Stereo 1月号付録のUSB-DAC「LXU-OT2」ですが、他の手持ちのDACたちと比較をしてみました。
なお、比較対象となる手持ちのDDC,DACは以下のとおりです。
・X-DDC + ATOLL DAC100
・X-DDC + ARCAM DELTA BLACKBOX 50
・RATOC RAL-2496HA1
・TEAC UD-H01
・X-DDC + JAVS DAC-2 MARCH
まずは現状の私の環境でのメイン機器である「X-DDC + ATOLL DAC100」との比較ですが、いちばん強く違いを感じるのは弦の艶でしょうか。
うちのスピーカー(DALI Royal Menuet II)やアンプ(Micromega Minium AMP2)は、いわゆる高解像度志向ではなく、艶や表現力優先のところがあるんですが、LXU-OT2を通すとそれがやや消失しているような印象が出てきます。
低域の締りや量感が最も大きな差なのかなぁとも思いますが、いわゆるラックストーンを想像していたらちょっと違うかな、とも感じます。
ATOLLのほうもまだまだ導入から日が浅く調整中で、現時点ではちょっと説明調な表現のところがあり、その点ではLXU-OT2の割り切った描写も捨てがたいものはありますけどね。
ただ、さすがに情報量そのものに違いを感じるのは仕方ないところかも。
次にDACをARCAMのオールドDAC「DELTA BLACKBOX 50」にしてみました。
いわゆるハイレゾ音源には対応していないわけですが、ATOLL以上に叙情的な音色が気に入ってます。
さすがに世代の古さもあり、ARCAMのほうは音像がふくらむ傾向がありますが、何より捨てがたい音楽性の豊かさが魅力です。
LXU-OT2もこういうチューニングで来るかな?と想像していたのですが、個人的には意外に現代的な音の方向性かなと感じています。
それでもATOLLよりはこっちに音の方向性は近い気もしますが、それだけにむしろ音の熟成度の違いを感じてしまうのはむしろARCAMとの比較のほうかも。
RATOCについては先日のノイズ計測でもその一面が垣間見えましたが、価格のわりには非常に優秀な特性が特徴だと感じています。
LXU-OT2もオペアンプ交換やケースなどにコストを掛けていると、RAL-2496HA1が買えてしまうという状態になりがちかも。
音の好みはありますが、RCAに関してはこれもRATOCのほうが優位かな。
ただ、ヘッドフォン出力についてはRATOCもあまり褒められた品質にはなっておらず、やや高めのインピーダンスのヘッドフォンを使うのであれば、LXU-OT2のほうが良いケースもありそうです。
その点はTEACのUD-H01も同様で、そもそも価格的に比較してはいけない部類なのかもしれません。
PCM2704を使ってるという前提にしてはLXU-OT2は非常に健闘していますけど、LXA-OT1のような「驚き」を体験できるレベルとは言えないのはちょっぴり残念です。
ヘッドフォン出力まで積んで欲張り過ぎたというのもあるんでしょうし、各社の製品群と競合するのは困るという事情もあるのかもしれませんね。
とはいえ、こちらのUD-H01もお世辞にも優秀なヘッドフォン出力とは言えませんし、LXU-OT2は「それなりに高インピーダンスのヘッドフォンで聴くためのアンプ」と考えるべきかな。
あとひとつ感じたのは、LXU-OT2のライバルはやっぱりなんといってもパソコンのヘッドフォン出力だろうと。
USB-DACのメリットはパソコンの影響を受けにくいことによるノイズの少なさと音の持つパワーでしょう。
その点では例のノイズ問題はちょっと残念な気はしますが、LXU-OT2の存在が音楽を自宅で楽しむキッカケにつながれば成功と言えるのかも。
個人的にLXA-OT1の時ほど盛り上がっていないというのが正直なところではありますが、先日からのノイズ問題の解決やオペアンプ交換での音色変化などはぜひ試してみたいところです。