PCM-D100をREC OUTにつないで残留ノイズを録音しては対策を施すという地味な作業もそろそろ飽きてきた手を尽くしてきたので、自分用のメモも兼ねてまとめておくことにしました。
まずは最初に気づいた頃から現在までの変化の具合を貼っておきましょう。
やり始めたきっかけはアース戻ししない状態でAccuphaseのクリーン電源「PS-500」から給電していると聴感上でもダメダメな音がしていたためです。
そこで無音FLACを作り、これをAKURATE DSで再生しておいて、XLR入力したC-280LからREC OUTでPCM-D100で録音するというのを始めたわけです。
その時の結果(下のグラフ)に驚いて、以後いろいろと対処せざるを得なくなったわけですけども。
なお当時は50dB増幅で貼っていましたが、統一するため、改めて当時の録音ファイルから周波数解析しなおしてあります。
こうやって振り返ることができるのも、この手法の良い点だと思っています。
そして現在の状況は以下のとおりです。
(6/17 13:15追記)
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参考までに-20dBの440Hzサイン波(24bit/192kHz)を再生した場合の録音結果は下記の通りで、440Hzが-1.8dBを示しています。
よって実際のS/Nは18dB程度低いものとして参考程度に捉えておけばよいのではないかと思われます。
(Audacityのグラフ表示ではちょっと限界も感じられますが…。)
ここまでに試した対処はおおよそ以下のとおりです。(大体、対処した順に記載してます。)
・クリーン電源からRTP-4 absoluteに変更
・RTP-4 absoluteの電源ケーブルを2芯に変更
・AKURATE DSから逆接地アダプタでアース戻し
・RGC-24 TripleC-FMをプリに装着
・RPC-1をデジタル系タップに装着
・自作仮想アースをアンプ系タップに装着
・iPurifier ACをクリーニングマシン周りのタップに装着し、トイレからアース引込
・LANターミネーターでPC系ハブの空きポートを全て埋める
・LANアイソレーターをAKURATE DSのLANケーブル両端に使用
・LANケーブルのハブ側、AKURATE DS側のシールド部にシリコンテープを巻く
・USB2.0セルフパワーハブのACアダプタを秋月電子のものに交換
・Soundgenicの電源を定電圧電源に
・コードレス電話機を廊下に移動
・普段使わない機材のコンセントを抜く(クリーニングマシンetc)
・エアコンの電源ケーブルをレコードプレーヤーやRTP-4から離す
・プリ-パワー間のXLRケーブルから電源ケーブルを可能な限り離す
・レコードプレーヤーの電源をヘッドホンアンプ周りの電源タップに移動
・ヘッドホンアンプ周りの電源タップの位置をメイン機材から離す
・Wi-Fiルータの物理的位置をAKURATE DSから離す
・AKURATE DSのアース戻しをしっかり締める
・iPurifier ACまでのアース線のバナナプラグをアコリバに変更してしっかり締める
・Mac Proの電源ケーブルをPOWER STANDARDにしてアースを取る
・USB-DACのUSBケーブルをACOUSTIC REVIVEに変更
とにかく色々やってきたわけですが、残留ノイズの観点から効果が高かったものベスト8を挙げてみるとこんな感じかと。
1位: クリーン電源からRTP-4 absoluteに変更
2位: RTP-4 absoluteの電源ケーブルを2芯に変更
3位: LANケーブルのハブ側、AKURATE DS側のシールド部にシリコンテープを巻く
4位: ヘッドホンアンプ周りの電源タップの位置をメイン機材から離す
5位: Soundgenicの電源を定電圧電源に
6位: RPC-1をデジタル系タップに装着
7位: 自作仮想アースをアンプ系タップに装着
8位: RGC-24 TripleC-FMをプリに装着
RTP-4 absoluteへの移行はとても大きなものでしたが、ただポンと導入しただけでは本領発揮とはいきません。
地道にボトルネックや悪影響を与えている部分を探して改善していく作業が続きました。
高周波ノイズに関してはAKURATE DSがLANケーブル経由でノイズをもらってくるため、金属シールドがかえってマイナス要因になってしまっていました。
ここにはチューコーフローのシリコンテープを貼って絶縁するほうが良好な結果が得られました。
あとはやはり電源の取り回しが大きな要因になっているようです。
iPurifier ACでアース線を単純に引き込んでも改善するどころか、悪化するケースのほうがむしろ多く、パソコン周りですらNGでした。
またアース戻しも含め、アース線は抵抗値を可能な限り低くすることが重要なようで、端子クリーニングや良質なバナナプラグの使用などもしっかり数値の変化として現れています。
電源ケーブルと信号ケーブルを平行して近接させない、というのは基礎中の基礎ではありますが、現実にはなかなかそうもいかないケースがあります。
また実際に試してみると垂直にしても物理的な距離が近いとかえって悪くなるケースもあり、とりわけフォノ系統はシビアでした。
それにACアダプタならともかく、ちゃんとした電源を積んだ電気製品で電源がOFFになっていても、使っていないものは抜いておいたほうがノイズは減ります。
特にモーターを搭載している機器でその傾向は顕著でしたので、クリーニングマシンとカセットデッキは普段抜いておくことにしました。
仮想アースや電源コンディショナーもしっかり数値の変化として現れました。
RPC-1をデジタル系に使うのはもっと早めに気づけば良かったなと思ったほどでしたし、「こんなもので?」というような自作の仮想アースですら効果が出ています。
AKURATE DSで対処していったわけですけども、その効果は当然ながらDP-77やレコードプレーヤーにも出ていて、とりわけフォノでは10dBほどハムが改善するという大きな成果につながりました。
こちらはRTP-4 absolute導入直後のフォノの残留ノイズです。
そして現在は下のレベルまでノイズが減少しています。
これだけ違うのですから、実際の出音も当然ながら大きく変化していてノイズも減っていながら、力強さ、明瞭さ、細部の描き出しが大きく向上しました。
オーディオアクセサリー導入に際してはご自身の耳で判断することになるわけですが、クリーン電源もそうですが、やはりメーターやランプの表示、記事の内容、そして音の変化の度合いに引きずられる傾向はどうしてもあると私は思っています。
ノイズが減ると音に勢いがなくなる、といったご意見もお有りでしょうが、音源に入っている雑音と機器で付加されてしまうノイズは性質が異なるものだとも考えています。
後者はノイズそのものよりも混変調を生み、様々なアーティファクトを起こしてしまいます。
それを艶と感じたり、広がり、力強さと表現されたりもしますが、それはノイズではなく、音源そのものから引き出されるべきものなのかなと。
そこは個人の見解ではありますが、少なくとも初期状態のようなノイズまみれの状態が理想的な状態でないのは間違いないでしょう。
その上で、音質的な変化とノイズ量のそれが必ずしも一致しないことは私も体感しました。
そこで音質改善のベスト8も挙げてみましょう。
1位: RTP-4 absoluteの電源ケーブルを2芯に変更
2位: クリーン電源からRTP-4 absoluteに変更
3位: RPC-1をデジタル系タップに装着
4位: RGC-24 TripleC-FMをプリに装着
5位: Wi-Fiルータの物理的位置をAKURATE DSから離す
6位: Soundgenicの電源を定電圧電源に
7位: 自作仮想アースをアンプ系タップに装着
8位: 普段使わない機材のコンセントを抜く(クリーニングマシンetc)
音質的な変化はなんと2芯の電源ケーブルが圧倒的でした。
これは2芯にしたことではなく、電源ケーブル自体が圧倒的なのでして、パワーアンプの変更が特に大きいですね。
電源ケーブルや壁コンセントを変えても壁の中はそのままなのに…という意見も良く見かけますが、今回の実験で信号ケーブルに与える影響や機材間の電位差、そして機材が出すノイズの取り扱いなどが実際の出音に影響を与えていそうだと感じます。
電源コンディショナー系のグッズも同様ですが、特にアクティブ系のものは使い方を間違えると逆効果(あるいは音が変わるだけ)となる場合も多く注意が必要そうです。
もっとシンプルにしっかりつなぐ、ですとか、無駄なコンセントを抜くといったところもちゃんと音質改善につながるわけで、そうしたお金の掛からない対策もちゃんとやらなくてはなぁと痛感した次第です。
PCM-D100の限界もありますし、そもそもパソコンと同居した部屋では限界があるのも感じましたが、そこを否定してしまうと音楽そのものを楽しむ場や時間が奪われてしまいます。
その上でPCオーディオ、ネットワークオーディオの難しさも痛感しましたけれど、そちらの利便性も大切にしつつ、レコードやCDに悪影響を及ぼさない環境はそれなりに実現できたのかなと感じています。
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