HD598もお気に入りでしたが、LUXMAN P-1だとやっぱり限界も見えてきたなぁと感じていたところ、新春セールでHD600の新品がお安くなってるのを見つけて、ついつい購入してしまいました。
HD600はHD650の前モデルにあたるもので、限定復活したというのは若干記憶にあったのですが、買ってから調べると通常販売になったようですね。
全盛期には日本では未発売だったはずで、ハイレゾマークを付けて復活というのも面白いものです。
もちろんHD650やHD660Sも将来的な候補に入っていたのですが、HD650はHD598を購入する際にかなりしっかり比較試聴して私の好みはHD598だと判断したこともあり、今さら感もあるかなぁと。
HD660Sはインピーダンスも150Ω(HD600やHD650は300Ω)になり、駆動しやすくなり音傾向もさらに以前のゼンハイザーから離れてきているらしいので、これならHD700やHD800を…となりそうでした。
そんな中、よりモニター的だというHD600は良い選択肢ではないかなと。
リケーブルや改造などでの強化も可能ということも含めて最終的に決めました。
届いてみると箱がとても立派で、まずはそこにビックリ。
昔は木箱だったらしいですから、これでも「簡素化」されたようですけどね。
新品なのでまだまだエージングが必要な段階かもしれませんし、リケーブルもせずに純正のまま進めていますが、エージング前でもHD598とはかなりの差を感じます。
よりモニター的ですが、ゼンハイザーらしい聴きやすさも両立していて、まさに狙い通りです。
ただしアンプが強力でないと思ったように鳴らないだろうなというのは想像に難くない感じです。
しばらく聴いた後、HD598に替えてみましたが、まずは本体が軽くて側圧も少ないのはHD598の良さですけれども、聴きやすさと開放感、穏やかさはあるものの、これではもう物足りなく感じてしまうというのが正直な感想です。
仕事中はこのくらいのほうが気にならなくて良いかな?と最初は思ってましたが、実際はもうHD650しか使ってないのが実情です。
HD600に話を戻しますと、歪みが少ない点が際立ちます。
ボーカルの細かな機微もしっかり感じ取れますし、HD598と比べてモニター的な要素が相当増していますが、刺激的な音は出ないので長時間聴いても疲れません。
さすがにスピーカーから鳴らすような音場再現はありませんし、オープンエアの広がり感はややHD598のほうが優位なところもありますが、これならスピーカーが設置しづらい環境ではヘッドフォンオーディオで満足してしまうのも分からなくはないなという印象です。
音色としては木管楽器の美しさが特徴的で、特にハイレゾ音源やAudirvana Plusなどで良質な音源ほど顕著です。
キーの操作音や息遣いもしっかり聴き取れますし、それが強調され過ぎず、それも込みで音楽としての良好なバランスを保っているのが素晴らしいです。
欠点としては装着位置でやや音が変化しやすいところくらいでしょうか。
HD598のほうがもう少しいい加減でも良い気軽さがあります。
また、圧縮音源や録音が古いものでは粗も目立ってくるので、かえってHD598のほうが優雅に聴ける場面は多少出てきます。
ただそれも再生ソフトやDDC、DAC、ケーブルなどのセッティングを追い込むほどにしっかり変化を感じ取れて改善されていきますから、まだまだこれからの伸びしろが楽しみです。
ケーブルについては3.5mmにアダプタが挿してあるところがやや気になりますが、このケーブルも含めてHD600の味わいだという意見もあるようですし、エージングの間は少なくともこのまま行きたいなと。
エージングが完了するまでには他の部分の詰めも終わってるでしょうし、その後にのんびりリケーブルも検討してみたいと思います。