アイコールがオーディオ撤退するということで、クリーニングマシンを購入すべきかどうか躊躇している人の背中を押そうとクリーニングの効果を改めて検証してみることにしました。
我が家のレコードクリーニング環境はClearaudioのクリーニングマシン「Smart Matrix Professional」にクリーニング液はほぼ「OYAG」を使っています。
ごくまれにパチパチが酷すぎる場合はレイカのバランスウォッシャーを使うこともありますけど、100枚に1枚くらいのものです。
OYAGを純正のブラシでまんべんなくのばした後はアイコール(アルテもほぼ同じ)のブラシでゴシゴシと。
正直、クリーニングマシンの差より液やブラシ、そしてその使いこなしのほうが差が出るくらいだと思いますが、マシンはそれでかき出した汚れをバキュームできるというのが大きなメリットだと思います。
その辺りはすでに多くの方や記事で書かれていることなんですが、「じゃあ実際にどれだけ違うのよ?」というのが購入前にいちばん知りたいところですよね。
展示会などではたまに体験会みたいなことをやってるケースもありますけど、なかなかそうした機会に巡り合わないことも多いと思います。
そこで前置きが長くなりましたが、実際に未クリーニングのディスクをそのまま再生した場合とクリーニング後で比較してみようじゃないかと。
実際には盤の状態や汚れ具合にも依存するわけですが、今回は故意に汚したりはせず、購入したままにしてあった全集の中の1枚で実証してみた結果ということで。
まずは未クリーニングのまま、ZYX Ultimate 100で再生し、C-200Lのフォノイコライザーを経てPCM-D100で24bit/192kHzにて録音しました。
これを16bit/44.1kHzに落としただけ(音量の正規化もしていません)で曲冒頭4分(ほぼ全体です)をAudacityでスペクトル解析した結果がこちらです。
実際の音声をアップできれば、それがいちばん分かりやすいのですが色々面倒なことになりますので、こちらでご勘弁ください。
盤の状態としてはわりと良いほうですが、曲の終わりの部分には明らかに汚れがあってパチパチ音が入っていました。
録音が終わったら早速、クリーニングしましてそのままプレーヤーに直行して録音したのが下の結果です。
クリーニングするとどうしても静電気を帯びやすくなりますし、やっぱり一度は針を通したほうが汚れも取れる(実際、再生後に針にずいぶん汚れが付いていました)せいもあってか、全体的に高域が落ちている部分はありますが、ノイズは明らかに減っています。
先程の曲の終わり部分を比較していただければ一目瞭然でしょう。
単にパチパチがなくなっただけでなく、周期的なワウのようなものも減っているのが面白いですね。
もちろん盤は改めてセットしなおしていますから、偏心が減ったのもあるかもしれませんが、サーフェスノイズ由来のものもあるような気がします。
ここまでで終わりにするつもりだったのですが、そういえば普段やっているルーティーンワークを飛ばしていたことに気づきました。
普段は再生前にSK-EXII(スクリーンショット内の表記はIIIと誤記してますがご了承を)に入れて、HOZANの消磁器で消磁していますから、これもやってみようと。
またプレーヤーにセットした後はクレオスの除電ブラシ「MB20」でホコリをはらいまして、同様の録音をしました。
なお全ての録音はREC LEVELもそのままですし、面倒なのでエアコンや空気清浄機もつけっぱなしです。
今回は明らかに高域も伸びています。
もうちょっと分かりやすいようにクリーニング前と消磁後の2枚をアニメーションGIFにしてみました。(クリックして拡大するとアニメーションするはずです。)
スタイラスの汚れも今回はもうありませんでした。
クリーニングマシンでバキュームすると静電気がやや起こりやすくなるように思いますが、液が残るような状態は後々の盤質に影響する可能性もありますし、そもそも濡れた状態で再生するのは針にも大きな負担になります。
その点も含めて、クリーニング後は慌てず、やはり除電や消磁をやったほうが安心ですね。
今回の差がクリーニングマシンがなければ出ない差なのか?手動でも十分なのでは?という問への答えにはなっていないかもしれませんけれど、私自身はオリジナル盤や見本盤など鮮度にこだわる方ならバキュームの意義はきっとあると思います。
またスタイラスへの負担もずいぶん違うと思いますので、高価なレコードやカートリッジをお持ちの方は、その1〜2割程度の投資で済むのであればぜひ導入を検討してみてはどうかな?と思う次第です。
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