SONYのMCカートリッジ「XL44L」を追加しました。
SONYのMCカートリッジはXL-MC3SH、XL55Proに続いて3つめですが、最近はすっかり気に入っていて他がお休み中になっているくらいですので、再び発売されることはほぼなさそうな状況としてはキープしておくべきかなと。
発売時期としてはXL55Proのあとではありますが1980年頃とかなりの年代物ではあります。
XL55Proはベリリウム/アルミニウム/炭素繊維を使用した3重構造カーボンクラッドカンチレバーを使っていますが、XL44Lのほうはわりとシンプルなアルミ合金のテーパータイプです。
お店の梱包がいまいちだったせいで底面のアルミパネルが外れていましたが、カンチレバーを横から挟むような配置なので接着するのはやめてスケルトン的に使うことにしました。
おかげで8の字コイルもしっかり見えますし、ダンパーもいざとなれば軟化処理なども簡単にできそうです。
砂鉄が入りこまないように注意は必要ですけども。
早速ヘッドシェルに装着して聴いてみます。
雰囲気としてはXL-MC3のほうにやや近い音色で、クリアさはやはり空芯らしさがしっかり出ていて開放感があります。
XL55Proの凝ったマグネシウム合金ダイキャストシェルと比べるとややプラスチック筐体な雰囲気はなんとなくありますけど、カーボン系のシェルを使ったのもあってか、XL55Proより軽快でハイスピードな気がします。
また取付時に感じたのですが、磁力がかなり強いのが印象的でした。
針カバーがなくて恐る恐るだったのもあるのでしょうけど、他のカートリッジよりドライバの吸い寄せがかなり強めでした。
ネジ止めの位置が発電系に近いせいもあるかもしれず、より非磁性なネジのほうが良いかもしれないなと思ってあとで交換しておきました。
高域は緩やかにハイ上がり傾向ですが、空芯のおかげもあってかさほどキツさは出にくいです。
針形状は超楕円なので内周歪みも極小とはいえないのかもですが、そこよりも私としては音色重視なので問題になるようなことはありません。
全体としてはドライな感じですが意外とジャズに合うのは、これまでのSONYカートリッジと同傾向な気がします。
楽器の音色が素直なのとハイスピードさからでしょうか。
クラシックだとやや薄味傾向はありますが、もっさりした人工的な音になってしまって何の楽器が鳴っているのか分からなくなるよりはずっと良いでしょう。
ひとことでまとめるなら「軽快」というのがこのカートリッジの特色でしょうか。
高級カートリッジ然とした重厚感はありませんがスッキリ抜けが良いので気分良く聴ける気がしています。
ヘッドアンプ「HA-55」とも方向性は似ていますし、しばらくSONYに偏ったアナログ再生の日々が続きそうです。