音はもう文句なしに抜群のクレルのパワーアンプ「KSA-100」ですが、やはり2発の冷却ファンは結構うるさいという課題が。
本体上部のスリットのすぐ上でiPhoneアプリで計測してみますと、パワーアンプ電源オン前と比べて17dBほど騒音が増加します。
dB-Cで計測しているのでファンの定格でのdB-Aより高めに出る傾向があるとは思いますが、できれば数dBくらいに抑えたいところです。
使用されているのは120mm、高さ38mmのACファンで、この個体ではSHICOH 1238というモデルが装着されていました。
SICOH自体、2012年に倒産してしまっていますし、115VACで0.21Aとかなり大きなものが付いていますが、調べたところだとバージョン違いがたくさんあるものの、元々はDayton 4C548という8W級のものが付いていた、という情報を見かけました。
スペック的には音圧レベルは48dB、回転数は2900rpmですが、115V前提なので100Vで駆動してどうなっているかはちょっと分かりづらいです。
まずはこれを分解してグリスアップしてみる、という手を取ってみました。
ファンの取り外しですが、ナットが7/64というインチ規格のものになっているので、まずはそこから調達です。
かなり取り外しはしづらく、本来ならアンプユニットごと筐体から取り出してやったほうが良いのかも。
グリスについては、モリブデンとシリコンのどちらにするか迷いましたが、信越化学のシリコングリスG30Mとしました。
使用温度範囲が-60〜180℃ですから、高温タイプでなくても大丈夫だろうというのと、内部の素材が良く分からないのでプラスチックでも大丈夫なシリコンにしたわけです。
ただ分解した感じだと元はモリブデングリスっぽかったですが。
グリスアップ後、同様にiPhoneアプリでノイズ計測してみると5dBくらいに大幅低減しました。
ただ、放熱板は以前よりかなり熱くなっていて、どうも回転数が遅くなり過ぎているような気もします。
グリスの量はかなり少なめにしたつもりですし、何度か量を調整したりもしましたが、パワートランジスタの劣化はやはり温度が大きく影響するはずですし、古いファンで頑張れるのも限界があるだろうということでSan Ace 120の13W級の「109S013UL」を新たに調達しました。
ソケットが3端子だったのがやや想定外でしたけども、なんとかそのままのL字コネクタで装着できました。
このファンは1800rpmで音圧レベルも30dBとなっていますし、実際に交換された方の情報も見かけたので大丈夫でしょう。
ひとまず片方だけ交換して試してみると、だいぶ風量は強くなって冷却性能はグリスアップ前以上に向上しているようです。
ノイズについてはアンプの電源投入前と比べて14dBほどと、グリスアップ前から3dBほどしか下がっていません。
そこはやや残念な結果ですけれども、冬でこの状態ですと夏はかなり心配ですし、冷却性能が低下したことでアンプ自体が壊れるリスクが高まっては元も子もないので、新しいファンでいくことにします。
古いファンは保管しておけば、新しいファンには落ち着いたら静音化対策で手もいれやすいですし、そこはのんびりやっていこうと思っています。