音元出版様からPLENUE MとPLENUE 1という高級デジタルオーディオプレーヤー2台をお借りました。
まずは発売されたばかりの弟分、PLENUE Mから試用していきます。
Apple製品を思わせる上品なパッケージはさすがの高級感で、箱の大きさ以外はMも1もあまり大きな差別化はされていません。
充電は共にmicroUSBで行いますが、当初は手持ちのケーブルで代用していたものの、これだと充電はできるものの、パソコンに接続した時に認識されませんでした。
ケーブル側が簡易な充電用だったのかもしれませんが、純正での使用がやはりお薦めです。
出張中にお借りしてのレビューだったので、楽曲はDXDから通常のハイレゾ、CDロスレス音源をFLAC,ALACなどでmicroSDカードに入れて持って行きました。
PLENUE Mは1と違い、底面に全体を覆うカバーがないためか、microSDスロットにはダミーのカードが挿入されていたので、それを抜いて装着です。
初回の起動は7秒くらいで、データベース更新が完了しました。
なお終了は5秒程度でシャットダウンする感じで、中身はLinuxマシンみたいな雰囲気がします。
外出先では起動、終了ともやや待ち遠しい気がしなくもないですが、実際にはセッティングでパワーセーブモードに入る時間を設定可能ですし、自分でシャットダウンする必要はほとんどないでしょう。
早速の音質ですが、第一印象はとにかく素直な音というのが最もふさわしい表現かと。
低域はやや厚めでありつつもフラットで、しかも極めて高音質ですが、押し付けがましい部分が全くなく、ごく自然に音楽に浸る環境を提供してくれます。
また当方の環境(iPod nano+ポタアン)と比べて、残留ノイズの少なさも際立っていました。
なお、当方の比較用再生環境は以下のとおりです。
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DAP: iPod nano 7th
DAC: Cypher Labs Algorythm Solo
Cable: ALO audio SXC22 Mini to Mini
Amp: ALO audio Rx MkII
Earphones: SHURE SE215 / 茶楽音人 Donguri-鐘
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さらにJetEffect 7やBBE+などのエフェクトも充実していますが、これらを効かせても歪むことがないのも特筆すべき性能だと感じました。
実際には私自身がこれらを使うことはありませんでしたが、基本性能の高さに加えてソフトウェアの完成度の高さはやはりこれまでのDAP開発技術の積み上げがあってこそかと。
ちなみにファームウェアは当初1.02でしたが、これは最新の1.11にして試聴しました。
音質的には特にファームウェアでの変化はなかったように感じます。
操作面では時計が表示されるようになったのが便利でしたし、やや反応が軽快になったようにも感じました。
タッチパネルでの操作はやや独自のUIではありますが慣れると使いやすいものです。
ただiPhoneに慣れている身にはやはりどうしてもついiPhone的操作をしたくなることもありました。
特に横回転のロックができると良いかなと。
再び試聴に戻りますが、まずはSHURE SE215で聴いていきました。
本来ならもう少し上のグレードで試聴すべきなのですが、なにぶん出張中にホテルでの試聴でしたので…。
これはこれでSE215の性能をフルに引き出したものでしたが、ここでイヤフォンをもう一つ持って行っておいた茶楽音人のDonguri-鐘にしてみると、ハイレゾ音源の良さがさらに引き出されます。
おそらくどちらの機材も低域、高域まで自然に伸びているからだと思いますが、ハイレゾ音源でさらに広がりと深みが感じられるようになり、CD音源でも音源ごとの音傾向をしっかりと聞き分けることができました。
PLENUE 1とも比べてみましたが、PLENUE Mでも全く不満はありませんが、あえて言えばPLENUE 1のほうがやや上品な雰囲気です。
PLENUE Mでは低域、高域にわずかにケレン味を感じますが、かなり真剣に聴き比べてやっと分かる程度です。
逆にこのケレン味がある意味、ダイナミックさにもなっていて、POPSやロック、ジャズなどではこちらのほうが相性が良いケースもあるかもしれません。
私はクラシックやピアノ、女性ボーカルが中心ですが、こうした音源ではMのほうが全般には軽やかな表情で、それでいて低域は押しがある演出が少し乗ってくるように感じました。
さきほども書いたとおり、その分、イヤホンや外出先ではこちらのほうがノリが良く聴ける面もありました。
また、音質とは関係ありませんが、外出先で使っているとPLENUE 1はポケットの中でやや発熱する傾向でしたが、PLENUE Mは1より熱くならない気がします。
これはもしかするとCPUの違いのせいでしょうか。
手持ちのポータブル環境との比較では高域に透明感があり、自然さが目立ちます。
ある意味、現代的なものですが、自分の好みの音傾向にするにはJet Effect 7やBBE+を使う以外にないのがマニア的には少しだけ残念です。
光デジタル出力はありますが、できればLINE OUTもあると良いなと感じました。
代わってPLENUE 1ですが、こちらはMと比べて滑らかで艶がある表現力の違いを感じます。
低域の締まりという点でも違いがありますが、ここはさきほども書いたように、厚みのあるMも捨てがたいものがあります。
大きさは私が普段使っているALO audioのRx MkIIとほぼ同じ大きさで、PLENUE Mともほぼ同じです。
ファームウェアもこちらは当初1.11でしたが2.11にして試聴しました。
全般的には絶賛するところばかりですが、あえて欠点を挙げれば先ほども書いた発熱でしょうか。
ポケットに入れていると、そこそこ発熱があり、夏場はちょっと気になるかもしれません。
ただし、電車の中でも高域の伸びはしっかり感じ取れるもので、まさに「ハイエンドをポケットに」といった代償としては些細なことです。
通常の私の再生環境と交互に比較しながら試聴してみると、ここでやはりPLENUE Mとの差に気づきました。
PLENUE 1は自然で歪みなく、音源から解き放たれたサウンドが心地良く、無理した部分が全くないのが印象的です。
私の通常再生環境は良く言えばアナログ的ですが、歪みやノイズが積み上がってしまっているのに気づかされてしまいました。
そこはやはり一体型のメリットでもあるかと思いますし、当然コンパクトさも魅力です。
しかしあえてPLENUE 1のヘッドフォン出力からRx MkIIを通しても聴いてみました。
ホワイトノイズはRx由来の部分が多いためか、かなり増えますが、温かみは出てきますし、オーディオ的楽しさはあります。
こういった遊び方が出来るという点でも、繰り返しになりますが、やはりラインアウトは欲しい気がします。
これ以外にPLENUE両機には「ヘッドホンモード」というものがあり、一種のゲイン切り替えになっていますが、個人的にはヘッドフォンモードをオンにしたほうが音にハリがあって好みの傾向でした。
残留ノイズが少ないので高効率のイヤフォンでもゲインが高くても問題ないというのもあります。
このもーどならクラシックの大編成も十分楽しめるし、むしろ自宅のヘッドホンでも楽しみたくなりましたが、今回は我慢です。
充電についてはmicroUSBを使う方式ですが、思ったよりは時間がかかる印象でした。
かなり消費した状態からある程度までは十分速いのですが、最後のあと少しになると遅い気がします。
できればバッテリー残量のパーセント表記もあったら便利かと思います。
両機共通で感じたのはとにかく真面目なサウンドという点です。
ちょっとクセのある機器をお使いの方にはやや薄口に感じてしまうこともあるかもしれませんが、その透明感の高さはポテンシャルの証だとすぐに気付かされるでしょう。
情報量自体は非常に多く、かつ正確で、あとは外部出力やバランス対応など、組み合わせの楽しさが追加されれば言うことなしといったところでしょう。
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なお、この記事はPhile-Webさんに掲載していただいた「コウォンのハイレゾDAP「PLENUE 1/PLENUE M」を読者が体験。じっくり使って分かった“生の声”」に投稿したものを掲載しています。
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