超ラボパーツのシェルリード「LTP-1180」を入手したので、Victor MC-1に装着してみました。
ポリウレタン被覆の0.08㎜径リッツ線を180本縒り合わせて被膜を被せずにそのままリード線に仕立てたという、なかなか尖った製品です。
発売元はビクターサービスとなっていますが、そのあたりの経緯はあんまり良く分かっていません。
たしかMC-L1000などで使っているのを見かけた記憶があります。
リッツ線を撚り合わせただけですから柔軟性には優れていて配線作業はやりやすいです。
ただ捻ってあるだけとも言えますから取り付ける際にリード線を捻るとリッツ線を束ねた部分が若干解けてしまうため、取り扱いには注意が必要です。
カートリッジのピンアサインによっては当然クロスする配線になりますが、メーカーではリッツ線が十分な絶縁性能を担保しているのでショートの心配はないとしています。
実際の使用でも特に問題はありませんでしたが、経年劣化もあるでしょうし注意が必要でしょう。
普通のカートリッジなら単に音が出なくなるだけですけど、光カートリッジみたいに電源供給される場合は使用は避けたほうが良いでしょうね。
音質面では全体的にニュートラルな特性です。
特筆すべき点としては高域の伸びと透明感の向上が挙げられます。
拍手やハイハットなどの繊細な音の再現性が向上し、より自然でリアルな音場をもたらしているようです。
歪みの少なさも特徴の一つで、ジャリっとした不快な音が抑えられ、上品で滑らかな音になりました。
Victor MC-1の特色を素直に引き出してくれる印象で相性は基本的に良いと思いますが、それが「放送局っぽい」という表現が浮かぶような部分は多少感じられます。
束縛感が少なく自然な音の流れを阻害しない点がおそらくそう感じさせるのでしょう。
一方で、全体的に生真面目な印象が強くなる傾向なので、音楽によってはもう少しスリリングさがあっても良いかもと感じるケースもありました。
リッツ線をそのまま使うという尖った構造から想像するのとは違って、非常に生真面目さを感じるリード線でした。
特に高域の透明感と歪みの少なさは最近の製品にもなかなかない雰囲気かと。
リード線で音傾向を変えたいケースには向かないでしょうが、今でも十分に通用する鮮度を持った製品かなと感じました。
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