東京出張のお土産というわけでもないのですが、NordostのRCAインターコネクトケーブル「Enchantress」を中古で見つけたのでゲットしてみました。
Nordostというと100万円近いケーブルがゴロゴロ登場する「Valhalla 2」シリーズなどが有名ですが、このEnchantressは同社としてはエントリークラスの製品です。
今はこのクラスすらなくて、現行でいちばん安い「BLUE HEAVEN LS」でも3万円超えですが…。
編組みされたシールドが印象的ですが、こちらは銀コーティング/OFC、芯線はプラグの中を見ると8芯ツイステッドの7N-OFC銀コーティング導体のようです。
今はプラグも自社製ですが、EnchantressはWBT社ノイトリックのプラグ(たぶんNYS352G)が使ってあります。
プラグはやや緩めですし、なんとなく表面が曇ったような感じでしたが拭くとキレイになるので、もしかするとこちらも銀メッキなのかも。
全体的にやや古びてきてはいますが、接点にサビはないですし、実用上の問題はなさそうです。
で、早速、ATOLL DAC100に繋いで聴いてみますが、一聴したところではこれまで使っていたLINN Black Cableのほうが解像度が高い印象で、Nordostは地味な音色に感じます。
ただ、LINNのほうはやや誇張気味に輪郭を強調するような演出を感じる部分もあるので、ある意味、LINNらしい音の聴かせ方と言えるのかも。
ここで一旦、SONYのCDプレーヤー「CDP-557ESD」につなぎ変えてみました。
こちらはAccuphaseのRCAケーブルを使っていましたが、ここでもATOLLの時と同じでNordostに変えると地味な方向へ振られてきます。
ただ、当初は低域も高域も張り出しの弱くて物足りなく感じたのですが、よく聴いていくと決して出ていないわけではなく、少し奥行き方向に下がって像ができる感じなんですね。
細かい音色に耳をやってみると、ピアノの高音域のタッチの繊細さが出ていたり、ベルの音など、これまで聞こえづらく埋もれていた繊細な高音が出ているのが分かります。
特筆すべきは交響曲で、打楽器の音階がこれまでと全く違って、非常に明確に出てくるのに少し驚きました。
ただドシンドシンと響くのでなく、穏やかでシャープなものになるんですね。
おまけにオーケストラの配置が明瞭に分かり、良いホールの程良い加減のシートで聴いている気分です。
それならばということで、ATOLLのほうに再び戻してじっくり聴いてみます。
ハイレゾ音源でテストしてみると、当初聴いてみたCD音源よりも高域の出方が自然で情報量の多さをこれまでよりも体感できます。
音像が締まってフォーカスが合った感じになりますが、かといって細くなりすぎず、まさにピントがしっかり合焦して輪郭がはっきりする印象ですね。
ケレン味が少なく穏やかな音色で、派手に出すのではなく落ち着く音を引き出す感じなのでじっくり聴くスタイルに適していそうです。
ただ、シールドの差なのか、ノイズ対策もやや弱いような気もしますから、PCオーディオよりも従来的なオーディオシステムに向いているところもありそうですが、誇張のない穏やかな表現は代えがたい魅力ですので、そこはまた別の対策を打ってATOLLで使い続けてみるつもりです。