MacBSの日常生活的日記

Olasonic NANO-UA1a レビュー ヘッドフォン編

Olasonicさんにお借りしているNANOCOMPOシリーズのDSD対応USB-DAC搭載プリメインアンプ「NANO-UA1a」ですが、今回はヘッドフォンでの試聴レビューをしてみたいと思います。

なお、ヘッドフォン端子は前面のステレオミニジャックのみですが、先日のポタフェスでは「バランス出力アダプター」なるものが参考出展されていたそうです。
ヘッドフォン端子ではなくスピーカー端子から接続して、バランス接続対応ヘッドフォン端子を提供するもので、その箱辞退には電源供給はされていないようですから、おそらくアウトプットトランスといったパッシブな回路で構成されているものと予想されます。
「UA1a/UA1/A1専用」だそうで「発売予定 未定」となっていますが、将来的にバランス接続を検討されている方には朗報かもしれません。

さて、今回はごく普通に正面のアンバランス端子を使ってのヘッドフォン試聴です。
試聴にはSHURE SE215(リケーブル済み)と茶楽音人 Donguri-鐘を使用しました。

まずは接続して残留ノイズを確認してみましたが、ホワイトノイズは多くなく、むしろ少ないほうだと思います。
ボリュームを上げてもあまり量に変化がないですし、ホワイトノイズの音色がやや中高域寄りなので刺激は少ない、目立たないノイズだと思います。
USB接続状態でもデジタル系のジュルジュルした感じのノイズが載ることもありませんでした。

つづいてギャングエラーですが、これも専用のアナログボリュームIC搭載のおかげか、ほぼ皆無といって良いです。
ただ、ボリューム0位置でも少し音が聴こえてくるのがやや気になりました。
また、小音量の場合に音量変動がスムーズでなく、階段状のような印象を受けたのも気になりました。
0位置が時計でいうと6時半くらいですが、この6時半から7時くらいまではほぼ同音量で推移し、その後、9時くらいまでそういう傾向が感じられます。

さて肝心の音質ですが、SHURE SE215では中低域に盛り上がりのあるサウンドですが、その割に薄めの高域なのに刺激的な中高域です。
エネルギッシュな感じにやや欠けますが、iPod nano直挿しなどと比べればそれはもう圧倒的に情報量は多いものです。
女性ボーカルはややドライですが刺激が少なめで、ギターの音色が美しいように感じます。
ピアノもスピーカーの時よりは実体感がある響きですが、やはりやや低域が薄味のような印象も受けました。

また、左右のセパレーションが良いのも印象的で、スピーカーでの再生の時と大きな違いは滑らかさと間引きの少なさを感じるところでしょうか。
ここはデジタルアンプのスピーカー部に対してアナログA級構成のヘッドフォンアンプの違いが出ているように思います。
ただ、ややドライ気味で真面目な音色自体は同じ傾向です。

チェロも低域がまだ少し不足するものの、鳴り自体は悪くないですが、音場感に薄く、奏者のリアルな息遣いはやや削がれる傾向です。
反面、小編成のクラシックでは空気感の出たサウンドとなり、好録音ではその良さが引き出される傾向なのは、スピーカーでDSDやハイレゾが良かったのと同じ傾向かと。
大編成の場合は迫力に欠け、音に横の広がりが薄いため、それぞれの楽器がしっかり耳には入ってくるものの、体に響いてこない印象を受けました。
これはそもそもSHUREの傾向も加わって、全般にややモニター寄りに偏ったせいもあるかもしれません。
また、楽器が増えてくるとモニター調から全体的な雰囲気で聴かせる傾向に変わるのも面白い傾向だと感じました。

そこで次は音傾向が大きく異る茶楽音人のDonguri-鐘に移行して聴いていきます。
こちらは低域に厚みがあり、高域も華やかで、鐘の音色傾向がしっかり活きています。
ただ、鐘らしい音の広がりはあるものの、豊かな響きや艶に欠ける傾向はドライなUA1aの音色を受けてのものでしょうか。
ただ、ピアノの響きは実体感も伴い、再現性が高いですし、ボーカルものでもバックの細かな響きやホールノイズもしっかり再現されています。
音楽的な魅力という点ではやや表層的なのはスピーカーの場合と似通っている傾向があるものの、相性自体はSHUREよりこちらのほうが合っているようです。

チェロは鐘のほどよい箱鳴りも伴って、バランス良く再現され、中低域の厚さも程良いものです。
小編成クラシックはSHUREの時同様、相性が良く、より細かな奏者の息遣いも捉えており、モニター的な部分と鐘の音楽性のバランスが活きた形です。
また大編成でもSHUREの時のようにこじんまりとならず、箱庭なりに壮大さを表現できていて、楽器の配置や分離もしっかりしているのが印象的でした。

ポップスでは良くエージングされた鐘の澄んだ高域が楽しめるもので、これはUA1aのアンプに歪みが少ないおかげでもあるでしょう。
ストリングスやギターはタッチがシルキーで、スピーカーの時よりも良い表現なのはアナログ回路なのが活きているのだと思われます。

このように全体的な相性は明らかに鐘のほうが良いようで、SE215の場合はイヤフォン自体の実力より高いところを引き出してはいますが、ともにモニター傾向でありつつ、情報量がイマイチ引き出せず、相性が良くないのでしょう。
鐘の場合は全く正反対で、それぞれの欠点を補う形でバランスが取れ、うちのイヤフォンの中ではベストマッチといえそうです。

UA1a単体でのヘッドフォンアンプを評価してみると全般にはプリメインアンプ付属のヘッドフォンアンプとして大変優秀なものですが、ややドライな傾向は好みにもよるところでしょう。
そうした現代的な音色傾向が好きな方や、音楽表現に長けた、ややじゃじゃ馬傾向のイヤフォン、ヘッドフォンと組み合わせると、総合的に好結果が得られるのではないかと思います。

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