ゼンハイザーのヘッドフォン「HD598」ですが、次は手持ちのヘッドフォン数種と比較してみることにしました。
といってもだいぶ格違いの比較ですけどね。
まずは最近買ったPHILIPSのSHL9705Aとの比較です。
コストパフォーマンスがかなり高いヘッドフォンですが、聴き比べてみるとややドンシャリ傾向かなと。
それはそれで絶妙なバランスが保たれていますが、どうだ!と聴かせるタイプですね。
どちらかと言うと鳴り方がイヤホンっぽい傾向で、ある意味モニターのような風にも感じます。
その分、長く聴いているととちょっと疲れてくるかもしれません。
装着感も小さいわりに圧迫感がありますが軽快で、HD598とは違って一応密閉型ですから、音漏れはかなり少ないです。
密閉型の分、音場はやや狭い傾向ですが、そう言いつつ隙間からそこそこ音も抜けているので、オープンエアーとの中間くらいに考えたほうが良いでしょう。
あとは中低域でハウジングの鳴りが多少あるなと感じた程度で、全般には優秀です。
これだけコストパフォーマンスが高いのは、元々の価格が高かったこともあるのでしょう。
ここでHD598に戻って聴いてみますと、まずは能率はだいぶ低く、ALO audioのRx MkIIのボリュームで3step以上違います。
音質はなによりも自然で、むしろ自然過ぎて迫力を感じ足りない場面もあるくらいです。
音も聴いてる人も肩の力が抜けた感覚が味わえます。
実際にはPHILIPSとくらべて重低音の伸びが違うんですが、それをアピールする部分が皆無なので、そもそも全体的なボリュームもつい上げたくなります。
それだけに周囲の音漏れも曲そのものが聴き取れるレベルになりがちですけど。
高域ではふとハッとさせられるリアルさが出てくることがあり、その点ではやはり格の違いを感じさせます。
また、装着感は大きさのわりに重さを感じない非常に良好なもので、圧迫感もなく、この点ではこのヘッドフォンはかなり上位に来るのではないでしょうか。
もう一つ、私が寝る時に使っているSiege AudioのThe Division(改)も聴き比べてみます。
音量はHD598と1step差くらいと似たレベルですが、一聴してとにかく音がこもってます。
ヘッドユニットの手前に入れてあるフェルトの影響だと思いますが、改造前はもっとひどかったんですよね。
これを取り払うと今度は高域がキツくなるので、もう少し薄手のメッシュ状の素材にすると良いのかも。
ただ、全体にカマボコで上下の伸びもないんですけど、中域は歪みがなく、無理に背伸びした感じがないのがこのヘッドフォンの良いところでもあります。
ある意味、穏やかさがあるのはHD598に通じるものがあり、こう見えて意外と細かい音もしっかり出ています。
装着感もかなり良く、こちらも密閉型なので音漏れは少ないですし、格安でゲットできて自分で改造するつもりなら意外とオススメかもしれません。
全体的にはやはりさすがにこの両ヘッドフォンではちょっと格が違いすぎたかな、という印象です。
ただ、HD598もむやみにHi-Fiをひけらかすタイプのモデルではないので、いかにも「音が良くなった!」というのを期待する方にはオススメしづらい部分もあります。
iPhone直挿しでも一応鳴ってくれますが、アンプも選ぶ傾向ですし、すぐ上にHD650も控えていますから、予算が許すならHD650との比較試聴は必ずされたほうが良いかと思います。