MITのターミネーター「Universal Terminator 2」というのを入手してみました。
MITのケーブルというと独特の箱が有名ですけど、これはそれを汎用的にして他のRCAケーブルの出力側に取り付けるようにしたものです。
この箱(ターミネーター)は『ケーブルを通過する低周波帯域の信号の時間的遅れをコントロールし、これを高周波帯域に整合』させるものだとか。
中身が開いたのを見かけたことがありますが、なにやらコイルっぽいものがチラッと見えていた気がします。
とりあえず動作確認も兼ねてプリとパワーの間に付けてみました。
さきほども書いたように出口側に付けるように指定されているので、パワーアンプのほうに装着する形です。
気が短いのでサクッと聴いてみたところではちょっと静かになった印象でキツさが減ったようにも思えますが、少し線が細くなったような感じもします。
定位の揺れは減ったような気もするのですが、少し音数が整理されたような感じもあります。
中域の描写に重きを置いていて、熱量が減ってやや説明的になったようにも感じられます。
その代わり曲や録音を選ばずオールジャンルで聴きやすくまとまる印象です。
本来だとささっと付け外しをやって比較したいのですが、KSA-100は電源を切ってもしばらくは音が出続けるくらいに保護回路が割愛されているので、最低でも30分は待たないと配線は弄れません。
しっかり放電させてから元の直接接続にしてみたところ、こちらのほうがダイレクト感があってフレッシュな印象です。
通常のケーブルとは違って余計な接点が増えますし、それも影響しているのかもしれません。
ただ、詳しい方に伺うとMITのターミネーターは48時間通電しないと安定しないらしく、それをブレークインと呼ぶらしいとのこと。
気が短い私には向かないなぁと思いつつも、付け外しが多少はやりやすいプレーヤー(DP-77)側に移動させました。
こちらもまずは装着早々に動作確認がてら聴いてみますと、元々ギスギスしやすく揺らぐ傾向があるプレーヤーなのですが、これが落ち着いて程良く整頓された感じに仕上がっているようです。
雰囲気的にはDENON DCD-S10IIのような風合いになった気がします。
これで多少のブレークインを進めて、Wadia 23と比較してみました。
Wadia 23はデッドな感じにはなりがちですが、まさに「生っぽい」雰囲気です。
喩えとしてはあまり良くないかもしれませんが、スタジオ録音のようなDP-77+MITに比べてリハーサルの熱気のようなものを感じます。
MITのほうはレコード芸術的な仕上がりで、楽曲によってはライブハウスと小ホールの違いのような違いとも感じられました。
誤解を恐れずに言えばMITのターミネーターはMQAのような整頓されるエフェクターの要素があるように感じました。
整理整頓されて正されるケースも多々あって、きっちりハマればアイロン掛けたてのシャツのような整った佇まいになります。
その分、陰影やテクスチャの質感は薄まるケースもあって、それを雑味と捉えるか否かで好みが分かれるのではないでしょうか。
このまま数日様子見してぼちぼち聴いてみました。
たしかに付けてすぐよりも落ち着いてきた感はあり、細部の描写が繊細になっています。
しかしどうしても質量が軽くなったような感覚があって全体的にこじんまりしてしまった感は拭いきれないようです。
上品で澄んだ感触がオシャレな雰囲気でキツい音はしないのですが、生命感が薄いように感じてしまいます。
確実にアキュフェーズのクセは打ち消されているようですし、見通しの良い音ではあるのですけど、聴いていて嫌味がないが感動も薄いように感じられるのは個人的な好みにもよるのでしょう。
ピントは合ってるけれど、被写界深度が浅いような線の細めな描写で、これまた喩えが分かりにくいかもですけど、ズミクロンではなくズミルックスといった風情です。
結果的にうちのシステムの雰囲気には合わないように思えて外してしまいました。
発想としては面白いですし、上位モデルだとまた違うのかもしれないですけどね。
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