Olasonicのネットワークオーディオプレーヤー「NANO-NP1」ですが、プレーヤー本体だけでなく、サーバーとしてのNAS(あるいはサーバーソフトの入ったパソコン)、そしてコントローラーとしてのタブレットが三位一体になってこそ、というのはこれまでのレビューでも書いたとおりです。
今回はそんなコントローラーの部分にあたるコントロールアプリについてレビューしてみようかと。
まず最初に音質面でいうとコントールアプリはほぼ影響なしといって良いと思います。
実際の音楽データのやり取りはあくまでサーバーとクライアントであるNANO-NP1の間で行われるわけですし。
ただ唯一、音楽を楽しむ上での「質」という点で気になるポイントはいくつかありまして、たとえば以下のようなものが挙げられるかと。
・ギャップレス再生
・選曲のしやすさ
・再生モードの多彩さ
他にもまだたくさんありそうですが、私がとりわけ気になるのは上記の3つです。
ギャップレス再生はクラシックやライブアルバムでは曲の途中に隙間が開くと興醒めですし、選曲は単なるスキップや戻しだけではなく、たとえば今聴いているアルバムの次はどれにしようかな、といった部分もポイントです。
再生モードについてもアルバム内やライブラリ全体でのシャッフル、プレイリストなどが重要かと。
まずNANO-NP1純正となりますとナノコントローラーです。
このアプリはどちらかと言うと「だれでも使える」という部分に注力されたアプリで、上記の3点を評価すると以下のようになります。
・ギャップレス再生:A
・選曲のしやすさ:B
・再生モードの多彩さ:C
ギャップレス再生は環境によって問題が生じるケースもあるらしいですが、うちの環境では特に問題なく再生出来ていました。
選曲についても「だれでも使える」わかりやすさという点では優秀なのですが、あくまでもアルバムあるいは単曲単位で、サーバーとの相性によってか、ややボタンや表示の反応の悪さも感じられた分、減点しました。
ちなみにTwonky Serverも体験版で試してみましたが、たしかに軽快ではあるものの、音質面でも操作性や安定性の面でも他のサーバーと比べて特に優れているというほどではありませんでした。
再生モードに関してはシャッフルがない、というのが個人的にはちょっとつらいところです。
クラシックはほぼ間違いなく曲順に聴きますけど、ポップスでは気分転換にアルバム内シャッフルをすることも多いので、やっぱりシャッフルは欲しいかな。
メーカーではMarantz Remote Appでの動作確認もされていたので、こちらも試しました。
こちらの評価は以下のとおりです。
・ギャップレス再生:B
・選曲のしやすさ:B
・再生モードの多彩さ:B
正直、Marantz独自のUIがあまり好みではなく、これ一本で使い込んでいきたいなと思わせるものではなかったというのが正直なところです。
突然、「このデータは再生できません」と表示されたりすることもあったのは純正アプリではないから仕方ないのかもしれませんが。
ただ、Mimimserverを使っている場合のアプリハングの頻度はナノコントローラーよりは少なかった気がします。
他にもなにか良いソフトはないかなと、各社のDLNAコントロールアプリをインストールしてみますが、大半は純正のクライアント(プレーヤー)でないと操作すらできないというパターンでした。
DLNAコントローラーという位置づけなら、そのくらいの互換性はあっても良い気もしますが、それはメーカーの好き勝手で良いのでしょうね。
動かなかったものの、KAKUさんのオススメいただいたLUMINは雰囲気的に使い勝手が良さそうなアプリでした。
初代iPad miniでは動作がややもっさり気味ではありますが、楽曲情報をアプリ側である程度キャッシュする仕組みを持ってるようで、独自の工夫をこらしてあるなと感じるアプリだっただけにプレーヤーとしてNANO-NP1がチョイスできなかったのはとても残念でした。
かろうじて操作可能だった他のアプリはというと、LINN謹製のKinskyです。
あいにく曲送りができないんですが、それ以外の機能はほぼ全て動作しました。
・ギャップレス再生:B
・選曲のしやすさ:-(A)
・再生モードの多彩さ:B
曲送りはできませんが、再生したい曲をリストにスタックするようなUIのため、どんどん聴きたい曲を積んでおけるのが気に入りました。
CDなんかでも聴いてる最中に次のをラックから物色して手元に積んでおいたりしますが、あの感覚がちゃんと再現出来ているように感じたんですよね。
アーティストやアルバム名での検索も可能ですし。
逆に一旦積んだものの、やっぱりやめた…という場合の操作は煩雑だったりと、こちらも完璧とは言えませんでしたが、さすがにLINNには一日の長があるのかなとも感じました。
というわけでコントロールアプリもまだ決定版と言えるものを見つけることはできませんでした。
普段はAudirvana PlusにフォルダからファイルドラッグでアルバムをチョイスしたりCDをラックから取り出したりと、いかにも旧態依然とした操作をやってるわけですけど、まずはそれをあっさり超えてくる操作性は身に付けないと厳しいのかなと。
タグ付けがうまく行っていないケースだと、まるでレーベルに何も書いてないCDが串刺しで積まれてる中から選んでるような気分なんです。
それはタグ付けをきちんとやってないのが悪い…と言われればそれまでですが、CoverFlowやCDの背表紙を眺めてアナログに探す感覚がまだ恋しいのは頭が固いのかな。
ただ、純粋にアルバムを通しで聴くということに専念するのであれば、やはり純正のナノコントローラーがオススメです。
操作感はむしろサーバーで変わってくる要素も多いですし、あまりコントロールアプリに拘り過ぎないのが吉のような気もします。