Unique Melodyのイヤフォン「MAVERICK」ですが、音源をALO AudioのThe Keyとし、アンプをお借りしているCypher Labsの「AlgoRhythm Picollo」と手持ちの「ALO Audio The National」に交換して、さらに深く試聴してみました。
iPod nanoやiPod classicからパソコン経由の「The Key」にしてみると、Piccoloの素直さがより出てくる印象で、どこかを欲張った感じが全くないのを痛感します。
iPod classicと比べるとやはりといいますか、当然ながら音の厚みに大きな違いがあります。
その代わり、音源の音質差は明確に出てくる印象です。
MAVERICKの周波数特性はカタログスペック上は10Hz-19kHzとハイレゾと無縁なはずですが、それはあくまでもスペックだけでして、実際に32bitにアップサンプリングされたCD音源でも透明感の向上に繋がっていますし、純粋なハイレゾ音源ではさらに鮮度の高さを感じるものとなります。
ちょっと余談になりますが、かの名盤「Waltz for Debby」で有名な地下鉄の音もしっかり聴き取れました。
低域方向ではパイプオルガンのアルバムで、普段聴いているスピーカー「Royal Menuet II」の通常再生音量では残念ながら聴き取れない低域がしっかり出てくるのが印象的です。
スピーカーにすれば、軽く25cmウーファークラス以上はあるということでしょう。
ダイナミックとBAのダブル構成の低域ユニットが効いているのでしょうが、イヤフォンに詳しくないオーディオ好きの父にこのイヤフォンの話をしたら、「ネットワークはどうなってるんだろう?」と気にしていました。
公式サイト上は「4ウェイ・クロスオーバー」と書かれていますが、その詳細は不明です。
イヤフォンのステムの中には3つのパイプのようなものが見えるので、アコースティックなフィルタも駆使されているのだと思われますが、スピーカーのように大型のネットワーク回路を搭載せずにこのつながりを実現しているのはスゴい技術だと感じます。
他にもいろんなジャンルを聴いてみましたが、iPodの時と大きく印象が異なってくるのはジャズで、PicolloとMAVERICKの双方が躍動感と静寂さを両立しているおかげもあって、非常に楽しく弾むように音楽を楽しめます。
ウッドベースの胴体の鳴りがしっかり楽しめますし、ハイハットのキレも良く、良い意味で大型マルチwayスピーカーっぽさを感じるものがあります。
ここで、アンプをThe Nationalにして比較試聴してみました。
The Nationalは低域の量感こそ多いものの、実際の低域はPicolloのほうが深いですね。
The Nationalのクセが気に入った私にとってはそれはそれで魅力的なのですが、一般的にはPiccoloのほうが相性が良いと言えるでしょう。
The Nationalはアナログ的表現の方向性、Piccoloは現代的で最新設計という印象です。
どちらのアンプを選ぶか、で言うのであれば、低域の好みで選ぶのが良いのではないかと感じました。
シャープでソリッドで深いのがPiccolo、ウォームで厚みがあるのがThe Nationalといった印象です。
ALO Audioのほうは最新の「The National+」でも同傾向なのかは私自身も気になるところです。
今回、分不相応なほどの高級なイヤフォンを体感させていただきましたが、ともするとイヤフォンはヘッドフォンやスピーカーで聴けないケースの補助的な位置づけにされがちですが、ことMAVERICKではそのような「諦め」は微塵も感じさせない仕上がりでした。
むしろ良質な音楽を独り占めして楽しむための素敵な空間を提供してくれるという点で、他のアウトプット機材に勝る面も多々あるのだと感じた試聴でした。
最後になりますが、貴重な機会を与えてくださったミックスウェーブ様に感謝です。