘッドホンだと言えるでしょう。
    細かいことをいえばもっと高音質なヘッドホンはたくさんあるでしょうし、開放型とはいってもスピーカーのように正確な音場が形成されるわけでもありません。
    しかし、ながら聴きであってもくつろぎのひとときを与えてくれて、それでいていろんな音楽を聴き返してみたくなる、そんなヘッドホンなのです。
    もちろん、ヘッドホンに求めるものは人それぞれだと思いますし、相性もありそうですが、平面駆動ユニットも含めて新たな体験ができたことを幸せに思える、そんな出会いだったのでした。

    いちばん気になるであろう「どっちがオススメ?」という点についても同様に相性はあると思いますが、最初の一台はやはりHE400Sのほうかな。
    駆動しやすいというのはメリットになってもデメリットになることは少ないですし、低域バリバリで楽しみたいなら他に選択肢もあるでしょう。
    ケーブルも音質面ではHE400i付属のほうが良いですが、取り回しはHE400Sのほうが良いですし。

    ここまでお気に入りになると上位モデルも気にはなってくるのですが、まずはこのケーブルの部分をちょっと一工夫したいなと。
    長さもそうですし、バランス駆動とか、試してみたいことは色々ありますし。
    以後はケーブル交換なども交えつつ、それぞれにさらにエージングを進めて、後日またレビューできればと思っています。

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    Filed under: Audio
    2020/04/27 12:00 pm | HIFIMAN HE400i レビュー 導入編 はコメントを受け付けていません

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