LINN AKURATE DS導入以後、いろいろ自分なりにやったネットワーク対策を客観的に調べてみたいと思い、無音のFLACファイルを再生して、それをPCM-D100のアナログ入力に入れて録音してみる、というのをやってみました。
まずPCM-D100ですが以前検証した結果、S/N100dBモードのほうが圧倒的にノイズは少なく、本来なら電池駆動が望ましいのは分かっていましたが、トランス式のACアダプタでもそこそこの能力を発揮してくれるので、今回はACアダプタでの使用としました。
C-280LのREC OUT経由でLINE INに入れるわけですが、まずはREC OUTをオフにした状態、つまり無入力状態でPCM-D100自体のノイズ特性を示しておきます。
フルボリュームで録音後、Audacityにて50dBブーストしてありますから、実際のノイズフロアはグラフより50dBほど低いということになります。
50Hzやその高調波がACアダプタ等を経由して入り込んでますが、ピークでも-64dB、つまり実際には-104dBとなっています。
全般的には-80dB、実際の値で-130dB程度のノイズフロアです。
さて、まずは現状そのままのセッティングでSoundgenicに入れた無音FLAC(16bit/44.1kHz)を再生してみます。
なおLANの負荷やノイズを見たいので、Mac Proで大きめのファイルをダウンロードしている状態で録音しました。
またこの件については後述しますが、エアコンはオフにしてあります。
さきほどの無入力から比べるとだいぶノイズフロアは上がっていますね。
ピークは50Hzで-45dB、すなわち-95dBほどと、わりと高めなレベルのノイズが入ってきています。
PCM-D100側のノイズもありますが-104dBと低いので、誤差の範囲(-計算上は-95.6dB程度)と考えて良いでしょう。
その高調波も見受けられますが、全体としては-78dB、すなわち実際には-128dBとなります。
AKURATE DSに使われているWolfson WM8741のカタログスペック上のS/N比が125dBであることからしてもそこは十分低いと思います。
#そもそもフルボリュームのアナログ入力なので参考程度ですけれど。
ACからの回り込みがわりと多いのは若干気になります。
AKURATE DSは迷った末、Accuphaseのクリーン電源「PS-500」から取っていますが、ダイナミック電源自体あるいはLANケーブルやXLRケーブル経由でも回り込んで来ているのでしょう。
さて次は対策済みのものを外してみるわけですが、さすがに全部取り除くのは難しいところもあり、AKURATE DSのLAN端子に付けてあったLANアイソレーター「RLI-1GB-Triple C」、そしてWi-Fiルータとパソコン系のネットワークハブに取り付けてあったLANターミネーター「RLT-1」を計4個外して計測しました。
Audacityの表示の関係で軸の上限・下限やその間隔が揃ってなくて非常に見づらくて申し訳ないのですが、対策なしの場合、ピークの50Hzは-44dB程度で、その高調波も含めて全体的に1〜3dB程度上がっていて、この辺りに対策の効果が出ているようです。
気になるのは40kHzなど可聴帯域外でノイズが若干ながら増えてしまっているところですが、これは外来ノイズが都度変動していて、そちらの影響のほうが圧倒的に大きいようです。
LANアイソレーターのみ外した状態や複数回やり直してみたりしましたが、その都度変化してしまいます。
ただ、さきほどの電源由来のノイズのほうは安定して100Hzから350Hz辺りは低減されていることが確認できました。
今回、無音のFLACをわざわざ作成・再生して実験したのですが、実は再生停止状態で試しても差はほとんどありませんでした。
デジタル系のプレーヤーの一部は残留ノイズを低く見せるため、無再生時には信号出力をリレー等でカットしてしまうものがありますが、AKURATE DSはそういうことはやっていないようです。
ただ電源からの回り込みがどうしても気になったので、耳で判断してやっていた「アース戻し」をやめてみたらどうなるのか、試してみました。
「アース戻し」とはLINNがDSMシリーズで推奨しているもので、電源ケーブルではアースを結線せず、アース端子から電源タップのほうにアースをつなぐ、というものです。
前述のようにAKURATE DSはクリーン電源から取り、アースは壁コンセント経由でShelterの電源タップのアース端子に戻していますので、実際にはLINN推奨の手法とは違う配線ではありますが、聴き比べた上でコレが良いと判断したものです。
あくまで聴感で選んだのでやや不安が残っていましたから、この機会に計測してみるとビックリの結果が得られました。
まずはAKURATE DSのアース端子からアース線を外した場合の結果から見ていただきましょう。
正直、USB-DACでもこんな結果にはならないぞ!というくらいヒドいノイズの嵐です。
50Hzは-40dB(実値で-90dB)なのは仕方ないとしても、その高調波も異常に多いですし、1kHzを超えて可聴帯域全体に連なっています。
また、32kHz,48kHz付近にも強いピークが見受けられます。
-60dB(実値で-100dB)ですからツィーターやアンプを壊すようなレベルではありませんが、これではハイレゾも何もあったものではありません。
ナゼだろう?と考えたのですが、実はこの計測をしてる辺りから暑くなってきまして、冷房を付けたのを忘れていました。
ただ、冷房はそのままにしてアース線を元に戻して計測すると、こんな具合にガッツリ低減されていますから、アース戻しが非常に有効であることが分かります。
これでもエアコンを付ける前よりは電源由来のノイズは上がっていますが、可聴帯域外のノイズは十分に低減できています。
アース戻しの比較では、LANアイソレーターやLANターミネーターは元通りに戻してありますから、こちらもこうした電源環境の悪化を防ぐ役割を果たしてくれているものと思います。
ただ、いつも感じるように何処かにボトルネックがあると、せっかく他の対策をしっかり施しても埋もれてしまいがちです。
今回の結果を見ますと、どうやらAKURATE DSの場合はアース周りの対策をもっとしっかりやらないといけないようです。
LINNのMAJIK-ILやLK140を使っている時にもアースや電源ノイズの影響に敏感と言いますか、機器側の対策不足を感じましたが、どうやらそれはAKURATE DSでも同様だったようです。
そう考えて使い勝手が悪いものの、クリーン電源を経由していたのですが、それでもまだ不足とは思ってもみませんでした。
そもそも電源のアース対策が不足しているなぁとは思っていたので、今後の課題が浮き彫りになったのは大きな収穫とも言えるでしょう。
それを対処した上で、機会があればまた追試してみたいと感じている次第です。
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3 Responses
5月 3rd, 2018 at 11:35 AM
はじめまして。
コメント失礼します。
7月31日に投稿されたシチズン初期クリストロンを探していました。
まさかとは思いますが、失礼とは思いますが、
お譲りいたたけないでしょうか?
5月 3rd, 2018 at 7:25 PM
takadatakao0226さん、コメントありがとうございます。
クリストロンのロゴは斜体ではないのでそんなに初期のものではありませんが、文字が入ってないのが珍しいようですね。
ベルトは記事当時のが傷んだので、今はダイソーの安いのを付けてありますが、動作は問題なく月差もそれほど多くない状態です。
他に入手性が高ければ良いのですけども、手放すともう手に入らなそうですし、今のところは持っておこうかなぁと思っております。
何かご事情でもございましたら、またご連絡いただければ幸いです。
5月 3rd, 2018 at 8:15 PM
お返事ありがとうございます。
そうですね、クリストロンは斜体の初期型が人気もあり、玉数もあります。後期のものは、当時の販売価格も初期に比べるとお安くなり、購入しやすくなっていたはずですが、なぜか現代では玉数がありません。あっても文字盤が死んでいたり、傷だらけの物ばかりです。
私はオールド時計を採集しておりますが、マニアに人気があまりない物を採集しております。
突然のメール申し訳ありませんでした。
気長に探します。