MacBSの日常生活的日記

Mark Levinson No.360L

Mark LevinsonのD/Aコンバーター「No.360L」を入手しました。

1998年発売で完全にマドリガルになってしまった後のマークレビンソンですが、DVD Audioが出る頃の製品ということもあって24bit/96kHzまで対応しているのがうれしいポイントです。
そこそこ長くオーディオをやっているとやっぱり一度はマークレビンソンを使ってみたいという想いもありましたし。

当たり前ですがUSB入力はなく、どちらかというとAES/EBUがメインになっています。
ただ全部で6系統(AES/EBUx2,ST-link,BNC,RCA,TOSLINK)も入力があるのでいろんな機材を接続可能です。
左右完全分離のアナログ段も特徴的な配置で、内部も前側中央に電源、後部にデジタル部、左右にアナログ段、しかもデジタル部分はシールドカバーで覆われるなど、なかなか徹底してあります。

その分、熱がこもりそうですけども、そこはクロックの安定化も兼ねてあえてやっているらしいです。
電源もスタンバイはあるものの実質的には全然オフになっておらず、熱によるものか故障は結構多いみたいですけどね。
上位モデルにNo.360SLがありますが、DSPの数が違ったりPCM1704の差動動作を合わせる部分が高精度抵抗になっていたりコンデンサにOSCON使ったりしているようです。
PCM1704自体は片chあたり2個ずつなのは同じようで、特にRCAメインで使ううちのケースだとさほど差は出ないかな。
音傾向も若干ことなるようで、No.360Lのほうがナチュラルということらしいです。

早速聴いてみると、予想よりもずっと穏やかで余韻が優美で美しいものです。
どちらかというと冷静な表情を感じさせ上品で高貴な印象を受けました。
丁寧に描写する感覚で、そこはうちのCDプレーヤー「Wadia 23」とは結構対極にある感じがします。

管楽器の息遣いがとても良く伝わるのが印象的で、これまでの機材がやや雑にすら感じます。
ちょっと大げさですが、これまでドラフト画だったものに水彩で色彩をつけたようでもあります。
大編成になっても各々の楽器が埋もれず、かといってバラバラになることもなく調和しているあたりはやはり当時の高級モデルらしい余裕も感じます。

電源投入からは少なくとも10分くらい経たないと本領発揮してこないのは確かなようです。
ただそこまでずっと通電しておくのもちょっともったいないですし、今はKRELL PAM-3といっしょに電源連動タップで聴こうと思う数時間前に電源投入するようにしています。
底にIECコネクタがあるというのもなかなか不便なところですが、そこはまた後日。

いやゆるハイレゾ系はひとまずJAVSのUSB-DDC「X-DDC」経由でRCA同軸からの入力でテストしました。
ハープシコードの音色がまるで違っていて、今までがいかに鈍っていたかというのを痛感しました。
かと言ってキツさは皆無なあたりのバランス感覚もさすがです。
HDCDにも対応していますが、そこまでソースは多くないですし、音量合わせのためにデフォルトで-6dBする処理がオンになっているのがちょっと不便です。
デジタル領域で下げているので音質的に不利ですし、電源を切ると設定を忘れてしまうのもちょっと面倒です。(スタンバイなら忘れないのですが…。)

ジャンルとしてはジャズもやはり合いますけど、意外とバロック音楽の系統を聴く機会が増えたようです。
余韻の表現が繊細だったり、ちょっとした表現の機微、音源に収録されてあるホール感などがこれまでより伝わってくるからかもしれません。
女性ボーカルなども優しい世界が広がって、リバーブの微妙なさじ加減もとても繊細に再現されます。
コンプ気味の音源でも歪みを感じにくいのが意外なメリットで、DSP処理で352.8kHz/384kHzにアップサンプリングされているのですが同時に多少デコンプ的な対処でもされているのかな?

回路等で特徴的なのは、いわゆるFIFOバッファを搭載しているところで77.76MHzのクロックを基準にAD9850で打ち直して入力のジッターを低減しています。
0.004ppmのクロックらしく、これでジッターは157psくらいになっているらしいです。
実際にはX-DDCに外部電源を奢ってみたりAES/EBUだったりで違ってくるので、やっぱり上流自体が良いほうが音質的には有利な印象はありますけどね。

この1年ほどでだいぶ方向性転換してきましたが、これでほぼ集大成になったのではないかと思います。(オーディオマニアにありがちなセリフですが。)
あとは周辺を固めて少しずつ本領発揮させていきたいと思っています。

モバイルバージョンを終了