OlasonicからNANOCOMPOシリーズの最新作として、パワーアンプ「NANO-A1」が11月末に発売予定だそうで。
NANOCOMPO発表当初にもラインナップとして入っていたものですが、よりシンプルに純度の高いパワーアンプになりました。
ほぼ1年前に出た当時はボリュームやステレオ/モノラル切り替えもありましたけど、製品としては電源ボタンのみ、あとは背面で選べるステレオ、バイアンプ、モノラルの表示ランプのみというシンプルさで、NANOCOMPOらしい潔さをさらにブラッシュアップしたものになっています。
パワーも去年の発表当初はステレオで40W+(4Ω)、モノラルで80W(8Ω)とされていましたが、今回の正式発表ではステレオ(バイアンプも)で56W+56W(4Ω)/28W+28W(8Ω)、モノラルでも56W(4Ω)/28W(8Ω)という内容となりました。
当然ながらデジタルアンプで、パワー素子にはNANO-UA1と同じTPA3118を採用しています。
そこだけ見るとちょっとパワーアップしたくらいかな?と思いますが、これが聴いてみるとかなりのグレードアップなんですよね。
というわけで、先日、ご好意に甘えてOlasonic社内にて試作機を試聴させていただいたので、その感想も織り交ぜながら紹介していこうかと。
まずは外観から紹介してもらいましたが、UA1と比べて大きく違っているのはACアダプタのサイズでした。
ちょっと昔のノートパソコンで良くあったくらいの大きさのACアダプタでして、あいにく電圧などの定格を見てくるのを忘れてしまったのですが、SCDS(Super Charged Drive System)搭載とはいえ、やはり電源部分の強さはグレードアップに重要な要素だったことでしょう。
ACケーブルもアダプタ直生えではなく、3Pインレットになっていますからグレードアップが図れる点もよりオーディオ的な楽しみ方ができる構成です。
さらに、アダプタ本体以外にもDCプラグ部分にも大きな変化があって、非常に信頼性の高いLEMOコネクターが採用されています。
LEMOというと古くからのオーディオマニアはMark Levinsonで使われていたのを思い出される方も多いかも。
オヤイデさんも最近、金属製の高品位なDCプラグを出されてますけど、これからの新たなトレンドになるかもしれませんね。
そして内部基板を拝見しましたが、これが大きなコンデンサがぎっしりでまたビックリ。
筐体サイズの制限があって苦労されている部分もあるかとは思いますが、そこは製造コストや商品開発のスピードとのバーターなところもありますからね。
実際、NANOCOMPO自体の発表が去年の10月だったことを考えると、1年で4モデル目の発表というのはOlasonicさんの規模としては異常なほどのハイペースで、それを(コスト面でも)支えているのが共通化の進んだ筐体と基板サイズと言える部分もあるようです。
そしてやっぱり気になるのはそのサウンドですよね。
私も商品説明を伺いつつも早く聴きたい衝動に駆られてました。
あまりに聴きたい想いが強すぎて、最初にNANO-UA1から鳴らしてもらったわけですが、うっかりそれが今回のNANO-A1だと勘違いしてしまったという恥ずかしさです。
ただ、それくらいUA1も単体で聴くと素晴らしいもので、その時のメモにも「歪の少ない高域、沈み込む低音」と書いてありました。
そして今度こそNANO-A1を1台使った通常のステレオパワーアンプ構成で、NANO-D1とNANO-CD1を使って聴かせてもらいました。
一聴して感じるのは、よりオーディオ的な表現になるという点です。
NANO-UA1はハイスピードで現代的なタッチですが、やや情感が薄いところがあり、背伸びした繊細な若手アーティストみたいなところがあるかと。
その点、NANO-A1はやや酸いも甘いも知ったベテランさんという落ち着きがあります。
特に余韻が穏やかに伸びる部分でその余裕を強く感じますね。
ただ、ややオールドスタイルなオーディオ表現になりがちな印象もあって、最近の高精細な雰囲気を好む向きにはNANO-UA1のほうが一見好みに感じるケースもあるかも。
ただし、低域の充実度はやはりどうあがいてもNANO-A1の圧倒的勝利でしょうけどね。
そして次はNANO-A1を2台投入し、モノラル使いでの贅沢構成です。
ここまで来るともうレッドゲージを超えて別次元に突入したような差になってきます。
試聴時、スピーカーにKEFのLS50を使っていましたが、こちらのウィークポイントが露呈し始めていた感すらあります。
さきほどまでの好みの問題はもう消え失せて、余韻と鮮度を両立させつつ、さらに奥行方向への広がりも魅せてくれました。
価格的になかなか最後のモノラル2台構成に一気に行くのは難しいかもしれませんが、そこもセパレート構成の良さでして、最初はA1を一台入手して徐々に拡大していくのも良いでしょう。
今回の試聴では聴きませんでしたが、バイワイヤリング対応スピーカーならバイアンプとの使い分けも面白そうです。
また、これはサウンドとは直接関係ありませんが、CD1、D1、そしてその横にA1を2台並べた姿はとても美しいフォルムです。
NANOCOMPOはどれも突起を含めなければW149×H33×D149mmで揃っているからこそですし、横に2つ並べると横幅がちょうど普通のコンポくらいになるんですよね。
ぜひこの4つがキレイに収まる木製ケースを出して欲しいくらいです。
そんなデザイン部分でも今回新たな発表があり、これまでのプラチナホワイトに加えてシルキーブラックが追加になるんだとか。
今回のNANO-A1はもちろん、これまでのモデルも2色展開になるとのこと。
この黒がまた非常に良い仕上がりでして、黒の色合いも元々からのフォントデザインと良くマッチしています。
すでにホワイトモデルを購入された方には悔しい方も多いかもしれませんが、元々は計画になかったそうなので勘弁してあげてください。
そして最後に肝心の価格ですが、NANO-D1と同じメーカー希望小売価格、73,500円とのこと。
NANO-D1が現状6万円台というところですから、おそらくその辺りに落ち着くのではないかな。
パワーアンプというところではこの価格帯のものはかなり少ないと思いますし、他がNANOCOMPOでないユーザーさんにもオススメなんじゃないかな。
もちろん、4台セットの大臣仕様NANOCOMPOもぜひ木製ケース付きでキャンペーンをお願いしたいところです。
ちなみに実施がちゃんと決まってるほうの期間限定キャンペーンとしては「高音質USBケーブル 試聴用4本セット」プレゼントが本日から実施されるそうです。
すでに実施されている「縦置きスタンド」とはどちらか一方を選ぶ必要があるそうですが、例のHiVi付録だったAIM、SUPRA、WIREWORLD、そしてZonotoneのUSBケーブルがもらえるとのこと。
これを集めたムックも出ていますが結構なお値段ですし、特にUA1やD1を購入予定の方にはオススメのキャンペーンかと思います。
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2 Responses
10月 16th, 2013 at 10:50 PM
今晩は。
コンデンサの詰め込み方が凄いですね(^^) 高さのない筐体へ入れようとするとこうなってしまいますが、使われているコンデンサを調べたら特にオーディオ用ではない85℃の標準品でした。
まあパーツで全てが決まるとは思いませんが、もうちょっと工夫があると説得力出ますね。
とは言えMacBSさんの試聴結果は良さそうですし、ACアダプターの仕様と言いマニア心をくすぐる仕様で、何だか楽しみです。
10月 17th, 2013 at 7:15 PM
shigechanさん、コメントありがとうございます。
当日は試作機やチューニング時の基板を見せてもらいましたが、いろんなコンデンサを試して最終的な音決めをしたんだろうなという様子が見て取れました。
もちろんコストや安定調達の面もあっての選択なのでしょうけどね。
雰囲気的にはモノラル構成でのセパレーションの良さが大きなポイントになりそうな気もしますから、できればバイアンプで使うのが理想なのかもしれません。
なお、アンプ自体はBTL構成になっているようです。