MacBSの日常生活的日記

KRELL KSA-100のヒューズ交換

クレルのパワーアンプ「KSA-100」は保護回路がない分、ヒューズが多用されています。
背面だけでも電源部1つ、スピーカー端子直前に入ったものが2つで、特に信号系に直接挿入されているのはやや珍しいですし、音への影響も電源系の比ではなさそうです。

定格は背面パネルに記載のとおり、電源系が12A、スピーカー側が6Aのファーストブローです。
ファーストブローだというのは説明書に少しだけ記載がありました。
しかし実際に実機に装着されていたのはスピーカーがBel FuseのRS Online流通品の250V/7A、電源系にいたってはBussmanのデュアルエレメントの32V/15A、しかもスローブローという状況でして、音質以前にちゃんとしておいたほうが良いだろうなと。

海外モデルですから3AG(長さ31.8mm)のヒューズですが、意外とどこでも売っているというわけでもなく、品切れのところも多いので調達はわりと苦労しました。
結果的には以下の4種類をマルツオンラインで注文しました。

[ 電源系 ]
Bel Fuse 3AB 12-R (CERAMIC 12A 250VAC)

[ スピーカー系 ]
Schurter 8020.5076 (CERAMIC 6.3A 500VAC)
Littelfuse 0312006.VXP (GLASS 6A 250VAC)
Bel Fuse 3AG 7-R (GLASS 7A 250VAC)

セラミックはどうしても耐圧が高めになってしまいがちで在庫ありのものから選んだので思ったとおりとはいきませんでしたが、どれもファーストブローをチョイスしておいたので、現状のままよりは安全でしょう。
とりあえず電源をBel Fuseのセラミックに、スピーカー側をSchurterのセラミックにしてみました。

一聴して中域の透明感が上がって、予想以上の変化です。
特性として捉えるとおそらく高域が伸びたのでしょうけれども、キツさは全くありません。
雰囲気としては良質のYラグに交換した時のような変化の仕方なのはスピーカー側に直結で入っているからでしょうか。
全域に渡ってクセが減ったので、さらに聴きやすくなりました。
アンプが温まってきてヒューズも馴染んでくるとさらに楽器の分離も良くなり、生々しさが高まったような印象を受けますし、空気が澄んだような印象すら感じます。

通常のオーディオ機器ですとほとんどの場合、スピーカー部にはリレーや保護回路が入っていて、ヒューズが直接挿入されていることはほぼないと思われますので、かなり特殊な事例になるとは思いますが、KSA-100に限っていえば、たとえばDAC等でオペアンプを変更したのと同等かそれ以上くらいに変化がありました。

KSA-100は電源を切ってもコンデンサに電荷が残っている間はそのまま音が出続けるくらいに保護回路レスですので、電源オフにしてもすぐには交換できないので比較試聴はやりづらいのですが、ひとまず時間をあけてからLittelfuseのガラス管にスピーカー側を交換してみました。

不思議なのはアンプの電源投入時に高域寄りの「パチっ」というノイズがめっきり減った点です。
理由は不明なのですけど、音傾向も含めて推察するにややダンピングファクターが下がったのかな?という気もします。
音はなめらかになった分、歪んだ感じは減った気もしますが、分厚さはやや薄まっています。
クセは少なくてハープの音色がより自然になったような気もします。
再生音をスペアナで眺めていると、セラミック管と比べて800Hz前後が少し減って中高域がわずかに伸びた?ような気もします。
こちらのほうがより素直で扱いやすい印象もありますが、クレルらしさはやや薄まったかな。

改めてまたSchurterに戻すとやはり力強さが戻ってきます。
音像も少しタイトになりつつ、音の広がりは良いですし、クレルっぽさがしっかり出るのはこちらかな。
電源投入時のパチっというノイズはやはり戻っていていて、こちらのほうが信号が通る上で高域の特性が良いのか、それとも抵抗が少ないのか、詳しいことは定かではありませんが、やはりややダンピングファクター低下が少ないような感触はあります。

実際にはまだ内部の電解コンデンサ周辺に4本ヒューズがあったりするのですが、そちらは定格の記載が見当たりませんし、そもそも後期ロットではヒューズ自体がなくなっているようです。
ひとまずこれで定格に近いものに交換できましたが、もうちょっと別の部分や候補も含めてヒューズ遊びは継続してみたいと思います。

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