Olasonicさんから発売前のNANOCOMPOシリーズのCDトランスポート「NANO-CD1」をお借りしました。
なお、例によってOlasonicさんのご好意にて貸与いただいていますが、記事執筆に関しての報酬等は一切いただいておりません。
また本機は発売前の試作機によるレビューであり、製品版とは差異が生じる場合もある点はご了承ください。
今回、製品版のNANO-UA1もいっしょにお借りしたのですが、まずは以下の手持ち機材にNANO-CD1のみを接続してみます。
なお、ATOLL DAC100との接続は手持ちの同軸ケーブルにておこなっています。
DAC: ATOLL DAC100
Amp: Micromega Minium AMP2
Speaker: DALI ROYAL MENUET II
CD Player: SONY CDP-557ESD
USB-DDC: JAVS X-DDC
NANO-CD1はアップサンプリング機能がある点が大きな特徴のひとつになっていますが、まずは44.1kHzで音出しです。
CDからリッピングした音源をAudirvana Plusで同時再生したものと交互に比較してみると、NANO-CD1のほうが低域の重心が下がって聴こえる印象です。
またこちらはさすがに同時というわけにはいきませんが、SONYの年代物のCDプレーヤー「CDP-557ESD」から同軸デジタル出力し、ATOLL DAC100に入れたものと比較してみますと、557ESDのほうが音が丸い感じがして、やはりNANO-CD1のほうが現代的な表情を見せてくれます。
とりわけライブ録音などではNANO-CD1の奥行きのある音場が特徴的で、CDP-557ESDでは鈍重な印象を受けるCDもハイスピードで現代的に蘇らせてくれる点は特筆すべき良さでしょう。
また、96kHzにアップサンプリングして再生してみると、Audirvana Plusでのソフトウェアによるアップサンプリングよりも自然で、アップサンプリングの良さだけがうまく生かされているようです。
アップサンプリングしたからといってハイレゾ音源的な緻密さが出てくるわけではありませんが、音の粒立ちが細やかになり、やや華やかになるといった印象です。
なおアップサンプリングの切り替えスイッチは背面にあり、リモコンでの変更はできませんが、電源を入れた状態や再生中でも切り替え可能なようです。
全般的に音質に関しては想像以上に良好なのですが、最近、PCオーディオにすっかり慣れた身としてはひとつだけ気に掛かる点が出てきました。
それは光学ドライブの動作音です。
スロットインのドライブは全般的にPCの内蔵ドライブ的な雰囲気で、Mac miniが動いているだけで音量もそれほど大きくない静かな環境では気にならないと言えば嘘になります。
CDP-557ESDと比較してもドライブの静寂性はやはりかなり違っていて、こちらがドライブをアコースティックにシールドしてあるというのを加味しても、もうちょっと動作音が小さいと良いなぁと感じてしまいます。
(6/13 15:00追記)
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ここでのレビューは試作機を使ったものですが、発売に際してメカノイズの改善が図られているようです。
量産機で近日中に再レポートできればと思っております。
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文章だけではなかなか分かってもらいづらいと思ったので、NANO-CD1とCDP-557ESDのCD挿入から再生開始後までの動作音をPCMレコーダーで録音してみました。
なお、PCMレコーダーの音量はどちらも手動固定とし、ディスクトレイからそれぞれ10cmくらい離れた正面にレコーダーを配置して録音してあります。
[ Olasonic NANO-CD1(試作機)のCDローディングから再生時の動作音 ]
[audio:https://www.sara-mac.com/wp-content/uploads/2013/05/NANO-CD1.mp3]
[ SONY CDP-557ESDのCDローディングから再生時の動作音 ]
[audio:https://www.sara-mac.com/wp-content/uploads/2013/05/CDP-557ESD.mp3]
Audacityで波形を見てみると動作音自体のノイズレベルはむしろCDP-557ESDのほうが大きいくらいです。
ただ、それぞれの再生部分の動作音で周波数分析してみると、NANO-CD1のほうは650Hzと1100Hzあたりにちょっとしたピークがあり、これが-50dB近辺となっています。
CDP-557ESDのほうは10kHz付近に-67dB程度の小さなピークはあるものの、全般的に低域寄りになっていて、動作音が目立たないように工夫が施されている印象です。
[ Olasonic NANO-CD1(試作機)の再生時動作音の周波数特性 ]
[ SONY CDP-557ESDの再生時動作音の周波数特性 ]
もちろん設置場所が遠ければ音は距離の二乗に反比例して減衰するわけですから気にならなくなると思いますけど、NANOCOMPOのサイズが小さいだけに、以前も提唱した寝室オーディオといった使い方が想定されるわけで、手元に置きたくなる場面も多いでしょうから、ここはちょっと気になるところです。
NANO-CD1のコンパクトさは他では代えがたい魅力ではありますが、それだけに動作音をアコースティックに抑える工夫に限界があるのでしょうし、スロットイン構造もスロット溝部分が物理的に空いてしまうことで動作音が本体内部から漏れやすいデメリットもあるのでしょう。
借り物でもあるのであまり積極的に試せていませんが、再生中はスロット部分にフェルトを挟むとか、アクリルカバーを付けるといった工夫をしたら良いかもしれません。
またNANOCOMPOシリーズは電源にACアダプタを使用する仕様となっていますが、NANO-UA1とは違い、NANO-CD1のほうはコンセントの差込口にアダプタ本体がある形状になっています。
6V2AとCDトランスポートとしてはハイパワーでありつつもコンパクトなものではありますが、コンセント周辺が煩雑な感じになるのはちょっぴり残念です。
なお、NANO-UA1のほうは16V1.5Aのものが付属しており、電圧が大きく違いますが端子の径が違うので間違えて挿してしまう危険性はありません。
ただ、双方とも本体のDCプラグ差込口に電圧の記載がないので、NANOCOMPOシリーズがたくさんあった場合、どれがどのアダプタか分かりづらくなってしまうかも。
個人的にはNANOCOMPOと同じ大きさのパワーサプライユニットを出してもらって、ここで電源を一元管理できるようになったら良いなぁと思いますが、それは今後のシリーズ展開に期待というところでしょう。
またしても全般的に厳しいレビューになってしまって申し訳ないのですが、コンパクトなNANOCOMPOのコンセプトやそのサイズから想像するイメージを遥かに裏切るサウンド自体のクォリティは素晴らしいもので、だからこそ高望みしてしまう部分もあるのだと思います。
今回も一週間強の短い期間ではありますが、今後はNANO-UA1と組み合わせてのレビューなどをしてみたいと思います。
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